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5章2年生になったら
家に帰る④
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「アルファ、大丈夫か!?」
意識が遠のいていく。10分ほど経っただろうか。目を覚ましたらジャックが涙目になっていた。
「どうしたんだ?ジャック。宿題はどうした?」
「宿題は大丈夫だ。大丈夫か?」
「スピア、何故、俺は倒れたと思う?」
「え、恐らくですが、魔力…」
言葉を遮るようにジャックは言う。
「いや、魔力はあった」
その通りだ。魔力は十分にあった。
「答えはな、お腹が空いたからだ」
「「へ?」」
リアクションがあるのは嬉しいな。簡単にいくのはいささか用心が足りないのでは、とも思うが。
「ジャック、俺は夕食も食べた。しかし、俺の体は食料がないと判断した。それは何故だと思う」
「やっぱり、魔力を使いすぎたんじゃないですか?」
「いいや、そう言う訳じゃない。見ての通り、俺の魔力が枯渇することはない」
「じゃ、」
「どう言うことか」と聞きたいのだろうが、遮って言う。
「まぁ~要するに言うと、この魔術の欠点が発現したんだ」
「「「欠点?」」」
ここで寝ていた奴らも起き、俺の話を聞き出したようだが、全員が一斉に言う。
「美点とも言えるが、コントロールした時間、俺も活動するんだよ」
「じゃあ、つまり食べるものがなくて…」
「その通り!」
「えっ、じゃあなんでそんな危ないことをしたの?」
ベータが真剣な顔で言う。ちょっと怖い。
「これは意図してないんだよ。そもそも、食べ物を食べられないってどういうことだよ」
「えっ、確かに…」
ベータは考え込み出した。
「恐らくだが、未来で何かあったのだろう」
「えっ、何が…」
「それが起きたのは今から2週間後ぐらいの時だった」
「えっ、覚えているの?」
「当たり前だろう。この術式は術師と対象物を未来にコピーするのではなく経過させるものなのだから」
「なるほど、それで話を戻すけれど何があったの?」
「空襲を受ける…。食料庫が」
みんな驚いている様子だ。食料庫は頑丈だからな。
「え、それでなんで貴方がお腹をすかすの?普通、そんなことないでしょ」
「それは自業自得とも言えるが、俺の食料をみんなに横流しをしたんだよ」
「なんで、そんなことをするの…」
ベータは泣き出しそうな、怒ったような表情をあらわにする。俺には理由はわからない。
「貴方が死んだら…国力がどれだけ低下すると思ってるの。たかが、学生さん達に回すよりも貴方に回した方が国力の低下が防げるから上層部はそうしたんじゃないの?その意志を貴方は踏みにじったんじゃないの!」
ここまで、怒ったベータは見たことがない。しかし、その考えに賛同はしかねる。
「君は、僕にそんな価値があると?」
一瞬、ベータは怯んだような顔をしたが。
「ええ、そこら辺の市民よりは断然ね」
「俺のレベルが高いからか?それとも俺が魔法開発を推し進めて王国の軍事力をあげていっているからか?」
「貴方が死ねば、この国に大穴が開いたようなもの。そんなことはさせない」
「そうか、この国は戦争がしたいのか。だからなのか。王さまさんは周辺国家と戦いたいわけか」
「違う、戦いを望むものなんて…」
「じゃあ、何を望むんだ?圧倒的な力で周辺国家を支配することか?」
ベータは俺の頰を叩く。俺は赤くなった頰を撫でながら「…痛い」と言う。
「貴方は王国をどうしたいの。私だってみんなを死なせたくはないわよ!でも、それによって国が崩壊するのは…」
「すまなかった。ベータ、言いすぎたな」
「ごめんなさい、叩いちゃって。でもね、貴方の言うこともわかるの。兵器を開発する人は言う。『俺は、この国を守りたいと』言うけれど、みんなのために開発をしていた人の技術を利用して兵器にされた人はとても後悔をする。『兵器を私は作りたいわけではない』そう言うのよ。綺麗事ばかり言っても、国は回らないの。綺麗事を言えるのは、言わない人がいるだけだから」
「綺麗事で済まされた夢を俺はいつかは現実へずり下げてやりたいな」
俺がそう言うと、ベータは少し笑い、「そうね」と言う。周りの連中も安心したようだ。
-----------------------------------------------------------
さて、家に帰ってばかりじゃ、ダメですからね。次回から話の展開は変わります。(章は変更しません)
「夢」を「現実」にずり下げる…「夢」は上っ面なものではなく、それによって現実を変えていくものだと思います。
時間操作は実は、後継型があります。アルファはそれも、気づいています。にも関わらず、そんな副作用のあるものを使ったのでしょうか?ヒントとしてはアルファは未来を見る手立てをまだ持っています。
これについては、今回の文面からも読み取れるようにはしています。ぜひ、見返ししてみてください!
あと、矛盾点もありますね。これもヒントとして、アルファはお腹が空いているんですよね?
