伽藍洞で君を待つ

宮沢泉

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二、喫茶店にて

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 日比野(ひびの)響(ひびき)とは、さーやを通じて小学校までともに過ごした、元同級生という関係である。男の子に混ざって遊んでいたお転婆な印象はどこへいったのか。清楚な雰囲気を持つ女子大生へと変貌していた。

 思わず名前を呼んでしまったのが間違いだった。掴まれた腕をぐいっと引っ張られ、彼女は距離を詰めてきた。

「時間、あるかしら?」

 その問いは疑問形でいながら強制を意味していた。特に思いつく用事はないが日比野に割く時間もまたなかった。「ない」と即答したかったが、掴まれた腕に込められた握力から断るのは難しいとうかがえた。

 おしとやかな顔をして、実は激情型な彼女を相手にするのは多少とも労力がいる。気力がない今、長く会話するのは避けたい。本音を打ち明けたとして、日比野が僕へ配慮してくれるとは思えなかった。

 僕らの共通点といえばさーやをおいて他にない。さーやの話題を当然のような顔でできるかは、心持ち不安だ。今まで溜めこんできた不満を喚き散らしてしまう可能性が高いだろう。

「一織」

 高橋が僕の反対側の腕を掴む。

「顔色が悪い。今日は帰ろう」

 彼の心配を無下にする気は毛頭ない。

 僕は日比野の強まる腕をやんわりと解いて一言謝った。

「連れもいるし、疲れてるし……今日は無理だ」

「そのお連れの方も一緒でいいから。話したいことがあるの」

 押しが強い上に断りづらいことを言う日比野。長く一人っ子だった彼女は、時折(ときおり)このような強情なところがある。ヒエラルキーは昔から日比野が上で、何度さーやを横から取られたことか。

 無言でやり過ごそうにも、根本的な解決にはならないことは分かっている。下を向く日比野の黒髪が暑さを助長させる。梃子(てこ)でも動かない気を感じて根を上げる。

「せめて、明日にしてくれないか」

 あまり消極的過ぎて機嫌を損ねると、返って面倒事に発展しかねない。妥協案として絞りだす。少しだけ日程を延ばすだけでも、今の状況よりはマシである。

「……分かったわ。私もお墓参りがしたいし。でも、明日は絶対よ! 約束よ!」

 仕方ないと言わんばかりに、日比野はようやく引きさがった。

 強制的に墓地近くの喫茶店で会うことになる。時間を指定して、別れの挨拶をしっかり交わすことなく、日比野は踵(きびす)を返した。

 彼女の背中が入り口の百日紅(さるすべり)の陰で見えなくなってから、ようやく息を吐くことができた。連想記憶で百日紅の紅色の花が嫌いになりそうだ。

「一織、大丈夫?」

 気遣わしげに高橋が腰を屈めて、僕の顔を覗きこむ。

「……頭痛がする」

「いつもの頭痛薬飲めば治るやつ?」

「いや、今日の分はもう飲んじゃったから」

「最近多くなってない? 飲み過ぎはだめだよ」

 母親のようなことを言う高橋。僕は彼を恨めしげに見ることしかできない。

 頭痛薬を常備するようになったのはさーやがいなくなってからだった。頭部を締めつけるような強張りが生き物のように脈打ち、次第に痛みをともなう。慢性化した痛みは薬を飲むと和らぎをみせる。

 薬を飲み続けることについて、両親はいい顔をしなかった。頭痛を我慢すると他の部分が苦しくなる。たとえば腹痛だったり、気分が悪くなったり。そういうことが続いてからは黙認されている。

 おそらくこの症状はストレスからきている。精神がそれほど強くないことを自覚しているので、体に支障をきたしていることも頷けた。

 原因が分かっていながら、かたくなに専門の病院に掛からないのは、病気として名前がついてしまうことを恐れているからだ。僕はありきたりな病名を望んでいるわけではない。

「一織、帰ろう」

 暑さでぼやけた視界で高橋が僕の肩をゆすっている。熱中症になりかけているのが自分でも分かった。

 反射して白く輝いている自動販売機に寄る。ポケットから小銭入れを取りだしてスポーツ飲料を買った。屈んだときに一瞬視界が暗くなるが高橋に気づかれないよう、ゆっくりと立ちあがった。しかし、高橋にはすべて見通されているようだ。彼の不安そうな顔を観なかった振りをして話しかける。

「日比野を、どう思う?」

 ペットボトルの蓋を開けながら問うと、高橋は目をぱちりと瞬いてから唸った。僕がペットボトルの中身を嚥下(えんげ)し終わるまで高橋は悩み続けていた。

「ぎらぎらした太陽かなあ」

 悪気を感じさせない顔でさらりと言いきる。確かに、今頭上でうるさく存在をアピールしている太陽と、そう代わりはないように思う。

 いつの間にか天気雨は止んでいた。雨の跡は照りの強い日ですでに蒸発していて、最初からなかったかのように姿を消していた。そのあっさりとした消失が、僕の胸のうちを物寂しくさせる。

