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正門から遠回りをして一度王族用の脱出ルートから王都を離れた一行は王都に繋がる道にある休憩所で馬を休ませてから王都へと向かった。
特に問題が起こることなく許可が下りたため、侍女から聞かれると言われていた回答法が役に立たなかったことにユキは落胆した。
王城に勤める侍女は王都入り口ではなく王城の侍従専用門を通るため、ユキが教わった情報は城門警護をする騎士から聞かれる必要事項だった。
何故がっかりしているのかが分からないユキに気を配りつつ、準備された別邸に着くと、その日は荷解きの日となった。

荷からは豪商ならば所持していても問題にならないギリギリラインの調度品を設置していくが、本場の豪商が見たら悲鳴を上げそうなほどに高価な調度品である。
大胆に準備できるところは王族クオリティともいえるかもしれない。

別邸は平民が暮らす立地の中で一等地に分類される場所に建てられている。
もとは法衣貴族の一人が平民に見せびらかせるために建てたのだが、建設中に不正が発覚して建設途中のまま押収された物を豪商が買い取った形となっている。
豪商といえども平民には変わりないので、貴族家が建つ区画には通常入ることは許されていない。
豪商くらいになれば金銭で買うことのできる準男爵と男爵という爵位を持てば貴族の区画へ入れるが、その反面、他の純貴族家から目を付けられる。


◇ ◇ ◇

保護者Side——

翌朝、同行している護衛に扮した暗部との相談の結果、城下を散策することに決まった。
燥ぐアスケナ、メノア、クェサリオ、ユキの四人を遠目に、ガエウスは護衛を割いて各々に付けることにした。

「頼むぞ。」

「お任せください。」

護衛が各々の側で店などの説明を行っているのを尻目に、ガエウスは城下を見て回る。

「久しぶりだが、少し寂れたか。昔はよく冒険者が多く、賑わっていたはずだがな。」

「陛下…。」

「儂はガスだ。良いな。」

「はっ。ガス様。以前は騎士団が少なかったためと、脆弱だった所為であります。現在は治安維持に割いても余りある兵力があるので、冒険者は本来の仕事にシフトしているだけです。」

「なら良いが。市場は賑わっているな。」

「はい。各所から様々な素材が届き、商人が多く出入りしているので、市場も基本的に高騰することなく回っております。これも今代の国王の治世によるものでしょう。」

「ふむ。ではーー」

ガエウスはその後も、護衛と昔と今の違いについて談話しながら、視察の要領で歩き回った。
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