次回も早く更新できるように頑張っていきたいと思います!
読んで頂き、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします。
意識が遠のいていく。10分ほど経っただろうか。目を覚ましたらジャックが涙目になっていた。
「どうしたんだ?ジャック。宿題はどうした?」
「宿題は大丈夫だ。大丈夫か?」
「スピア、何故、俺は倒れたと思う?」
「え、恐らくですが、魔力…」
言葉を遮るようにジャックは言う。
「いや、魔力はあった」
その通りだ。魔力は十分にあった。
「答えはな、お腹が空いたからだ」
「「へ?」」
リアクションがあるのは嬉しいな。簡単にいくのはいささか用心が足りないのでは、とも思うが。
「ジャック、俺は夕食も食べた。しかし、俺の体は食料がないと判断した。それは何故だと思う」
「やっぱり、魔力を使いすぎたんじゃないですか?」
「いいや、そう言う訳じゃない。見ての通り、俺の魔力が枯渇することはない」
「じゃ、」
「どう言うことか」と聞きたいのだろうが、遮って言う。
「まぁ~要するに言うと、この魔術の欠点が発現したんだ」
「「「欠点?」」」
ここで寝ていた奴らも起き、俺の話を聞き出したようだが、全員が一斉に言う。
「美点とも言えるが、コントロールした時間、俺も活動するんだよ」
「じゃあ、つまり食べるものがなくて…」
「その通り!」
「えっ、じゃあなんでそんな危ないことをしたの?」
ベータが真剣な顔で言う。ちょっと怖い。
「これは意図してないんだよ。そもそも、食べ物を食べられないってどういうことだよ」
「えっ、確かに…」
ベータは考え込み出した。
「恐らくだが、未来で何かあったのだろう」
「えっ、何が…」
「それが起きたのは今から2週間後ぐらいの時だった」
「えっ、覚えているの?」
「当たり前だろう。この術式は術師と対象物を未来にコピーするのではなく経過させるものなのだから」
「なるほど、それで話を戻すけれど何があったの?」
「空襲を受ける…。食料庫が」
みんな驚いている様子だ。食料庫は頑丈だからな。
「え、それでなんで貴方がお腹をすかすの?普通、そんなことないでしょ」
「それは自業自得とも言えるが、俺の食料をみんなに横流しをしたんだよ」
「なんで、そんなことをするの…」
ベータは泣き出しそうな、怒ったような表情をあらわにする。俺には理由はわからない。
「貴方が死んだら…国力がどれだけ低下すると思ってるの。たかが、学生さん達に回すよりも貴方に回した方が国力の低下が防げるから上層部はそうしたんじゃないの?その意志を貴方は踏みにじったんじゃないの!」
ここまで、怒ったベータは見たことがない。しかし、その考えに賛同はしかねる。
「君は、僕にそんな価値があると?」
一瞬、ベータは怯んだような顔をしたが。
「ええ、そこら辺の市民よりは断然ね」
「俺のレベルが高いからか?それとも俺が魔法開発を推し進めて王国の軍事力をあげていっているからか?」
「貴方が死ねば、この国に大穴が開いたようなもの。そんなことはさせない」
「そうか、この国は戦争がしたいのか。だからなのか。王さまさんは周辺国家と戦いたいわけか」
「違う、戦いを望むものなんて…」
「じゃあ、何を望むんだ?圧倒的な力で周辺国家を支配することか?」
ベータは俺の頰を叩く。俺は赤くなった頰を撫でながら「…痛い」と言う。
「貴方は王国をどうしたいの。私だってみんなを死なせたくはないわよ!でも、それによって国が崩壊するのは…」
「すまなかった。ベータ、言いすぎたな」
「ごめんなさい、叩いちゃって。でもね、貴方の言うこともわかるの。兵器を開発する人は言う。『俺は、この国を守りたいと』言うけれど、みんなのために開発をしていた人の技術を利用して兵器にされた人はとても後悔をする。『兵器を私は作りたいわけではない』そう言うのよ。綺麗事ばかり言っても、国は回らないの。綺麗事を言えるのは、言わない人がいるだけだから」
「綺麗事で済まされた夢を俺はいつかは現実へずり下げてやりたいな」
俺がそう言うと、ベータは少し笑い、「そうね」と言う。周りの連中も安心したようだ。
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さて、家に帰ってばかりじゃ、ダメですからね。次回から話の展開は変わります。(章は変更しません)
「夢」を「現実」にずり下げる…「夢」は上っ面なものではなく、それによって現実を変えていくものだと思います。
時間操作は実は、後継型があります。アルファはそれも、気づいています。にも関わらず、そんな副作用のあるものを使ったのでしょうか?ヒントとしてはアルファは未来を見る手立てをまだ持っています。
これについては、今回の文面からも読み取れるようにはしています。ぜひ、見返ししてみてください!
あと、矛盾点もありますね。これもヒントとして、アルファはお腹が空いているんですよね?
次回も早く更新できるように頑張っていきたいと思います!
読んで頂き、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします。
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