転生者は常識外れなのだが…

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7章 軍事介入

解放連合国④

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 奥の屋敷へ馬車を用い、向かっていく。祝賀ムードに近いような賑やかな様子に少し恐縮してしまうほどであった。国民がこれほどまでに笑顔で活発的に動いている姿を見て解放連合国を統治する者は一体どんな者なのか。一国の王でもある国王自身も好奇心を感じ、また家臣も唾を飲み込む姿が見え、複雑な気持ちになる。この国と戦争になったらこの笑顔はどこに行くのだろうか。心の奥底に沈み込んでしまうのだろうか。自分の行動ひとつでここまでの影響力があるのだと自分の目前で見せつけられた時、胃に痛みを感じ始めた。アルファ=インスペクターは眉ひとつ動かさず、ただ一心に外の光景を見ていた。彼の小さな網膜には何が映し出されているのか。その脳裏によぎるような考えをよそに奥にあった屋敷は目と鼻の先にまで近づいていた。

「ようこそおいでくださりました」

礼儀正しくお辞儀をする2~30代の女性に思わず、たじろいだ。国の強さは国力だけでなく国民の意識も大切である。ここまで統一された国家はこれまでにあっただろうか。

「施設に来られるのであれば、一言二言伝えてくださっていれば、パレードを開催させて頂きましたのに」

「すみませんね。なにぶんこちらの行動を決めてすぐにでも訪問したいという家臣たちの提案があり、お知らせするのが遅れてしまいまして……」

こちらの話すことがつき始め、話のそぶりが減ってきたのを見て、何か悟ったのか。話を切り、関係者に話しかけている。一見、失礼極まりないものではあったが、こちらも非礼をしているのでこの際目を瞑った。

「外務大臣が準備しておりますので、もうしばらくあちらの椅子に腰をおかけしてお待ちください」

軽く手で椅子を指示し、小走りで奥の方へかけて行った。王国として出来ることは待つ以外ない。そのため、指示された通り、椅子に腰掛け、少し待つことにした。その間、アルファが少し動揺している見えた。不自然ではあったが、別段、重要なことでもないため、あまり気には止めなかった。それから5分後ほど経った。黒服の制服とも考えられる服を着た男性が笑顔で声をかけてきた。

「お待たせいたしました。大臣が準備を終わりましたので、皆様をご案内致します。お足元をご注意ください」

言われるがままにその男をついていくように2列ほどになって移動する。その間、特段、驚いているような者がいないため、気味悪さを感じた。まるで事前に我々がくることを知っていたかのような態度であった。屋敷は発展的ではあったが、歴史がない薄っぺらい紙のような壁紙が一面に貼られ、外観はいいが、どうしても国家としての青さは隠せていなかった。ただ壁紙を貼る文化など王国にはないため、新鮮味があった。

「こちらでございます。大臣が控えておりますので、2回ほどよろしければノックしていただいてから扉を開けて頂ければ、幸いです。2回ほど、係のものが入りますが、気にせず対談をなさってください」

そう言うと、その男は「失礼します」と言い、戻って行った。ドアを2回ほどノックしてからそっと扉を開けた。そこから現れたのは気品のあるソファ。それらが2つほどあり、その1つに2名座っているのが見えた。その二人もしっかりとした服で身だしなみも素晴らしかった。男の方は星の形のした勲章に紫のリボンが垂れていた。女の方は長方形の勲章に赤のリボンが垂れ流されていた。恐らくあれは階級を表すのだろう。王国でもそういうものはあるが、勲章は国にかなりの影響および助けをした時、栄誉として国王直々に贈呈するものだ。解放連合国にとっては違うのかもしれない。そう考えていると、女の頭に一瞬、獣のような耳があるように見えた。驚き、家臣の方を見ると、アルファの口角が少し不自然に上がっていた。

「時間お取りして申し訳ありません。さあ、どうぞこちらの席へ」

そう言い、自分が座っていない方の椅子に手を向け、知らせてくる。彼が大臣だろうか。

「私はアルベルト=リベルトと申します。解放連合国で外交官の長である、外務大臣をさせていただいております。そしてこの者はリンネ=ライトで私の秘書をしてもらっています」

そう言うと、リンネと名乗る女は軽くお辞儀し、「リンネ=ライトと申します」と改めて名乗った。王国側も名乗る必要性があるので、各々、自分の名前を名乗り出た。軽い自己紹介が終わったところで本題を切り出す。

「解放連合国殿より我々王国に国書が届きました。そこにあった、『神のお告げによって我々はこれからの大戦の存在を確認している。この戦禍を減らすため協力を要請する』とはどう言う意味か説明していただいてよろしいでしょうか」

躊躇いもなく彼らは話し始めようとする。このことは予測していたのだろう。

「我々はアンネ=リリース殿下の神のお告げにより周辺に散らばっていた他民族を集合させ、これから起こる大戦の被害を少しでも小さくしようと列強で名の知れている王国殿に国書として参戦を要請したのです。大戦はもうすぐそこに迫っています。王国殿でも魔物の凶暴化は発見されておりませんか。魔王が復活し、魔物が力をつけ始めていると予想できます。このままでは爪も毛皮も持たぬ我々のような種族は根絶やしにされてしまうかもしれない。そう考えたからです。そうして国書をお送り致しました」

「なるほど。確かに魔物の凶暴化はこちらでも目撃されており、いま原因究明に乗り出しているところではあります。しかし、そこから対戦が起こることはこちらとしても納得をすることはできません。ですが、その兆しが見えてきていることは王国も了解しています。そのため、こちらも軍事体制を整えています。その大戦が我々が予想しているよりもはるかに大きな物であった時、王国が手が終えないと考えられます。我が国としても協力を要請いたします」

その返答を聞き、外務大臣は嬉々とした表情でこちらを見る。その目は確かに明るいものが写っているように思えた。

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更新が遅れてしまい申し訳ありません。更新頻度を上げられるように尽力していきたいと思います。
                             いつも読んでいただき、ありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします!
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