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しおりを挟む保護者Side——
近衛に聞き込みしながら向かった先は執務室ではなく、普段は使わない応接室だった。
応接室の扉を開けると、執務室に置かれていた書類を移動してきたのか、大量の書類が積み重なった中で決済する宰相がいた。
「戻った。」
「ああ。陛下。お帰りなさいませ。あなたが荒らしたせいで、執務室が使えなくなりました。これから当分の間は、こちらで執務を行なっていただきます。」
「分かった。」
「それから言質通り、当分の小遣いは減俸いたします。あなたが普段から使わなすぎたお陰で、ポケットマネーだけで払い終えられました。」
「良かったことだ。さて溜まったコレを終わらせようか。」
「良きことでございます。それから報告です。王妃様は隙あれば逃げ出そうと行動なされるため、厳重な警備のもと隔離しています。念のために、部屋の中にも騎士を入れて、当分の権限を剥奪しておきました。これで少しは落ち着いてくれると嬉しいのですが。」
「…無理だろう。フェリノースはユキに会いたい会いたいと叫んでいたからな。会えていない今なら、堪忍袋が切れることがないと良いがな。」
「ユキ様はなんと?」
「私のことは気にしてくれるが。フェリノースに関しては何も言わなかったな。きっと何か察しているのだろうが、私には分からんな。」
「そうでしたか。まぁ今は大人しいですよ。陛下が出ていかれた後の状況を報告されましたので、暴れになられる王妃様に告げると、急に大人しくされましたからね。」
「フェリノースはユキのこととなると、我を忘れるが、何かあれば原因を察知するほど敏感だからな。だが今回は私が嫌な予感がして向かった結果、ユキは助かり、自身の行いがそれの反対だったことに嫌悪しているのだろう。早く書類を終わらせて、近日中に会わせるべきだろう。」
「それが良うございますね。例の騎士ですが、減俸だけでは物足りないと言っていたので、城下で不人気依頼をこなしていただきました。」
「まぁ。外に出ないのに、何故かユキの人気度が高いからな。いつバレたのか容姿まで美化されて城下で絵画を飾られるほどだ。アレもそれくらい気にしていたのだろう。」
「そうだと良いですね。」
それから数日は徹夜で行った結果、溜まっていた執務を終えられたのだった。
また微妙に隈を張ったガエウスを見たユキに心配されて茶会を開いたのは仕方のない話であった。
そして久しく会った王妃とユキの再会はユキからの無反応によって、ショックで膝を突いていた。
ガエウスは哀れむように眺めつつ、そっと侍女へ送るよう言って向かわせた。
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