 なければないで生活できたかもしれないのに、存在を知ってしまったら心細く思うのはなぜだろう。しかし、知らなければよかったと後悔だけはしたくない。してはいけないと思っている。

 蝉の合唱と埃舞う乾いた夏の空気が、頭に響いて不快感をつのらせる。







 昨日の天気雨とは打って変わって、ざあざあと音を立てて雨が降る。僕は外に出るのが億劫で仕方なかった。行かない選択は無理だ。刷りこみに近い、従わなければ面倒になるという経験則により、無意識に体は動く。

 日本独特の蒸し暑さに顔をしかめながら、約束通りの時間に喫茶店に到着する。

 湿った服の水分を玄関前ではたき落として正面のガラス戸から中を覗くと、日比野らしき姿が確認できた。

 入店すると、老紳士然としたマスターがカウンターの奥でソーサーを拭いていた。

 長い時を感じさせる古風な造りの喫茶店。ジャズ音楽が流れ、店内に染み渡っている。その優雅な音は、昼さがりの落ち着いた空間に似合っていた。ランチ時からずれていたこともあって他に客はいない。扉から一番遠い、角の席に日比野は座っていた。

「悪い。遅れた」

「今来たところだから気にしないで」

 これが恋人同士の会話だったら、ラブロマンスは始まるのだろうが、僕らの間に甘い雰囲気など欠片もない。それどころかいつの間にか秋を迎え、木枯らしが吹き抜ける寒々しさがあった。

 メニュー表を日比野に差しだされた。アイスコーヒーを注文して、提供されたお冷で喉を潤す。

「久しぶりね」

 常套句を日比野が絞りだすので、無難な返事をする。近況を報告し合ったところで話が途切れた。気まずい空気を感じて、所在ない手はお冷のグラスを触る。

 僕と日比野は連絡を交わし合うような仲ではない。さーやがいた当時でさえ、自宅の固定電話を使って連絡を取り合ったことはなかった。それほどまでに希薄な関係でありながら、僕と日比野はさーやを通じてお互いの存在を意識していた。

 日比野のはっきりとした形の二重は、僕と彼女を挟むテーブル中央に向けられていた。そのまま凝視し過ぎて穴が空くのではないかと思われた頃、日比野が本題の冒頭を口にした。

「私は今こっちに帰ってきているの。あなたは?」

「僕はずっとここに住んでるよ」

「……そう」

 日比野は何か言いたげに唇を噛む。そうして再び沈黙が訪れ、その静けさを破ったのもまた日比野だった。

「昨日、あそこにいたってことはあなたも、さーやのお墓に行ってきたのよね?」

 何も入っていない空(から)の墓。

「ああ」

 マスターの手によって注文のアイスコーヒーが届く。僕は日比野をうかがいながら、テーブルに常備されたシロップを入れた。

 日比野は僕を視線上に置くことなく、一点を見つめて黙っている。日比野が本題に入らない限り、僕が話すことはない。世間話をするような質ではないし、そういう間柄でもない。ストローでコーヒーをかき混ぜながら、暇潰しに店内に飾られたレコードを眺める。

「近いうちに、あなたに連絡しようと思っていたの」

 ようやく日比野が口を開いたとき、グラスの結露は水溜まりを作っていた。

「お願いが、あって。でもこんなこと、他の人に頼むことなんてできなくて」

 はっきりと言葉にすることが常の彼女にしては珍しく言いよどむ。

 日比野が僕を頼るということが、まず大きなイレギュラーだ。僕に頼るくらいなら、と平気で言い捨てそうな女だから。

「それは、僕だったら叶えられること?」

 殊勝な日比野の態度が愉快で、僕は調子に乗って先を促した。

 日比野は少し考えるように静止して窓の外を見た。先程よりは落ち着いた雨が降っている。一定のリズムで落ちてくる滴(しずく)をこのまま永遠に眺めているのではないかと思わせる時間。耳を澄ますとジャズ音楽と共鳴して、雨の音が小さく店内に響いている。

「叶えられなくても、一織だったら、必ず手伝ってくれると思ったのよ」

 日比野は僕と目を合わせようとしない。だから、窓の反射越しに彼女を見つめる。彼女の形のいい唇が動くのを待った。

「――さーやを、探したいの」

 僕は最初に彼女が話しだした時点で中断すべきだった。そうでなければいいと思っていた言葉に、僕は理解に苦しむ。戸籍としては死亡扱いにされた僕らの幼馴染。

 その存在を見つけたいと彼女は言う。

「なんで、今更」

 僕はそこまで言って止めた。そして言い換えて言葉にする。

「日比野は、「生きてる」と思ってる?」

 日比野は顔を歪めたが肯定も否定もしなかった。

 生きていてほしいという希望的観測はあっても、その確率は極めて低いことを、彼女は頭が悪くないから分かっている。それでもさーやの無事を祈る日比野の思いは理屈ではなく複雑なのだ。

 彼女は気持ちを押しこめるかのようにぽつりぽつりと吐露した。

「お墓ができたと聞いて、ショックだった。そこに何もないと思うとやり切れなくて、胸が苦しくて、悔しいの。本当にさーやはいたのかって自分でも不安になる。時間が経つにつれて記憶が薄れていくのが怖い」

