上 下
13 / 95

面接

しおりを挟む
 私面接って結構嫌いで、服装自由だとかそういうやつ。なんか察しろみたいなやつが本当に嫌いだった。スーツ着てほしいなら服装自由って書くなよって思うし、本当のこと言って的外れだったら普通に落とすでしょ?
 後者のほうはまあ面接は言ってしまえば人選なわけなのでしょうがないとは思うが、前者はひどいだろう。
 でもこの世界にはスーツとかいう概念が存在しないのでいいね。



 面接が始まった。
 面接は1回の中でも3回のフェーズに分かれて行うことにしており、第1フェーズはありきたりな質問を投げかけていく。そして、その中でも嘘やあまりにも酷い回答があった場合はそのまま失格としてご帰宅いただく。
 次の第2フェーズはその人の実力がどのくらいの物なのかを見極めていくフェーズだ。いくら正直でも実力が伴っていなかったら採用することはできない。
 そして最後に第3フェーズでは主に性格を確認していく。これは性格に難があって、私ではまとめることができないと判断した人を落としたり、合わなそうな人たちを別の部署に配属したりするためだ。
 部署内の空気が最悪だったら士気も上がらないし効率だって下がっていくものだ。このような判断をしっかりすることが面接官の役目だろう。



「では志望動機をお願いします。」
「はい!4人の国王陛下に認められ、国を円滑に運営していくための努力を惜しまない陛下の姿にあこがれ、ぜひ陛下の元で働きたいと思ったからです!!」
「はい。ありがとうございました。」
(神?これはどうだ?)
(うん、真っ赤な嘘だね。1ナノメートルもそんなこと思ってはいないよ。)

 嘘をついたものは落とす、これは私の面接においては絶対だ。
 すでに落とすことが確定だったが、一応その後テンプレートの質問をいくつか投げかけてみた。しかし、ほとんどが嘘の返答。最後に自己アピールの時間を取った後に退出してもらうことにした。

「では、これにて面接は終わりです。ありがとうございました。」
「待ってください!最後に私の特技を見てください!」
「はい、そのようなことは先ほどの自己アピールの時間に行うものです。すでに面接は終了しておりますので素早く退出してください。」
「待ってください!陛下!!」

 面接において自身の持ち時間は面接官から与えられる時間のみだ。その与えられた時間内でどう自分をアピールするのが大切なわけで、このような手口を用いられて自分をPRされるのは正直言って不愉快だった。
 後ろ詰まってるんだ!早く出てってくれ!!

 面接に来た大半の人が嘘をついたりこのように持ち時間以外でも自分をPRしようとするような人たちだった。この世界でもこういうテンプレートって存在するんだな。
 あ、あとこんな人もいたな。



「では志望動機をお願いします。」
パサァッ(髪をなびかせる。)
「私はオースガーン王国、メルト伯爵家が3男、メルト・フォン・カルトレインだ!そなたの美しきそのお姿に惚れ込み、婚姻を申し込むためにここに来た!」
「はい。ここは婚活の会場ではないので速やかにお引き取りください。」
「え、ちょ!待ってください!私のこの美貌が目に入らないのですか!陛下!!」

 やばいでしょ?
 しかもこんな感じの人がほかにも何人かいたのがやばいところ。
 実は私の元には様々な国の貴族からお見合いの申し込みが届いているのだ。そりゃ新しい国の国王でしかもまだ誰も婚約者がいない。私と結婚してこの国の政治に入り込みたい家はいくらも存在するのだ。
 まあ私はこんな感じの政略結婚はする気はないのでいくら送っても無駄だ。私は普通に恋愛結婚をしたい。いやするのだ!!
(恋愛?できるの?)
 うるさぁぁぁああい!!!!!

 

 前者後者含めてそのような人たちはもちろんいくら優秀な人でも落とすわけで、結局面接試験を突破したのは100分の1とごくわずかであった。

「では志望動機をお願いします。」
「お金がなかったからです!」

 実際にあった発言の1つなのだが、正直こっちのほうが私としてはいい。
 この者は面接試験を突破している。しかもなかなか優秀な人材で、経理が一通りできる。もともと大きな商会の跡取りだったようで、その商会が別のもっと大きな商会によって潰されて路頭に迷っていたところでこの募集を見つけたようだ。
 性格に関しても結構正直に言ってしまうところはあるが、相手が国王だからとして物怖じせずにバスッと言ってくれる人材は極めて重要だし、話を聞く限りは社交的で極めて魅力的な人材だった。
 神様からも高評価で、この人は雇おうと思う。

 他にも様々な人材が集まっていて、面接を勝ち上がった人たちは雇いたい人たちが多い。
 さすがに王城では仕事がないので面接落ちとしたが、大道芸人が来たりと終わってみては非常に面白い2日間となった。

 ここで勝ち上がった人たちは1週間この王都で過ごしてもらい、最終面接、及び実技試験を行って採用かどうかを決める予定だ。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約していないのに婚約破棄された私のその後

狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
「アドリエンヌ・カントルーブ伯爵令嬢! 突然ですまないが、婚約を解消していただきたい! 何故なら俺は……男が好きなんだぁああああああ‼」  ルヴェシウス侯爵家のパーティーで、アドリーヌ・カンブリーヴ伯爵令嬢は、突然別人の名前で婚約破棄を宣言され、とんでもないカミングアウトをされた。  勘違いで婚約破棄を宣言してきたのは、ルヴェシウス侯爵家の嫡男フェヴァン。  そのあと、フェヴァンとルヴェシウス侯爵夫妻から丁重に詫びを受けてその日は家に帰ったものの、どうやら、パーティーでの婚約破棄騒動は瞬く間に社交界の噂になってしまったらしい。  一夜明けて、アドリーヌには「男に負けた伯爵令嬢」というとんでもない異名がくっついていた。  頭を抱えるものの、平平凡凡な伯爵家の次女に良縁が来るはずもなく……。  このままだったら嫁かず後家か修道女か、はたまた年の離れた男寡の後妻に収まるのが関の山だろうと諦めていたので、噂が鎮まるまで領地でのんびりと暮らそうかと荷物をまとめていたら、数日後、婚約破棄宣言をしてくれた元凶フェヴァンがやった来た。  そして「結婚してください」とプロポーズ。どうやら彼は、アドリーヌにおかしな噂が経ってしまったことへの責任を感じており、本当の婚約者との婚約破棄がまとまった直後にアドリーヌの元にやって来たらしい。 「わたし、責任と結婚はしません」  アドリーヌはきっぱりと断るも、フェヴァンは諦めてくれなくて……。  

騎士学院のイノベーション

黒蓮
ファンタジー
 この世界では、人間という種が生存できる範囲が極めて狭い。大陸の大部分を占めているのは、魔物蔓延る大森林だ。魔物は繁殖能力が非常に高く、獰猛で強大な力を有しており、魔物達にとってみれば人間など餌に過ぎない存在だ。 その為、遥か昔から人間は魔物と戦い続け、自らの生存域を死守することに尽力してきた。しかし、元々生物としての地力が違う魔物相手では、常に人間側は劣勢に甘んじていた。そうして長い年月の果て、魔物達の活動範囲は少しずつ人間の住む土地を侵食しており、人々の生活圏が脅かされていた。 しかし、この大陸には4つの天を突くほどの巨大な樹が点在しており、その大樹には不思議と魔物達は近寄ろうとしなかった。だからこそ魔物よりも弱者であるはずの人間が、長い年月生き残ってきたとも言える。そして人々は、その護りの加護をもたらす大樹の事を、崇拝の念を込めて『神樹《しんじゅ》』と呼んでいる。 これは神樹の麓にある4つの王国の内の一つ、ヴェストニア王国に存在する学院の物語である。

家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった… そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。 詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。 ※※※※※※※※※ チート過ぎる転生貴族の改訂版です。 内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております ※※※※※※※※※

【完結保障】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。 そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。 悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。 「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」 こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。 新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!? ⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです⭐︎

『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。 ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。 制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。 「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」 チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。 そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。 その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。 その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。 この男がどんなスキルを使うのか。 ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。 ※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様

森だった 確かに自宅近くで犬のお散歩してたのに。。ここ  どこーーーー

ポチ
ファンタジー
何か 私的には好きな場所だけど 安全が確保されてたらの話だよそれは 犬のお散歩してたはずなのに 何故か寝ていた。。おばちゃんはどうすれば良いのか。。 何だか10歳になったっぽいし あらら 初めて書くので拙いですがよろしくお願いします あと、こうだったら良いなー だらけなので、ご都合主義でしかありません。。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

夫に離婚を切り出したら、物語の主人公の継母になりました

魚谷
恋愛
「ギュスターブ様、離婚しましょう!」 8歳の頃に、15歳の夫、伯爵のギュスターブの元に嫁いだ、侯爵家出身のフリーデ。 その結婚生活は悲惨なもの。一度も寝室を同じくしたことがなく、戦争狂と言われる夫は夫婦生活を持とうとせず、戦場を渡り歩いてばかり。 堪忍袋の緒が切れたフリーデはついに離婚を切り出すも、夫は金髪碧眼の美しい少年、ユーリを紹介する。 理解が追いつかず、卒倒するフリーデ。 その瞬間、自分が生きるこの世界が、前世大好きだった『凍月の刃』という物語の世界だということを思い出す。 紹介された少年は隠し子ではなく、物語の主人公。 夫のことはどうでもいいが、ユーリが歩むことになる茨の道を考えれば、見捨てることなんてできない。 フリーデはユーリが成人するまでは彼を育てるために婚姻を継続するが、成人したあかつきには離婚を認めるよう迫り、認めさせることに成功する。 ユーリの悲劇的な未来を、原作知識回避しつつ、離婚後の明るい未来のため、フリーデは邁進する。

処理中です...