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第一部

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 街から離れた平原まで移動した聖女一行。
馬車だけ街の中に停めることが叶った彼らは全員が徒歩での移動だった。

枢機卿はあまり心配するような素振りがなく、落ち着いた雰囲気を漂わせている。
その反対に聖騎士たちは街の宿に泊まれなかったことを悔やみながら、外で野宿するという聖女の一言に一同は緊張していた。

聖獣のお墨付きがあるといっても、その全てを把握できていない聖騎士には酷であったようだ。

『この辺りで良いのではないか?』

ネリが上空の偵察から戻ると、そう伝えてくる。

『うむ。ここであれば問題は少なかろう。近くに水場もあるようだし、な。』

ルーは大型犬サイズに変わった姿で、周囲を窺いながら頷いている。

その様子を遠目に見ていた聖騎士たちは安心菅よりも警戒心が増して周囲に気を配りだす。

「では、こちらに天幕を張りなさい。我々は夕食を作りましょう。」

「感謝いたします、枢機卿殿。皆の者、聖女様の天幕を張るのだ。急げ!」

「「「はっ。」」」

聖騎士が遠征用に持ち込んだ天幕を張るのを眺めつつ、メリシャは食料に聖魔法を掛けていく。
枢機卿も慣れた手付きで食事を作っていくが、同行している神官が忙しなく枢機卿の背後から様子を窺っていた。

実際のところ、神官たちは簡単な調理の他ができない枢機卿に任せることへ心配していた。
幸いなのは聖獣の監視下にあり、傍でメリシャが監督しているため杞憂に終わりそうでもあるが。

その晩、聖騎士たちが天幕を張り終え、メリシャや神官が見守った上で枢機卿が作った夕食を摂るのだった。
その間、ネリとルーが共同で結界を一帯に掛けていった。


同時刻、街の高台から遠くの篝火を覗いている者がいた。
月明かりが乏しく、暗い影の中に佇んでいる男の目は「教会め、忌々しい」と小さく呟くと、再び暗闇の中に去っていった。

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※お知らせ※

次回更新日程:2024年6月30日17:00・予定

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