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第一部
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しおりを挟む市場の知り合いから声をかけられて挨拶をするメリシャを伴い、枢機卿と神官の一行は教会へ向かっていた。
メリシャの肩には常にネリが留まり、ルーはメリシャの前を歩きながら警戒を続けていた。
何も知らない市場の人々は時々振り返るルーの仕草に陰で一部の愛好家が胸をときめかせていたが、メリシャも枢機卿も気付くことはなかった。
暫く歩いて教会が見えてくると、神官たちは枢機卿に目礼してから別の方向へ去っていく。
教会の周りでは、何台もの馬車に箱を複数人で運ぶ光景が繰り広げていた。
「どうやら救援物資を送る準備を進めているようですね。我々は彼らの先頭を走るので、あまり見られる機会は少ないかもしれません。」
枢機卿は大勢の人々と馬車にメリシャが驚いて見入っていたため、そう語りかけた。
時間にして数分であったが、人々の間を縫って教会へ枢機卿を先頭にメリシャは入っていく。
誰もいない祈りの間で女神像に祈り、教会の奥へと足を踏み入れた。
奥の扉を開けた先では、多くの神官や司祭が書簡を持って駆け回っている。
彼らの邪魔をしないよう、隅を歩きながら枢機卿は目的の部屋を目指す。
流石に人の足に合わせることが難しいルーはメリシャに抱えられて移動している。
扉を開いた枢機卿の手招きにメリシャが入室すると、それまで椅子に座っていた身形の良い聖職者が目礼する。
以前は誰とも知れない彼らへの反応に困っていたが、何度も会う機会で挨拶を同じく目礼で返す余裕を持てていた。
枢機卿の説得や、神獣による説教が陰ながら活きた瞬間でもあった。
メリシャが円卓の一席に座ると、枢機卿を含めた全員が座った。
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※お知らせ※
次回更新日程:2024年5月3日17:00・予定
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