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No.1 赤のゼラニウム
三 悶々
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✴︎
恋愛についての相談?の翌日。
「眠い…」
眠かった。悶々と悩み、結局真夜中まで起きていた。澄んで晴れ渡った空が憎らしい…と思いつつ大欠伸。
授業中に寝そうでコワイ。何もやる気が起きないとはこのことだろうか?などと考えていると、
「っ!」
「わっ!」
危うく靴を履き替えている人にぶつかりかけた。
「う、すみませ、って…」
「すみません…」
小さな声で謝ってきたのは、悩みの原因だった。
「水月さん」
「え?あの、なんで私の名前…」
ガクッときた。覚えてもらってない。
「俺は神奈 蒼だ、水月さんと同じクラスだよ?」
「あ、すみませんっ!」
忘れていたことにあわあわしながらすみませんと繰り返す様が小動物みたいで可愛い。からかいたくなる。
って何考えてんだ俺!必死で煩悩を振り払い、笑顔を取り繕う。
「いや、まだ来たばっかだし気にしてないよ(嘘)。これから覚えていけばいい」
ホントは地味にダメージ食らってますがね…笑顔と前向き発言で評価アップだ。
などと打算的なことを考えている自分にびっくり。無意識って怖い…というか、やっぱり自分は…
「すみません、ありがとうございます神奈さん。」
彼女の声に強制的に思考を打ち切る。
「うん。じゃあ俺、委員会があるから」
「あ、引き止めてすみません」
「いいや、じゃあね」
冷静な風を装って踵を返す。ゆっくりと歩き、水月さんが階段を登ると同時に全力ダッシュ。
「ふうぅぅー」
大きく深呼吸。
あれ?!ちゃんと俺、喋れたよね!というかカッコつけすぎか?!変な印象持たれてたらどうしよう!ぶつかりかけるってのもなかなか嫌なイメージになりそう!!
グルグルテンパる思考を持て余しつつ、鈍い足取りで委員会に向かった。
「ぜんっぜん集中できなかった…」
「珍しいな…蒼は意外と真面目なのに」
「意外というな!」
同じ委員会の天と言い合いながら教室へ向かう。ホームルーム開始前にもかかわらず、廊下にはざわめきが満ちていた。
その喧騒に誘われるように、俺は口を開く。
「なぁ…」
「どうした?」
決して急かすわけでもない、落ち着いた口調に安堵する。いつもはあまり話さず寡黙と思われがちだが、誰より優しい奴だと思う。
「お前は好きな女子っているのか?」
「いや…水月さんと何かあったのか?」
うっ、痛いところを突いてきた。
「それがな、今朝…」
かくかくしかじかで、と話してみる。
「それで、悪い印象を与えていないかと…そういうことか」
「そうなんだよ、すごく不安だ。やっぱりこれって恋なのか?」
「知らん、俺は恋したことはない」
「デスヨネー」
ガクッとしながら大きく息を吐く。
恋愛についての相談?の翌日。
「眠い…」
眠かった。悶々と悩み、結局真夜中まで起きていた。澄んで晴れ渡った空が憎らしい…と思いつつ大欠伸。
授業中に寝そうでコワイ。何もやる気が起きないとはこのことだろうか?などと考えていると、
「っ!」
「わっ!」
危うく靴を履き替えている人にぶつかりかけた。
「う、すみませ、って…」
「すみません…」
小さな声で謝ってきたのは、悩みの原因だった。
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「え?あの、なんで私の名前…」
ガクッときた。覚えてもらってない。
「俺は神奈 蒼だ、水月さんと同じクラスだよ?」
「あ、すみませんっ!」
忘れていたことにあわあわしながらすみませんと繰り返す様が小動物みたいで可愛い。からかいたくなる。
って何考えてんだ俺!必死で煩悩を振り払い、笑顔を取り繕う。
「いや、まだ来たばっかだし気にしてないよ(嘘)。これから覚えていけばいい」
ホントは地味にダメージ食らってますがね…笑顔と前向き発言で評価アップだ。
などと打算的なことを考えている自分にびっくり。無意識って怖い…というか、やっぱり自分は…
「すみません、ありがとうございます神奈さん。」
彼女の声に強制的に思考を打ち切る。
「うん。じゃあ俺、委員会があるから」
「あ、引き止めてすみません」
「いいや、じゃあね」
冷静な風を装って踵を返す。ゆっくりと歩き、水月さんが階段を登ると同時に全力ダッシュ。
「ふうぅぅー」
大きく深呼吸。
あれ?!ちゃんと俺、喋れたよね!というかカッコつけすぎか?!変な印象持たれてたらどうしよう!ぶつかりかけるってのもなかなか嫌なイメージになりそう!!
グルグルテンパる思考を持て余しつつ、鈍い足取りで委員会に向かった。
「ぜんっぜん集中できなかった…」
「珍しいな…蒼は意外と真面目なのに」
「意外というな!」
同じ委員会の天と言い合いながら教室へ向かう。ホームルーム開始前にもかかわらず、廊下にはざわめきが満ちていた。
その喧騒に誘われるように、俺は口を開く。
「なぁ…」
「どうした?」
決して急かすわけでもない、落ち着いた口調に安堵する。いつもはあまり話さず寡黙と思われがちだが、誰より優しい奴だと思う。
「お前は好きな女子っているのか?」
「いや…水月さんと何かあったのか?」
うっ、痛いところを突いてきた。
「それがな、今朝…」
かくかくしかじかで、と話してみる。
「それで、悪い印象を与えていないかと…そういうことか」
「そうなんだよ、すごく不安だ。やっぱりこれって恋なのか?」
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