 日比野にとってさーやは「守ってあげなければならない唯一」だった。それは近くにいればすぐに分かったことだ。僕はそれを、最も近くで見ていた一人だった。

 彼女はさーやをあからさまに下に見ていた。同い年でありながら、日比野自身が優等であることを譲らない。僕も、そして当事者のさーやも、その言動に否とは言わなかった。日比野は純粋な心で、さーやを守るべき者として庇護していた。

 さーやが突然いなくなって、一番混乱したのはきっと彼女だ。さーやという繋ぎがいなくなった。その頃の日比野のことを僕は全く知らないが、想像はたやすい。今まで守らねばと思っていた存在が消えたら、守れなかった者はどれほど苦しみ悩むか。

「私だけかしら? さーやに一番近いところにいたあなたが、さーやがいなくなっても平然と暮らしているあなたが、私にはとても理解できないわ」

 皮肉が込められているのをひしひしと伝わる。日比野から見た僕は、さーやの存在をなかったように平然と過ごしている薄情者なのだ。

 僕は結露で濡れたテーブルをなぞった。心中に重いものが圧しかかる。

 僕はもうずっと過去に囚(とら)われている。

 時間は誰にでも平等に流れていたはずだ。僕もまた中学を卒業し、高校、大学と進学した経歴が現実に残っている。精神状態を含めると、僕の時間はさーやの失踪という事件を境に停滞している。

 それを日比野は知らない。彼女からしたら平凡な日常を謳歌しているようにしか見えないのだろう。さーやではなく、僕がまだこの世に生きているのが憎いのだ。

「探したいのはさーや自身でもあるけれど、それが不可能に近くて難しいのは分かってる。だから、この町に残るさーやがいた証拠を、できるだけ見つけたいの。思い出と呼ばれるものでもいいから」

 日比野は真剣だ。今更なんかではない。

 七年の月日が経って、戸籍上の「死」という墓ができてしまったことでようやく思い出に触れる決意ができたのだろう。整理は事務的なものだけでなく、気持ちの方が随分と時間がかかるものだ。巡ることで日比野は心中を整理しようと考えているのかもしれない。それがなぜ今になって、というのはあまりにも滑稽で簡単な問いだ。

 さーやの墓が作られ、死者として扱われたことで踏んぎりがついたのだ。死者を弔(とむら)うためには見送らなければならない。真面目な日比野らしい思考回路だと言える。

 しかし、それらすべてを認めたくないというのが、日比野の中で最も大きな感情なのだろう。

 僕も真剣に答えなくてはならない。だからといって、何を言えばいい? 僕でさえ、答えのない迷路の住人であるのに。

 テーブルの上で手を組んで、僕は日比野の横顔を見つめた。

「さーやを探すことの、覚悟はできてるのか?」

 それがどれほど失踪した当時の傷を抉るかも知れないのに。

 さーやはもういないことを、如実に認識してしまうのに。

「できてるわ」

 迷いなく日比野は言いきる。彼女のこの思いきりのよさを、昔は厄介に感じたのを思いださせた。

「あなたこそ、覚悟がないなら、今この場で断ってちょうだい」

 意地なほどに僕とは視線を合わせようとしない。意思のある力強さが空気から伝わってきた。

「僕は――」

 そこで言葉がすぐには出てこなかった。

 きっとこの『思い出探し』とやらは意味をなさない。どんなに巡っても、虚無しか抱くことはできないだろう。

 期間が空き過ぎて僕の記憶も日比野の記憶も、そして町に残った思い出も、ほとんどが薄らいでしまっている。そんなことは最初から分かりきっているのに、参加する必要があるのだろうか。

 発想を変えてみた方がいいかもしれない。

 さーやの思い出が消えかかっているこの町に、痕跡がないことを確認するだけだ。

 日比野は落としどころがないから、今になって思い出という残骸にすがろうとしているのだ。

 徹底的に完膚なきほどに現実というものを知ったら、彼女は諦めを覚えるだろう。僕はそれを見届ける。ただそれだけの話だ。

「分かった」

 僕の頷きに、日比野は一瞬驚いた様子を見せる。眼光に力が込められて、唇を引きしめた。

「手伝って、くれるのね」

 『思い出探し』。さーやの残滓を追う旅。

「ああ」

 そう率直に言うと、日比野は安堵の息を吐いた。

「ありがとう」

 僕は氷の解けたアイスコーヒーを口に含む。ストローで一気に最後まで吸ってから、ふと沢田の存在を思いだした。

「日比野はいつまでこっちにいられるんだ?」

「来週の日曜には帰るつもりよ」

 この時期、お盆休みに重ねて帰省する者がほとんどだろう。上京組の沢田も、帰るのはその頃だ。それを踏まえた上で僕は日比野に提案をする。

「もう一人、協力者を増やしてもいいか? 僕よりも君に共感してくれると思う」

「かまわないわよ」

 日比野の了承を受け、使うことは絶対にないと思っていた、交換したばかりの連絡先にメッセージを入れた。


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