50 / 73
第一部
49
しおりを挟む
学園が休校と決まってから数日後のある日、その日は曇り空に続き、ネリとルーは街の所々が騒がしい事を感じる。
不穏な気配に駆け寄られたメリシャは枢機卿とティータイムを庭で嗜んでいた。
ネリとルーが感じ取ったことは不運にも当たり、教会から来た聖騎士が屋敷の門を叩く。
屋内の応接間へ案内してすぐ、聖騎士は混乱した様子で話し出す。
その情報は平和な日々に亀裂が入るキッカケとなった。
他領の教会から緊急を要する救援要請だった。
現地で討伐を試みたが、聖騎士の攻撃が通じず、戦線は押されているという。
そして仕組まれたかのように、他方面からも侵攻があり、対応が間に合っていないという。
他の教会も同じように要請が送られており、報せが届いたのは枢機卿の存在だった。
枢機卿は教会へ数日間療養できるように紹介状を渡し、聖騎士を送り出す。
静まり返った部屋には対応に思い悩んで頭を抱える枢機卿と、ネリとルーに寄り添われたメリシャが対面に座っている。
あの一件で壊された家具は新しく教会からの寄付という形で新調され、室内では少し浮いている。
沈黙を破ったのはメリシャが先だった。
「私、行けるならお養父様と助けに行きたいです。お養父様、お願いできますか?」
「こちらこそお願いできるかな?流石に私一人の力では危ないと思っていたところなんだ。」
『メリシャ様が行くのなら、私が全力で護りましょう。』
『我も護るぞ!』
メリシャに続き、ネリとルーが声高く賛成する。
枢機卿も決意を新たに教会へ手続きをしに行くことに決めるのだった。
不穏な気配に駆け寄られたメリシャは枢機卿とティータイムを庭で嗜んでいた。
ネリとルーが感じ取ったことは不運にも当たり、教会から来た聖騎士が屋敷の門を叩く。
屋内の応接間へ案内してすぐ、聖騎士は混乱した様子で話し出す。
その情報は平和な日々に亀裂が入るキッカケとなった。
他領の教会から緊急を要する救援要請だった。
現地で討伐を試みたが、聖騎士の攻撃が通じず、戦線は押されているという。
そして仕組まれたかのように、他方面からも侵攻があり、対応が間に合っていないという。
他の教会も同じように要請が送られており、報せが届いたのは枢機卿の存在だった。
枢機卿は教会へ数日間療養できるように紹介状を渡し、聖騎士を送り出す。
静まり返った部屋には対応に思い悩んで頭を抱える枢機卿と、ネリとルーに寄り添われたメリシャが対面に座っている。
あの一件で壊された家具は新しく教会からの寄付という形で新調され、室内では少し浮いている。
沈黙を破ったのはメリシャが先だった。
「私、行けるならお養父様と助けに行きたいです。お養父様、お願いできますか?」
「こちらこそお願いできるかな?流石に私一人の力では危ないと思っていたところなんだ。」
『メリシャ様が行くのなら、私が全力で護りましょう。』
『我も護るぞ!』
メリシャに続き、ネリとルーが声高く賛成する。
枢機卿も決意を新たに教会へ手続きをしに行くことに決めるのだった。
13
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
断罪されそうになった侯爵令嬢、頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるが二重の意味で周囲から同情される。
あの時削ぎ落とした欲
恋愛
学園の卒業パーティで婚約者のお気に入りを苛めたと身に覚えの無いことで断罪されかける侯爵令嬢エリス。
その断罪劇に乱入してきたのはエリスの友人である男爵令嬢ニナだった。彼女の片手には骨付き肉が握られていた。
このままだと身の危険を感じるので大人しい令嬢を演じるのをやめます!
夢見 歩
恋愛
「きゃあァァァァァァっ!!!!!」
自分の体が宙に浮くのと同時に、背後から大きな叫び声が聞こえた。
私は「なんで貴方が叫んでるのよ」と頭の中で考えながらも、身体が地面に近づいていくのを感じて衝撃に備えて目を瞑った。
覚悟はしていたものの衝撃はとても強くて息が詰まるような感覚に陥り、痛みに耐えきれず意識を失った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
この物語は内気な婚約者を演じていた令嬢が苛烈な本性を現し、自分らしさを曝け出す成長を描いたものである。
全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?
猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。
風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。
日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。
「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」
その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。
自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。
ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。
日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放?
ふざけるのもいい加減にしろ。
温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。
「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。
ええ。
被害者はこっちだっつーの!
追放された神官、【神力】で虐げられた人々を救います! 女神いわく、祈る人が増えた分だけ万能になるそうです
Saida
ファンタジー
【この作品を一文で表すと?】
異世界のスラムで貧しい暮らしを送っていた人たちを、「お人好し神官」&「天真爛漫な女神」がタッグを組んで救済し、みんなでほのぼのスローライフする物語です!
【本作の経歴は?】
2022年11月 「第十五回ファンタジー小説大賞」にて、応募総数3284作品の中から「癒し系ほっこりファンタジー賞」に選ばれ、書籍化。
2023年 5月 書籍1巻発売開始。
2023年 9月 書籍2巻発売開始。
※現在、書籍1巻がAmazonで☆4.4の高評価を頂いております!本当にありがたいです……( ;∀;)
【作者Saidaより、読者の皆様へ一言!】
まだまだ駆け出しの小説家ですが、皆様に楽しんでいただけるよう、執筆がんばります!
よろしくお願いいたします(*´▽`*)
その婚約破棄喜んで
空月 若葉
恋愛
婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。
そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。
注意…主人公がちょっと怖いかも(笑)
4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。
完結後、番外編を付け足しました。
カクヨムにも掲載しています。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる