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三、道中にて
しおりを挟む翌日、ガンガンっとトンカチを頭の中で振り下ろされる痛みで目が覚めた。体の温度が感じられず、這うようにして常備している頭痛薬を服用する。
体の中の息を全部吐きだして、ゆっくりと新しい息を吸う。薬は即効ではないが、呼吸法で幾分か頭痛がましになった気がした。
十分な余裕をもって準備を始め、待ち合わせ場所である墓地の前に早めに到着した。時間通りとはいえ、何度も遅れて口うるさく言われるのはいやだ。
照りつける太陽から逃げるように木陰に移動して、日比野と沢田を待つ。昨日の悪天候が嘘のような強い日差し。日焼け止めは気休めにしかならないだろう。
喫茶店で日比野と別れてから、沢田からの通知が届いた。文面でも気安い調子で、「明日なら大丈夫だ」と送られてきた。
それをこれまた交換した連絡先を探って、日比野に連絡し、待ち合わせの時間や場所を設定する。
なぜ僕が仲介役などしなければならないのかと、何度も文句をこぼしながら慣れない約束事を取りつけた。
「じゃあ断ればよかったんじゃない?」
当日になってもなお、恨みがましく愚痴を吐いていたのを聞きとって、隣に立つ高橋が他人事の調子で笑う。
高橋は僕の付き添いだ。この集まりに来る必要性はないはずなのに、僕の気持ちを汲んで来てくれた。自分一人で日比野や沢田と会うことに怖気づいているのは否めない。高橋の存在が緩衝材となるかは分からないが、一人よりは幾分かマシだった。
「僕は連絡をまとめたりする役割が面倒だっただけだ。別に、今回の集まりがいやだったわけじゃない」
「それはそれは。人付き合いが嫌いな君にしてはとても珍しいじゃないか。どういう風の吹き回しかな?」
昨日も日比野に会うのをいやがっていたのに、と暗に言い含められている気がした。どこか馬鹿にされたようで気に食わない。
「さーや(、、、)のことだから」
「そう」
「……何か言いたそうだな」
「別に?」
高橋はどこまでも優しい瞳で微笑んだ。
たとえ何の生産性もなく、意味がないことだったとしても、さーやが関係することに部外者とされたくなかった。それを言葉にするなら、独占欲というのが一番近い。その欲深い醜さを理解して、高橋は今日もまた僕とともに行動してくれる。
しばらくして、待ち合わせの十分前に、沢田が走ってやって来た。その少しあとに日比野がこちらに向かってくるのが見えた。
「あれが、今日の発案者」
一般的に美人の部類に入る日比野を視界に入れた沢田は大袈裟に動揺した。美人だと呆けた様子で囁くのを、隣にいた僕らの耳に入る。本性を知らないというのはなんて幸せなのだろうか。
「待たせてしまったかしら?」
優雅に日傘を差しながらやって来た日比野が、慌てた様子なく問う。
「問題ないよ」
もじもじと奇妙な動きをみせる沢田と、我関せずな高橋を見遣って、僕は内心溜息を吐いた。もしかしなくても、各々の紹介をするのは僕の役目か。
「沢田、同じ小学校の日比野だ。日比野、こいつが中一と中二のとき、クラスメイトだった沢田」
今回のメンバーを指し示すと、新学期のような自己紹介が始まる。
「はじめまして。日比野です」
「は、はじめまして! 沢田、です」
「来てくれてありがとう。どうぞよろしくね」
緊張を隠しもしない沢田に、日比野は改めて『思い出探し』について話す。協力してほしいと言うと、即座に沢田は了承した。それを横目に、手間を省きたい僕は先を促す。
「で、どうする?」
「どうするって?」
間抜けな調子で問う沢田に半目になる。今説明を受けていただろうと問うのさえ面倒だ。沢田は諦めて、日比野に視線を戻す。
「どこに行くんだ? 学校か?」
「まずは、一織の家に行きたいわ」
