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薮 一蔵
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結局10時になっても渋滞は解消されなかったから二人はうちに泊まることになった。
雷打くんは料理も片付けも上手だし職業体験の時より空気が明るくて、今日初めて会った人が家にいるのに全然緊張しなかった。
プールみたいって楽しそうだったから、熱中症対策用の水風呂にお湯を沸かしてあげたらすごく喜んだ。
雷打くんがお風呂に行ったら先輩が俺をまじまじと見てくる。
俺も先輩が泊まる時も家庭用のお風呂を使っている。沸いてるなら先輩も大きいお風呂がいいかな?
「先輩もそっちにしますか?」
「そうさせてもらおうかな。
それより珍しいな。今日一日、すごく普通に話せてた」
「最初見た時はなんで先輩はこの子にしたんだろうって思いましたけど、良い子で良かったです。
でも最初は本当にびっくりしました」
「見た目じゃ何も分からないだろ?
雷打の家は父親の趣味がバイクで、カスタムやツーリングに夢中で生活が厳しいんだ。
それで服は従兄のおさがり、髪は美容院の練習台。染めたのは初めてだし始業式前には黒に戻る。
職業体験があるならすぐに戻すって雷打が言ったのを俺が止めたんだ。徐々に難易度を上げていくよりも耐性がつくと思って。驚かせてごめんな」
「いえ。最初が雷打くんで良かったです」
少し話していたら意外と早く雷打くんが戻ってきた。俺が作業後に水浴びした後で使ってる浴衣が少し大きい。普通のパジャマよりサイズの融通が利くと思ったけど、パジャマの方が良かったかな。
雷打くんが両手を広げて浴衣を見せる。
「ありがとうございました」
「いえ。動きにくかったらパジャマに替えるので言って下さい」
雷打くんが笑顔で首を振る。
「旅行に来たみたいで楽しいです」
「旅行と言うには働きましたね。ご飯まで作ってもらって」
雷打くんが慌てて首を振った。
「いえ!それも楽しかったです!
家では妹と母と祖母がキャッキャしてるので、男だけっていうのが新鮮で楽しかったです」
「年明けも暇な時は遊びに来て下さい」
口が勝手に動いて自分で驚いたけど、それでも訂正する気持ちは少しもなかった。
雷打くんは料理も片付けも上手だし職業体験の時より空気が明るくて、今日初めて会った人が家にいるのに全然緊張しなかった。
プールみたいって楽しそうだったから、熱中症対策用の水風呂にお湯を沸かしてあげたらすごく喜んだ。
雷打くんがお風呂に行ったら先輩が俺をまじまじと見てくる。
俺も先輩が泊まる時も家庭用のお風呂を使っている。沸いてるなら先輩も大きいお風呂がいいかな?
「先輩もそっちにしますか?」
「そうさせてもらおうかな。
それより珍しいな。今日一日、すごく普通に話せてた」
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でも最初は本当にびっくりしました」
「見た目じゃ何も分からないだろ?
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「いえ。最初が雷打くんで良かったです」
少し話していたら意外と早く雷打くんが戻ってきた。俺が作業後に水浴びした後で使ってる浴衣が少し大きい。普通のパジャマよりサイズの融通が利くと思ったけど、パジャマの方が良かったかな。
雷打くんが両手を広げて浴衣を見せる。
「ありがとうございました」
「いえ。動きにくかったらパジャマに替えるので言って下さい」
雷打くんが笑顔で首を振る。
「旅行に来たみたいで楽しいです」
「旅行と言うには働きましたね。ご飯まで作ってもらって」
雷打くんが慌てて首を振った。
「いえ!それも楽しかったです!
家では妹と母と祖母がキャッキャしてるので、男だけっていうのが新鮮で楽しかったです」
「年明けも暇な時は遊びに来て下さい」
口が勝手に動いて自分で驚いたけど、それでも訂正する気持ちは少しもなかった。
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