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2章 婚約破棄のちプロポーズ! 婚約破棄編

リンティア・クレス伯爵令嬢

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堂々と最愛の人だ!とリンティア様を紹介したバカ王子。
これ問題になるんじゃない?

それに未来の王妃って…お前第2王子だよ?仮に一億歩譲ってお前と結婚しても王妃にはなれんよ?
頭沸いてるのでは?

「いぇ、あのあの、私はっ」
しかし当の本人は、顔が真っ青を通り越して蒼白になっている。
とても慌てて、どもるほどだ。
・・・大丈夫かな?大丈夫に見えない。

「大丈夫でしょうか?」
とはいえ確認するのが礼儀。
「ふぁっ?!あの、その…」
ところが、リンティア様は、淑女としてあるまじきことに、奇声を上げて黙りこくってしまった。

いやマジでやばくない?というか怯えられているのだろうか?
えー・・・いやマジ?私ってそんなに顔怖い?いや、私の婚約者に想われてるから?どうぞ、熨斗つけて差し上げたいですが。
などとつらつら考えていると、ディトスリ様、いやもうバカ?がリンティア様に寄り添った。

「大丈夫かリンティア?」
「だ、第2王子殿下っ」
ビクッと大きく肩を跳ねさせ、ガタガタ震え始めた。
いやマジで心配になってきたぞ。
「リンティア、大丈夫だろう?」
「あ、あのっ、」
「いいのか?」
「つっ!」

あれ?バカが何か囁いていると思ったら、リンティア様が口ごもった。
「醜態を晒し、大変申し訳ございませんネアルタ公爵令息様、フローシア公爵令嬢様。」
さっきとはまるで別人が如く、毅然とした態度で私に詫びてきた。
けれど、顔はまだ青い。

「いいえ、どうぞご無理はなさりませんよう」
まだほぼ他人と言える私は、こう返すしかなかった。
たとえ内心、大丈夫かと追及したくても、当人がこう言う限り、深くは突っ込んで聞けない。


✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎


ディトスリ様で挨拶回りが終わった。
楽器奏者が楽器を構え、音楽を奏でる準備を行う。
スッと、目の前に手が差し出された。
「フローシア、一曲踊っていただけますか?」
「ええ、喜んでお兄様」
こう言う場合、主賓や主催者が先に踊る必要がある。ファーストダンスだ。

婚約者と踊るのが基本だが、私はエスコートはお兄様に頼んだし、ディトスリ様はリンティア様から離れようとしない。問題は…色々ある気がするが、とりあえずお兄様と踊ることは問題ないハズ。

手を取ろうとした時、爆弾発言が投下された。
「よし、我らも踊ってやろう!」
リンティア様の手を握っている私の婚約者バカ王子だった。
踊ってやろうじゃねぇし!ファーストダンスを婚約者以外と踊るとかありえねぇ!婚約者目の前にいるのに!
どうしよう?
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