発端である日比野に最初の行き先を尋ねると、決めていたのかすぐに場所を口にした。
「小野田ん家(ち)?」
頭に疑問符を浮かべる沢田を無視する。
僕は妥当だと思った。さーやの幼少期に最も関わっていた僕が、遊ぶ場所は僕の家かその周辺だったから。
「中にはいれないぞ」
「ええ、お家(うち)の中にお邪魔するつもりはないわ。そこを起点として、小学校の方に行こうと思うの」
その計画に僕も沢田も反対はない。
「探す、って言ったけど」
話を切りだすと、三人とも僕の方を向いた。
「日比野の『思い出探し』はどこを具体的に想定しているんだ?」
行った場所をくまなく見ていくのだとしたら、この町だけでは収まりきらない。学校行事の遠足や、宿泊学習で町を出たこともあったのだから。期限は日比野や沢田が東京に戻るまでで、その短い時間の中でどこを巡るか検討しなければならない。
日比野は用意していただろう答えをつらつらと話す。
「一番さーやがいたという記憶が残っているのはこの町でしょ。だからここを中心に、住んでいた場所や公園、小学校、中学校、あとは思い出の道を巡れたら――」
「満足?」
そう尋ねたところ、日比野は押し黙った。何かを整理するように口を動かして、一呼吸置いてからまた口を開く。
「結局、自己満足なの。けど、一織なら、最後まで付き合ってくれるでしょ」
誰よりもさーやに近かった僕ならば、関わらないという選択肢はないと言いたいのだ。僕はそれに無言で肯定とした。
墓地の外壁を辿って、この辺りの地理に一番詳しい僕が先頭になって進むことになった。
墓地を囲うコンクリート塀は暑い気温をさらに高くして反射する。壁の向こう側からはみ出た影を作る木々たちのおかげで、比較的耐えられる体感温度なのが幸いだ。影の外側に照っている殺人的な太陽の光が、今は一番恐ろしかった。
隣で涼しい顔をして歩く高橋が憎たらしい。彼は夏は強いものの、冬は苦手なため無下にできないが、憎らしいものは憎らしい。
できるだけ影のある道を選びながら、車通りのある大通りを渡って、住宅街に入る。
「沢田はあいつとよく話してたから、中学での様子は彼に聞くといい」
「そうなの? あの子、学校での話はあまりしなかったから、いっぱい聞きたいわ」
「何でも聞いてください!」
「同い年でしょう? ため口でいいわよ」
日比野は中学から東京のお嬢様学校に入学させられたため、さーやの中学時代をよく知らないのだ。二人は楽しそうに、さーやの思い出話をし出した。
「さーやは頭がよかったでしょう?」
自慢するように言う日比野に、沢田は大きく頷いた。
「さーやのおかげで赤点を免れたことがある。確か、中一の秋の中間」
恥ずかしげもなく自分の脳のお粗末さを語る沢田に、日比野はくすくすと笑う。
自然と額から流れでる汗を拭いている間も、背後で大人しく付いてくる沢田と日比野は始終会話を続けていた。僕は耳だけを傾けながら、ひたすら無言で歩く。
「さーや、いじめられたりとかしてなかったかしら」
さーやに関して過保護なのは、今も昔も変わらないようだ。日比野の問いに沢田は大げさに声を張った。
「いじめなんてとんでもない! あいつは本当にいい奴だったから、誰もハブったりしなかったさ。周りもさーやを見習っていたから、いじめをする奴もいなかった」
その台詞を、僕は右耳から左耳に流していった。高橋がちらっと僕の様子を見たことに気づいたが、それにも特に反応を返さなかった。
「一年の頃は、席が近いとかで決まったグループ、あとは部活が同じ奴らとかでつるんでたんだけど、いつの間にかそれもなくなってさ。クラス全体で仲よくなって、その中心には絶対さーやがいたんだ」
沢田の心酔に似た響きに、舌の上がざりざりと砂を食んだような気持ちの悪さを覚える。
