転生者は常識外れなのだが…

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2章 冒険者ギルド編

冒険者として③

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 鍛冶屋の奥に連れていかれ、あまり視界が見えない暗い空間まで引き込まれた。
やっと明かりがあったかと思うとそこにあったのはいかにも武器を作る場所にあって職人が使いそうなものばかりである。

「冒険者なら剣の1つや2つ打てるようにならなきゃならねぇ。先ずは手本を見せてやっからよく見とれ」

そう言うとどこから取り出したのかわからないが金属を片手に持っていた。おそらく鉄である。鉄というのは金属の中でもポピュラーな部類に入るのだが、所詮は鉄。硬さが足りず、駆け出しの冒険者かよっぽどの物好きでないと持っていない。
大概の冒険者は見た感じ(以前、学園にあった鍛冶屋には多くの武器にオリハルコンという素材が使われていた。)が使われているのだろう。


それから職人は鉄が赤くなるまで魔法で熱し、そこから叩いて形を整えていた。無論、それだけでは無理なので魔法で整形していた。そして魔力のこもったハンマーのようなものを持ち、職人が気合を入れ始める。(俺は鍛治など一ミリも知らん。その為、専門知識等はないのだが、素人目でも職人が力を込めて剣に向かってハンマーを振り落としている姿には圧倒される迫力だった。)

「ふっ!はーっ!」
こうして剣は完成した。美しい。日本刀よりは切れ味は悪そうだが、仕方がないだろう。それはだからだ。
性能内容は酷いものだった。

「この剣にはあらゆるエンチャントかけている。と言ってもそれを制御するのはしていないから何か付与されているぐらいしか分からんが。鑑定によると、完成度は7か。まあまあだな。」

完成度とは15点満点中の総合点数である。普通の鍛治職人では5いけばすごいと言われる。しかも素材が鉄なのにもかかわらずである。最高の素材であるミスリルを使って、人間最高峰の鍛治職人が武器を作ったとしてもそれは10か11ほどになるそうだ。
鉄ならば7いけばすごすぎると思うのだが。(辞書ガイド君情報ですよ。)

「じゃあ小僧もやってみろ」

「は、はい」
そう言い、俺は素材として何かないかと聞くと、先ずは鉄だと鉄を勧めてくれた。その為、俺はそれを買い、剣を作った。
作り終わった頃には鍛治スキルが10を超えていた。(そんな事気付いていないが)

「これでどうでしょうか」

「ここまでとは小僧中々良いじゃないか。これならオリハルコンで自分の装備を作ってみろ。何、金は取らん。」
そして、朝に来たこの鍛冶屋に昼ぐらいになった頃だろうか。俺はオリハルコンの装備を作り始めた。鍛治職人は何処かに行った為、防具の作り方がわからない。その為、俺がいつも使う剣…ではなくを作る。だが、そんなことができるのかと聞いてみると、

「可能です。スキルには最適な動作で鍛治作業をする機能があります。それはスキルのレベルによりますが。後、最後に魔力を込めてそれを叩くでしょう、それが完成度の大きな基準でもあります。」

「了解。やってみるか」


それから朝まで剣を作っていた。そして太陽がまだ見えない、3時ごろだろうか?そのぐらいに最終工程へと入った。
先ず、魔力をハンマーのような物に纏わせる。その時の魔力量はほどほどがいいだろうと魔力を通した。
そして刀に向けてスキルによって最適化された角度、そして強さで仕上げをした。
やっと完成した時に職人が帰ってきた。

「お前さん、鍛治職人にならないか」

「嫌です。私は元々、冒険者ですから」

「昨日、になるのか?まぁ良い昨日、お前さんが作ったあの武器の完成度が9だったんだ。あの時も物凄いできの良いものだとは思ったが、ここまでとは思わなかった。さっきふと調べたらそうなっててな。直ぐに、冒険者ギルドに行ってこれのことを報告してきたんだ」

「それで結局、どうなったのですか?」

「王と会ってもらうことになった。その武器も見せてくれ」
ジロジロ見ると、
「完成度12!?これは本当に会わせんといかんな。ぶっ飛んでる」


それから一先ず、ワイバーン討伐報酬をもらいに行った。

「すみません。報酬ってもう貰えますか?」

「は、はい。こちらになります」
そこにあったのは金貨1000枚の価値のある黒金貨11枚と白金貨2枚だった。
日本円だと1億1200万円になるのだが…

「えっと多すぎませんか?」

「いえ、国への攻撃を未然に防ぎ、更には貴重な資料も提供していただいたので(ワイバーンの死体)こちらとしてはこのくらいは出すんです。まぁ~これは国からの報酬なのですが。」

