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しおりを挟む保護者Side——
宰相から城下へ向かう日程が決まった、と聞いたユキは長く待ち続けたこともあり、その日は燥ぎすぎて転んだり怪我をしないか、冷や冷やする侍女で溢れた。
王は宰相から準備が整ったことを報告され、時間が経ち過ぎたせいか、取り繕えない程にポカンと呆けていた。
「王女殿下が願い出た、城下への視察の件でございます。まさか王女殿下との約束を忘れた訳ではありませんよね?」
「そそそそうだな。あったな、そんなの。」
宰相の怒気を含んだ言葉に、慌てて弁明するが全く取り繕えていなかった。
宰相から白い目で見られながら、ガエウス王は壁へ視線を向けて必死に思い出そうとしていた。
宰相は最近の目紛しい日々を辛く感じていた。
始めは城下へ平民のフリをした騎士を送る手筈を整えるにあたり、一朝一夕でできる筈もないと専属執事の助言から、王族の準備期間の間に下準備を騎士に行わせていたことだった。
どこから聞いたのか多くの志願者から選抜が難しく、私生活の点検という前例のない指示から少人数まで縮小ができた。
騎士の大半が貴族の継げない次男三男坊から庶子までを含んでいただけに、その差は特に酷いの一言だった。
城下へ送った騎士はプライドの高い騎士を排除したお陰か、割とスムーズに事を為せたらしいが強面が多いからか心当たりのある苦情が報告書の端に書かれていることもあった。
相談できる者が少ないだけに、どこからスカウトしたのか、ガエウス王の専属執事が万能すぎて目を疑う程だった。
小まめに報告書の一部を渡し、意見を聞くことが日々の日程に組み込まれたことで休む暇が無くなったものの、それまでの疲労は格段に落ちていった。
更に専属執事から勧められた内密でのユキ王女による茶会へ参加したことも、一因であった。
◇ ◇ ◇
王子Side——
騎士の会話から又聞きで知ったアスケナがまだ知らされていないメノアとクェサリオに教えることで、難なく王妃除く王族は情報共有できたのだった。
騎士から得られた情報には他にも護衛として城下で不自然にならない程度の大人数が仮拠点を設営して暮らしている話も出ていたが、一つの話に夢中ですっぱり忘れていた。
「僕たちも準備はできてるし、執事さんからも許可は下りてる。」
「いつでも行けますね!」
「…くれぐれもユキの邪魔をしないようにね。」
「いや、サリオも行くだろう?」
「…行くけどさ。兄さんたちみたく、騒ぎを起こしてユキに嫌われたくないんだよ。」
「「ぐっ。否定できない。」」
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