さーやが声を張って、クラス全体に「みんな仲よくしよう」と言ったわけではない。さーやのすごいところは、そんな俗物的な主張をしなくても、みんなが一丸となって「仲よし」を体現化したところだ。
誰からも好かれる性格をしていたさーや。さーやは、中学生にしては大人びていて、衝動的な傲慢やわがままがなかった。第二次成長期を迎えても、性(せい)に関して浮かれるような者でもなかった。それを鼻にかけて、スクールカーストの頂点に立っている事実に調子づくこともなく、優越を感じる意地の悪い者でもなかった。
さーやの周りには自然とクラスメイトは集まった。中学のクラスは、とても落ち着いていて、代表的な優良クラスだと、教師からよく褒められた。
だから余計に、さーやの失踪事件は衝撃的だったのだ。
「あの」さーやが、なぜ? と多くの者が思ったことだろう。
沢田が並べた事実に、日比野は疑問の声を上げる。
「あの子、リーダー役とか苦手でしょ? 小学校の高学年の頃くらいからかな? 少しはみんなの輪に入ることも多くなってきたけど、大勢よりは少数の方が好きだったと思う。……一織、そこのところ大丈夫だったの?」
問い詰めてくる彼女に、僕は何と返したら正解なのか少し迷う。どう言っても、日比野は怒りだしそうだ。
僕は答えを選ぶのも面倒になって、感じたままの言葉を口にした。
「苦手、というわけじゃなかったんだろうな。実際、クラスを上手くまとめてたと思う。好きか嫌いかで言ったら、好きではなかっただろうけど」
率先して真ん中に立とうとする気質ではない。それを付き合いの短い中学生同士が、推し量(はか)れたかはさておき。「リーダー気質」でも「優等生」でも「偽善者」でもなかったさーやが、必死に取り繕っていたことは確かだ。
「それって、ある意味いじめだったんじゃないの? なんで一織は助けなかったのよ!」
「好きではなかったけど、できないわけじゃなかった。助けてほしいとも、言われなかったし」
「なっ!」
後ろをちらりと振り返ると、瞬間的な怒りで言葉を詰まらせた日比野がこちらを睨んでいた。その隣をうかがうと、初めて知った事実に居たたまれない表情の沢田がいる。見なければよかったなと思いながら、そろりと首を正面に戻す。
同級生がさーやを中心にまとまっていたことは事実で、隠れた手腕が発揮されたことも正しい現実だった。
さーやは「自分」を隠すことに長(た)けていた。
そして相手に悟らせるということを、苦手と感じとっていた。
盛りあがった周りに一言、「いやだ」と言うのは憚(はばか)られたのだろう。それさえ言えない環境を作りあげてしまったことを、沢田は今更ながらに知る羽目になったのだ。
沢田は明確に落ちこんだ様子をみせる。
「悪いことをした。まさかいやだったなんて。俺、全然気づかなかった」
一時的な反省をする沢田。
皮膚に感じる温度とは真逆に、僕の心は冷めきったままだ。
「そう言えるのも今ここにあいつがいないからだし、本人が言わなかったんだから、あとはあいつの責任だ」
口ではそう言いながら、内心ではおまえらが追い詰めたせいだと副音声を流す。
――僕は責めているのだろう。
自分勝手な同級生たちはもちろんのこと、一切助けを求めず、自分で解決してしまったさーやのことを。自己完結してしまうのはさーやの悪い癖で、「助けて」という言葉を言わなかったあいつを、僕はずっと恨めしく思っている。
そんなことを僕が思う資格はない。最初に突き放して、距離を置くことを決めたのは僕の方なのだから。
僕は子どもだったし、さーやも幼かった。大人に相談する、という手段を取らなかったのは、本質的に、お互い以外信用できないと思っていたからだ。その互いを物理的に離してしまったことが、そもそもの悪因だった。
「分かってたなら、あなたが何とかしなさいよ。友達でしょう?」
日比野の荒げた声を、またも右から左へと聞き流しながら、僕は感情のこもらない声で返す。
