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第一部

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数日間の休養を経た、ある晩。

新たに増えた魔物の肉を使い、無事に帰還できたことを祝い、些細な宴を枢機卿の主催で開かれた。

宴を楽しめるよう、ルーとネリが外部へ音が漏れない防音の結界と魔物避けの結界を重ねて張られているため、聖騎士も神官も安堵して羽目を外す。

その中には認識阻害も含まれており、外部を窺えない仕様上、外で兵士が右往左往していることに気付くものは聖獣であるルーとネリの他にいない。

しかしルーもネリも宴を楽しむメリシャを第一優先のため、気付いていないフリで押し通されていた。

その後、日が明けた以降も宴は続いた。

メリシャを除く神官や聖騎士たちは滅多にない、ひと時の休みを満喫する。

その傍ら、肉加工の下処理を行い、食糧の確保を優先に動いていく。


宴が終えたのは、陽の暮れた夜を迎えてからだった。

それまで和んでいた空気は霧散し、再び警戒するように武具の手入れなどを率先して行動する。

結界に何かがが触れたのを枢機卿が感知したことを告げたからだった。

メリシャと聖獣の眠る夜間、音を出さずに結界の境目に集まる一同。

結界の外では、魔物に追い立てられている兵士の姿があった。

魔物は数体の群れで動いていて、少人数の兵士は散り散りに逃げ惑っていた。

聖騎士と神官は各々の役割を理解し、守りと攻めを担当する。

突然現れた聖騎士の姿に狼狽える兵士の前で、魔物は聖騎士たちに包囲されて討伐されていく。

その間も呆然と眺めることしかできない兵士。
他の兵士は追って来ない魔物から逃げ去るように、ほとんどが砦へ走っていった。

神官による治療を終えた兵士は枢機卿から問われ、来訪目的を引き出していく。

そこから兵士が魔物の襲撃を聞くために派遣されたと知り、昨日から宴をしていたとも言えず、警戒していたという話で押し通していた。

聖騎士を護衛に、兵士を送り届けた一同は対応を議題に話し合いが始まる。

解決策も講じられず、夜が明けてメリシャにも話が振られる。

「それでは、何も問題なく討伐できたと報告しても宜しいのでないでしょうか。こちらが襲撃された事実は向こう側も把握しているようですし、不利にならない程度に話せば。」

そう答えたメリシャの言葉を参考に枢機卿が回答を考え、書簡を聖騎士に持たせて送り出したのだった。


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※お知らせ※

次回更新日程:2024年12月5日 17:00・予定

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