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90話目 夏海との会話
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「ふぅ……、疲れた。」
ゲームからログアウトし、左側の壁にかけてある猫型の振り子時計に目をやると、すでに今日は終わり、新たな今日が訪れていた。
「こんなに籠ってたか。」
それもそのはず、朝の9時ごろはじめて15時間籠っていたわけだ。
0時を超すのは当たり前だろう。
私は、全身がすっぽりと収まるようにできている専用のゲーム機からゆっくりと抜け出し、左側にあるもう1つのゲーム機に目をやった。
しかし、そこには夏海の姿はなく、私はそのまま1階下にある私たちの家の大きなリビングへと向かった。
「あれ?電気がついてる。」
おそらくリビングに電気はついておらず、夏海はすでに夢の中にいるだろうと思っていたのだが、その予想は外れたようだ。
私の予想はあまり外れないのだが、珍しいことである。
私はドアノブに手をやり、ドアノブを下に下げながら扉を開ける。
「お!夕日お疲れ!」
リビングに入ると、中央に置いてある大きなソファーに夏海が腰を掛け、テレビを見ながら優雅にワインを飲んでいた。
夏海は24歳で、お酒を飲むことのできる年齢だ。
ワインはお酒の中ではフルーティーで飲みやすいといっていたのだが、私はまだ16歳の未成年なので、その言葉が真実かどうか確かめるにはまだ時間がかかるだろう。
私はてくてくとソファーの方へと歩き、夏海の隣にゆったりと腰を掛けた。
「2人はどう?」
「2人とも頑張ってるよ。腕も相当いいし、これはもっと訓練すれば化けるよ。」
「そっか。」
私は机の上に置いてあるおつまみ用のカルパスを手に取り、1つ口の中へと放り込んだ。
「カルパスはおいしいね。……やっぱりワインに合うの?」
私がそう質問を投げかけると、夏海は少し大きめな声で元気よく返事をした。
「そりゃ合うさ!ベストマッチよベストマッチ!」
「ふーん、そうなんだね。」
私もお酒を飲めれば一緒にこの話で盛り上がることができるのだろうな。
私はそう思いながらソファーを立ち、少し歩いたところにある冷蔵庫へと手を伸ばす。
冷蔵庫の中にはスーパーで買った1リットル紙パックに入っているぶどうジュースが入っている。
私はそれを手に取り、縦に長いガラスのガラスのグラスへと注いだ。
「ワインとぶどうジュースじゃ味は違うよ。」
「いいんだよ、乾杯。」
「うん、乾杯。」
どうやらワインに合うと評判のおつまみはぶどうジュースにも合うようだ。
「で、装備の方はどんな感じなの?」
「えーっとね、まだあまり進んではないんだよ。取り合えず今はどんなのにしようか考えてるっていう感じだね。」
私たちはそれぞれの飲み物を手にしながらテレビを見ている。
テレビに映っていたのは日本のふるさとの風景を届ける番組だった。
「……夕日、こういうところに行きたいの?」
「あれ?バレた?」
私は表情を変えずにテレビを見ていたつもりでいたのだが、どうやら多少顔に出ていたらしい。
そういうところに現実世界で訪れたことはないので、少し興味があったのだ。
「まあそうだね。私はこういうところに行ったことがないから。」
私がそういうと、夏海は立ち上がり、手を組んで裏返し、大きく伸びをした。
そうして私の方を見た。
「じゃあ、大会が終わったら行こっか。」
私は考える時間すら自分に課すこともなく、一切の間も入れずに即答した。
「うん。」
私は机の上に置いてあったぶどうのジュースを飲み干し、歯を磨いてそのまま眠りについた。
ゲームからログアウトし、左側の壁にかけてある猫型の振り子時計に目をやると、すでに今日は終わり、新たな今日が訪れていた。
「こんなに籠ってたか。」
それもそのはず、朝の9時ごろはじめて15時間籠っていたわけだ。
0時を超すのは当たり前だろう。
私は、全身がすっぽりと収まるようにできている専用のゲーム機からゆっくりと抜け出し、左側にあるもう1つのゲーム機に目をやった。
しかし、そこには夏海の姿はなく、私はそのまま1階下にある私たちの家の大きなリビングへと向かった。
「あれ?電気がついてる。」
おそらくリビングに電気はついておらず、夏海はすでに夢の中にいるだろうと思っていたのだが、その予想は外れたようだ。
私の予想はあまり外れないのだが、珍しいことである。
私はドアノブに手をやり、ドアノブを下に下げながら扉を開ける。
「お!夕日お疲れ!」
リビングに入ると、中央に置いてある大きなソファーに夏海が腰を掛け、テレビを見ながら優雅にワインを飲んでいた。
夏海は24歳で、お酒を飲むことのできる年齢だ。
ワインはお酒の中ではフルーティーで飲みやすいといっていたのだが、私はまだ16歳の未成年なので、その言葉が真実かどうか確かめるにはまだ時間がかかるだろう。
私はてくてくとソファーの方へと歩き、夏海の隣にゆったりと腰を掛けた。
「2人はどう?」
「2人とも頑張ってるよ。腕も相当いいし、これはもっと訓練すれば化けるよ。」
「そっか。」
私は机の上に置いてあるおつまみ用のカルパスを手に取り、1つ口の中へと放り込んだ。
「カルパスはおいしいね。……やっぱりワインに合うの?」
私がそう質問を投げかけると、夏海は少し大きめな声で元気よく返事をした。
「そりゃ合うさ!ベストマッチよベストマッチ!」
「ふーん、そうなんだね。」
私もお酒を飲めれば一緒にこの話で盛り上がることができるのだろうな。
私はそう思いながらソファーを立ち、少し歩いたところにある冷蔵庫へと手を伸ばす。
冷蔵庫の中にはスーパーで買った1リットル紙パックに入っているぶどうジュースが入っている。
私はそれを手に取り、縦に長いガラスのガラスのグラスへと注いだ。
「ワインとぶどうジュースじゃ味は違うよ。」
「いいんだよ、乾杯。」
「うん、乾杯。」
どうやらワインに合うと評判のおつまみはぶどうジュースにも合うようだ。
「で、装備の方はどんな感じなの?」
「えーっとね、まだあまり進んではないんだよ。取り合えず今はどんなのにしようか考えてるっていう感じだね。」
私たちはそれぞれの飲み物を手にしながらテレビを見ている。
テレビに映っていたのは日本のふるさとの風景を届ける番組だった。
「……夕日、こういうところに行きたいの?」
「あれ?バレた?」
私は表情を変えずにテレビを見ていたつもりでいたのだが、どうやら多少顔に出ていたらしい。
そういうところに現実世界で訪れたことはないので、少し興味があったのだ。
「まあそうだね。私はこういうところに行ったことがないから。」
私がそういうと、夏海は立ち上がり、手を組んで裏返し、大きく伸びをした。
そうして私の方を見た。
「じゃあ、大会が終わったら行こっか。」
私は考える時間すら自分に課すこともなく、一切の間も入れずに即答した。
「うん。」
私は机の上に置いてあったぶどうのジュースを飲み干し、歯を磨いてそのまま眠りについた。
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