「さっきも言ったが何も言われなかったんだ。僕は静かに暮らしたかったし、口出しして周りから睨まれたくもなかった」
「それってあなたの勝手な都合なんじゃないの⁉」
背中から圧を感じる。彼女のそのような態度はいやというほど見たため、今となっては慣れを感じる。
昔を思い返しても、僕と日比野は元同級生、もしくは曖昧な幼馴染という立場でしかない。僕たちの関係は変わらずに、日比野から一方的に喧嘩を売られている。
理由も分かっている。僕はそれを受け流すだけでいい。そんな真摯でない僕の態度がまた、彼女の苛立ちを助長させるのだろう。
お互い大人になり、会っていなかったことも相まって、因縁もなくなったかと思っていた。しかし、日比野の嫉妬は収まりを知らなかったようだ。
「やっぱり、私立になんて行かなきゃよかったわ! 私もさーやと一緒に公立に通っていたら」
委員長気質の日比野のことだ、即座にクラスのまとめ役として機能したことだろう。それはそれで新たな問題を生みそうだが、根暗気質な僕が言えたことではない。
「今更たらればを言っても仕方ないだろう」
「あなたが頼りないから悔やんでるんじゃない。もしかしたら、それが原因(、、)かもしれないのよ」
「原因?」
沢田が疑問の声を上げるので、後ろを振り返らずに答えた。
「あいつの失踪理由」
失踪の報が流れたときは、何かの間違いではないかと、真実や噂が錯綜した。事件に巻きこまれたか、事故に遭ったのか、一様にしてさーやの安否を祈った。
行方不明の自殺という線もないわけではなかった。しかしさーやの場合、それは絶対にあり得ないだろうと誰もが言い合った。
さーやがいなくなったとき、最初に行動したのはさーやの親ではなく、学校に登校して来ないさーやを心配した担任だった。担任はその日のうちに親元に連絡を入れ、ほとんどの教師を巻きこんで近所を捜索することになった。
それから数日経って、ようやく捜索願が出され、本腰を入れての捜査が始まる。警察もまた、事件と事故の両方を視野に入れて捜査を行ったが、ただ時がむやみに流れるだけ。
クラスメイトやさーやと近しい人物は、一通り事情聴取を受け、少しでも手がかりに繋げるために協力した。
捜査は難航し、一か月も経つと捜索にかけられる人員も減っていった。
多くの者の願い虚しく、さーやは行方不明者として片づけられたのだ。
「ああ、なるほど……」
理解と同時に、沢田は明らかにしょんぼりとした雰囲気をかもし出す。
「どうかしたか?」
聞いて欲しそうな空気に乗ると、沢田は後ろ髪をかき上げた。
「俺、さ。さーやとは親友のつもりでいたんだよ。よくつるんでたし、相談とかしてたしさ。……けど、リーダーやるのいやだったなんて、今初めて知って。俺あいつのこと、全然分かってなかったんだなあって。こんなんじゃ親友なんて言う資格ねえな。自信、なくしちまったよ」
「沢田くん……」
同情した様子の日比野とは真逆に、ようやく自覚したか、と心の底で吐き捨てる。それを少しでも表面上に出さないように苦心したが、高橋には肘を突かれた。その高橋も、どこか冷めた表情をしている。
振り返って盗み見た沢田は、目に見えて落ちこんでいる。それを日比野は優しく声をかけて慰めている。本当の彼女は、僕以外に限っては人を思いやることができる性根の優しい子なのだ。
「沢田くん、気にしなくていいわ」
「そっかなぁ」
僕は一人だけ空気の読めない奴に成りさがったようで、とても居心地が悪かった。ざりざりとした口の中をつばでごまかす。
「中学生の人間関係なんてそんなもんだろ。全部を把握しろなんて無理だし。共感しろなんて高等技術、大人でも難しい。言葉や態度でしか距離を測ることができないんだ。沢田はコミュニケーション能力がある方だから、他の奴らよりよっぽど近い関係にはあったはずさ」
