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しおりを挟むお茶会当日、温室にて。
国王の専属執事が用意した物は、城下で人気だと噂になっているカモミールを使った花茶だった。
ユキが主催だとを知ったアスケナやメノアが頼み込んでくるが参加の許可を与えず、執事から手解きされた慣れない手付きで茶を作っていく。
「お父様。こちらをどうぞ。城下で人気だとお聞きしましたので、作ってみました!」
「あぁ。ありがとう。ユキが自ら入れてくれるとは思わなかったけれど、嬉しいよ。」
そっと口付け一口味わうと、王は一気飲みをする。
飲み干してしまったコップを両手で包み込み、残念がるように、じっとコップの中身を眺めている。
次に注ぐために用意していたポットへ手をかけ、冷ましておいた茶を再びコップへと注いだ。
ガエウス王は繰り返し飲む内に、椅子の背にもたれると、静かに眠りについた。
そっと目線を向ければ、意図を察した専属執事がお香を焚いた。
お香にはハーブなどの眠りを引き伸ばす作用のものを配合してあるため、専属執事もユキも口元に布を当てて温室を退室した。
「これで少しは助けになってくれると良いなぁ。」
「きっと元気になられるでしょう。何と言っても、お嬢様が淹れて下さったのですから。きっと良い結果が待っておられると思いますよ。」
「だと嬉しいな。手伝ってくれてありがとう。」
「いえいえ。最近お疲れの様子でしたので、良い機会でした。」
専属執事と談笑しながら、のんびりと時間を過ごす。
人払いをしていたお陰か、誰も近付く者はいなかった。
お香の煙が落ち着くと、執事が率先してガエウス王を起こしに向かってくれる。
深い眠りから目を覚ました王は、十分な睡眠が取れたお陰か優しい目をしていた。
「お父様。身体の調子は如何ですか?」
「ああ。ユキ。ユキのお陰で十分眠れたよ。」
それから食事を二人で摂り、もとの元気な表情に戻った王を連れて散策をし始める。
後ろに国王の専属執事が控え、不測の事態が起こっても対処できるように付いていた。
この区画に侵入できないように厳重な警備網を組んでいるため、実際にはユキのサポート役という背景もあった。
そして遠くから王子たちがユキと歩く父王を羨ましそうに見ている事を、気配で察したデキる執事が和やか雰囲気の二人に悟られないよう、遮る壁となって役立っていた。
その数日間は王子たちとの会食から離れ、ガエウス王と食事や散策をしていたため、王子たちも我慢できずに跡をつける不審な行動を起こしていた。
「お父様。またお茶会しましょうね!」
「そうだね。時間を作るから、また誘っておくれ。」
「うん!」
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