「そ、そうですか。」

「あと、ランクをSSSまで上げるとのことです。」

「えっ本当ですか!」

「はい」

びっくりしながらもアイテムBOXに詰め込み、受付の人に礼をしてギルドを後にする。


鍛冶屋に戻り、職人に王に絶対に合わないといけないのか聞くと『もちろんさ。』と言われてしまった。ここまで言われれば仕方なく行くしかない。そう思い始めていた。


それから3日後、王城に行って王に会いに行った。

「あの、陛下いつかお会いしませんでしたか?」

「ああ、貴君きくんが入学してきた日に校長とワシがおったんじゃよ。まぁ~儂は話しかけられんように意識逸らしの魔法をかけておいたのじゃよ。」

「ところで、陛下、ご用件は何でしょうか。」

「あ~そうじゃった。すまない。本当にすまない。この件に関してはわしの責任じゃ」

「?どういうことでしょうか?」

「貴君は学園を卒業できなかった。と言うより一応は卒業できたがそれは形式のみだ。その為、これからの人生を左右するかもしれない。だから儂は、貴君を王立第一魔法学園に入学してはどうかと思ったのじゃ。」

「ですが、私は別に学園で学ぶことなど」

「だから貴君をとして入学してくれれば君だけ個別指導が受けられる。まぁ~座学に関しては一緒に受けてもらうが。」

「ハァ~分かりました。その機会を用いて私に成長しろということですね。」

「まぁ~そうじゃのう。あと、ギルド員としての扱いは今まで通りであるぐらいかの。」

「あの、学園にいると依頼は受けれないのですが。」

「その点は大丈夫じゃ総員集合依頼がでない限りは出動義務はない。まぁ~たまに依頼が回ってくるかもしれないが、それには義務はない。だが、報酬が弾むかもしれないな。後、武具の件だが、それについてはいい。恐らく君なら辞退するのだろうし。」


そういうことで俺は学園にまた入ることになった。だが、入学式は過ぎている為、編入という形らしい。入学は1週間後。それまでに依頼をこなしておいておこう。

「依頼なんかありませんか?」

「そうですね。たまにはこんなのはどうでしょうか?」

「成る程、草原の魔力の回収ですか。ですがどうやりましたっけ?」

「えっとですね。この瓶に草原で魔力を入れてください。それだけです。」

「え、えっとそれだけなら日帰りでいいんじゃ…」

「草原の距離が遠いし、その道中の魔物も強いんですよ。」

「なるほどです。じゃ依頼受けます。瓶ください。」
瓶をもらい、草原へ向かう。だが、この依頼の報酬を彼は見ていなかった。それは後に、彼自身を困らせるのだが。


草原へ一直線に向かっていると先ほど起動した辞書ガイド君が言う。

「先日の鍛冶屋での一件以来、マスターのスキルはおぞましい進化を遂げています。進化させますか?」

「ああ。」

「進化させます。鍛治スキルや全属性魔法等のスキル、そして戦闘スキルを統合し、戦闘関連スキルに変化させます。これの使用には私の進化が必要なので私を進化します。辞書ガイド君からナビゲーターに進化。又、一部スキルを除き、スキル統合により神の業が使えるようになりました。そして、内容説明をします。神の業は複製コピー等のチートスキルが統合されています。現在使えるのは、戦闘関連スキルと神の業とマップとアイテムBOX等になりました。」

「お疲れさん。」

「因みに私は常時稼働ですからね。」

「は、ハアアアァァァ?」

「ま、マジですか。」

「はい。マジです。」


そんなこんなで草原へ到着。素早く瓶の中に魔力を込める。

「こんな感じか?」

「はい。そんな感じですね。」

「……ONとOFFって出来る?」

「…分かりました、空気を読んで対応します。」
任務は終了だ。これで俺らも帰れる。かれこれ2日かけてきたからな。たまにはのんびり行くのもいいかと思ったし、のんびりきたのだが。


場所はギルドで。

「報酬は精霊…ですか?」

「はい。これは陛下があなたにプレゼントしてくださった依頼だったんですよ。」

「そうだったんですか。」

「では、これを。それは契約の瓶です。それを持ったまま、と唱えてください。そうすれば精霊がきます。そしたら精霊と契約してください。契約すると手にその紋様が現れます。因みに本来ならこれは学園でされるはずだったんです。他の方々にも同じ処置をしているので気に病まないでもいいですよ。」

「ありがとうございます。ではやってみます。」

さっきの説明の通り呪文召喚を唱えてみると、あたりが光り出したのである。もちろん、闘技場でだ。危ないし。

「貴君が我のマスターとなる者か。なるほどこれ程の加護見たことがない。コレは私じゃないと解けんな。」
そう言い、俺の加護をシャボン玉のように割る。俺はその目の前にいる者に見覚えがあるような気がした。
と言うよりかは、この世界の住人なら知っているようなやつだ。


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