誤魔化すような吐息のあと、慰めにもならない言葉を適当にかける。これっぽっちも思っていないことを、意外にもすらすら言えたことに自分で驚きを覚えた。
中学生などという時期は自分勝手で、自分本位で、自分以外の周りなんてものは全く見えていない。見ようとすることに気づかない。そういう者たちの集団だ。だから当時気づかなくても仕方ないで済ませられる。
しかし、傷つけられた側は一生忘れない。加害者が忘れても、心の奥底についた傷は消えない。癒えることなく熱を持ち、ジュクジュクと膿(うみ)を生みだし続ける。
「そう、か。そうだといいな」
現状何かが変わるわけではない。沢田の意識次第で変わる事柄なら、さーやの事件は起きていなかった。
これ以上日比野に睨まれたくないので僕は早々と口をつぐんだ。
「いじめ」といえば、実際いじめにあっていたのは、さーやではなく僕の方だった。小学五年生頃からいじめが起きて、六年生の秋頃まで続いた。陰口から始まり、物を隠す程度の幼稚さを経過し、暴力に発展した悪質ないやがらせだった。
そしてそれはぱたりと終わった。何事もなかったかのように、平穏を思いださせるように。
さーやが僕のために動いた。その事実を他人から聞かされた僕の心情を、誰が推し量ってくれるというのか。
さーやは僕を思って行動した。
さーやが行動を起こしたことを、僕は許せなかった。無性(むしょう)に情けなくて、悔しくて、腹立たしくて。なおのこと人が嫌いになった。
「あの、さ」
前振りもなく沢田が口を開く。僕らが注目すると、少し躊躇(ためら)うように言葉を溜める。
「思い出の場所を巡る、ってことでいいんだよな」
「どういうこと?」
「さーやを、見つけだそうってわけじゃないんだよな、ってことだけど」
探す、と一概に言ったところで、実際にさーや自身を見つけられるはずはない。当時捜査や捜索をしてきた警察や自警団でさえ、姿を確認できなかったのだから。
「日比野は、さーやとの思い出が年々薄れていくのが怖いらしい」
口元をきつく結んで、日比野は鋭い視線を僕に投げた。皮肉を込め過ぎただろうか。
冷えた空気に沢田が、僕たちに行ったり来たりの視線を寄越す。
高橋は話に参加してはこない。自由気ままに先を歩いていていってしまう。薄情な奴めと責める隙を与えてはくれない。
日比野はどうしようもない者と相対するかのように一つ息を吐いた。
「少なからず、一織は私とは同じだと思っていたけど、私の勘違いだったみたいね」
囚われたままなのは私だけだったみたい、と自嘲気味に笑う。
それに「否」と返すことは簡単だが、僕はあえてその言葉を受けいれることにした。
日比野にとって、僕は薄情で、非情な人間であってほしいのではないか。僕もまた、日比野はわがままで独善でいてくれた方が気が楽だ。僕がどうしようもなく粗末な人間だと思わないでいられるから。
僕らは人間だから。中学生のときから何一つ成長しない人間だから、自分勝手な気質に変化はないのだ。
そんな心中を日比野が量り知ってくれるとは思えないけれど。
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―――――《目次》――――――
◆第一部
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二章 ハローワールドの住人
三章 吃音という証明
◆第二部
四章 最高の友だち
五章 うるさい! うるさい! うるさい!
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◆第三部
七章 はーい! せんせー。
八章 イフ・アカリ
九章 ハウマッチ 木、木、木……。
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