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第一部

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学園では一部の仲が良い生徒と休憩時間を過ごし、休日では枢機卿や神官と睦まじく過ごす日々が続いていた。生徒の中には未だメリシャを敵視している者もいたが、不穏な噂に踊らされ、陰口を言う程度に抑えられていた。

社交界にも貴族社会にも慣れていないメリシャは陰口に何か想うことがあっても素知らぬ振りをして、それを見た友人達は純粋なメリシャを庇うように立ち回っていた。その光景を見ていた神獣はメリシャの友人達に些細な祝福が与えたが、彼らが知る日はまだ遠いかもしれない。


ある日、学園を歩く道中で学園中が騒がしく、学園が発行している新聞を見ては更に騒ぐ異様な光景が広がっていた。教室内で耳に入った情報をまとめると、例の婚約者の王子が他の貴族令嬢と付き合っているという噂が流れているらことが判明したが、メリシャにとって傍迷惑な存在というレッテルしかない王子の奇行に興味が湧く事はなかった。

学園の休憩時間も友人からそれとなく注意を促されたが、あまり危機感は湧かず、ただ周囲に注意を払う程度だと認識したのだった。同時にルーとネリは警戒を強めることを誓い合った。

数日経った日の昼休憩。友人達と食後のティータイムを過ごしていると、遠くから大勢の女子生徒の足音が聞こえ、会話を中断して目線を向けた。そこには上流貴族の子女を連れた高貴と思わせる女子生徒が立っていた。咄嗟に視線から逃れようと俯こうと目線を下げたが、数瞬の内に見つかってしまった。

「そこの。貴女がメリシャ男爵令嬢ですわね?」

「っ…!?」

唐突に水を向けられて、思わずビクッと驚いてしまい、言葉に詰まって声が掠れる。

「話には聞いていましたが、貴女のような御方が学園にいらしたのですね。あぁ、別に皆様を非難する気はありませんわ。ただそこにいる御令嬢に用があるだけですので。」

姿を隠しているルーは眉間に皺を寄せてメリシャの傍らに控え、ネリは目を細めて警戒度を上げて動向を窺う。メリシャにしか姿が見えていないルーとネリを視界に収めたメリシャは、女子生徒の連れの一人と思われる女子生徒に連れられて友人達と別れるのだった。
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