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第3章

第49話

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 それから数日。とにかくひたすらに本を読んだ。重要文献と言うだけ合ってこの国がどのようにして成り立っていたとか、どれくらいの人が住んでいたかとか、そういうことが事細かに記されていた。
 そのため、ある程度の状況が分かったのだが、やはりなぜここが滅んでしまったのかというのがよく分からなかった。謎は深まるばかりだ。

 分からないことはとりあえず放っておいて、ひとまずこの国、地下文明の概要について分かったことがある。

 私の予想の通り、この国は王政をとっていなかったらしい。人口は最大時でおよそ1000人ほどいたらしく、この場所の面積からして相当な人数が住んでいたことが分かる。
 その政治形態は直接民主制とも間接民主制とも取れるような物で、頻繁に開催された会議にその1家の代表者が1人出席。それで行われていたらしい。
 とは言ってもリーダーがいなかったわけではないそうで、毎年1人リーダーを選出してその人の下で1年間活動を行っていたそう。
 こんな洞窟の中ではもちろん食料品など生産できるわけもなく、木材や食料品のほとんどは外から持ってきていたらしい。
 ただ、そのときに外に出るのはほんの数人で、一生を穴の中で終えた人ももちろんいるみたいだ。

 この国の重要な産業は金属や宝石の生産。この洞窟内からあらゆる方面に坑道を掘って、金属や宝石の採集を行っていたそうだ。それを加工して外で売る。
 これが主な産業だったそう。
 この洞窟に多いときで1000人。ただ、狭く暗い洞窟の中と言うだけ合って、全員が顔見知り状態。そのおかげで争いなどはほとんどなく長い間やってこられていたらしい。
 なぜここが滅んでしまったのか。それにさらに興味が湧く。

 驚いたこととして、この場所では子供の教育が行われていたそうだ。大人達が協力して子供達を教育し、この場所で生きていくための知恵を教え伝えていった。
 魔法の才も皆あったそうで、外とは転移門でつながっていたそう。私がここに入ってきたのもその転移門に足を踏み入れたからだろう。
 その転移門は構造上よく壊れていたらしく、その修理の時は非常に大変だったそうだ。外に出るために空気穴を登り、外側内側の両方で修理をしたと。
 ここに来る前の洞窟で、下まで伸びていた穴はその空気穴だったのだろう。

 この国の成立は天暦203年。今この世界は神暦835年。天暦なんて言う暦ではないわけで、相当昔だと言うことが分かった。
 ただ、この天暦という言葉はどこかで聞いたことがあったので、この場所に合った資料とはまた別の、持ち合わせの資料である程度調べてみた。
 その結果分かったこととして、まずこの世界の暦は1000年ごとに変わっていく。今は神暦だが、あと165年経って1000年を迎えると、この神暦という暦はまた別の物に変わるそうだ。
 そしてこの天暦は神暦の1つ前。2個とか3個とか前だったらどうしようと思っていたのだが、普通に1つ前だった。それでも凄いけど。
 ということは、単純計算で1600年以上前に成立したのがこの国だそうだ。それからどれだけ続いたかというのは詳細は分からないのだが、最低でも300年は続いているようだ。
 ということは、早くて1300年前には既に滅んだ文明。よく300年も持ったものだ。

 この国の出来た経緯として、作り物なのかはたまた本当の話なのかは分からないのだが、ここにある書物にしっかりと記載されていた。

 この国の初代のリーダーは、ある日天からとある物を受け取った。そのものは世界を混乱に陥れる様な物であったために、そのものを隠すために付近にあった洞窟の奥深くに封じ込めた。
 その場所がここで、それからその男は宝を守るためにこの洞窟内で生活を始めるようになった。そしてこの洞窟をどんどんと開拓していき、いつの間にか町が形成されていたと言うことだそう。
 その贈り物は何だったのか。どこに隠されたのかなどはこの文献で見ることが出来なかった。

「宝とやらに少し興味があるなぁ」

 やっぱり財宝って不思議な魔力を帯びていると思うんだ。体が引きつけられていく。もう少し文献を漁ってみよう。
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