地球のお引越し

ハル

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1. はじまり

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今年は、金近年きんきんねんの年として、地球制御連合(地制連)が太陽との距離を詰めて金星に接近すると年末のニュースで言っていた通り、年初からじわじわと気温が上がり、今では日中70度が当たり前になっている。

地制連は、今から30年前、地球温暖化対策の研究を契機に結集された、世界の知性の集まりである。

現在は、CACS(CORE AUTO CONTROL SYSTEM)が昨年より本稼働し、地球の自転を制御している。

一方宇宙では、アースシェードという、太陽からの熱を抑える巨大ステーションも稼働させ、今年、太陽に近づいても地球の温度上昇を抑えられるかの実験がスタートした。

日本地区でも、地制連の計画に基づき、何年も前からインフラ整備が進められてきた。

最初に着手したのは、太陽光を採り入れる為の、パネルを搭載した屋根。昔と違い日本家屋用の瓦タイプや、中東の煉瓦れんがタイプや、ビル用の窓ガラスタイプやタイルタイプまでもある。これにより太陽光だけのエネルギーで生活できるようになったのも遠い昔の事だ。

次に着手したのは、地下インフラの整備だった。
地制連の計画に温度上昇対策があり、地上を歩くには特別な耐熱スーツを着用とあり、当初はスーツを開発、販売した企業の製品が飛ぶように売れたが、地上を歩くのではなく、地下で自由に行き来する地下都市計画が後から採用され進められた。

「総理、大変です…。」

旧首都だった、東京エリアにある、統括本部に激震が走る。

地下都市計画の離島責任者である、大和浩太やまとこうたが駆け込んで来た。

「地下都市計画に反対して、工期の遅れていた離島エリアが…。」

「…離島エリアがどうした?…」

「れ、連絡が途絶えました。」

工期遅れの場所は、気温の上昇と共に生活環境に馴染めない人間を含む生き物が死滅していった。

「…そうか、警戒偵察ドローンを飛ばして、地上の様子と、建設途中の地下施設に生存者が居ないか、映像を送るよう依頼してくれ…」

「は、はい!」浩太は統括本部から出て、救活本部へドローンの手配と、映像配信の依頼をした。

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