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第四話 キックオフ

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社内の中会議室でキックオフミーティングが行われた。

各部門からは二、三名が選抜され召集されている。

システム2課の赤木主任が司会を務めた。
赤木先輩も中々のイケメンで山田課長に忖度した2課の人選かなと道夫は思った。

その道夫は今回の議事録を作成するように山田課長から指示された。

見渡すと、総務部の佐々木萌絵さんがいた。

「えっ、なんで?…」と声が出てしまった。

ても一緒に仕事ができるのは、道夫に取っては嬉しい反面、萌絵さんばかり見ていて、手が止まってしまっていた。

ミーティング終了後、山田課長が"イケミチ"と道夫を呼んだ。

「今日の議事録を見せてくれる?」

「あっ、まだ…清書できて無いんですが…」

「いいから持ってきて!」

道夫は困ってしまった。

仕方なく落書き程度に書いた議事録を持っていくと課長は

「はぁ、」と深いため息。

「イケミチあなたねぇ、顔はカッコいいんだから、仕事もできたらモテるよ…でも私にしたらモテない方が良いけどね!」と言われ書きかけの議事録を返された。

「それと、議事録今日中に作成して参加者全員に送って…送る前には私に先に見せてね」と最後は優しい言葉で終わった。と思っていた。

席に戻ると道夫は、パソコンに向かってひたすら入力した。

終業のチャイムが鳴った。でもまだ議事録が出来ていない。

一人、二人と帰って行く、気がつけば課長と二人だけになっていた。

道夫は自分の為に残っている課長に申し訳無く思い、今の状況を報告しに行く事にした。

「山田課長すいません、まだ出来て無くて課長を待たせて申し訳無くて…」

「そう、あとどれくらいでできるのかしら?」

「2時間、いや3時間位かと…」

「イケミチあなたねぇ、そう言う言い方をする人にその時間で出来た人は居ないのよ!」

「直ぐに私の横にパソコン持ってきて、言う通りに入力しなさい」

道夫は慌てて席に戻ると、言う通りにパソコンを課長の席に持っていって並んで座った。

ほとんど打ち直しになったが、1時間でできあがり、参加者全員へメールを終えたのは20時少し前だった。

帰り支度をして課長にお礼と帰りの挨拶に行くと、食事を誘われた。

「ご苦労様、イケミチお腹空いてない?」

「…」

「私はこんなに遅くなってお腹空いたんだけど?」

自分の為に残ってもらった負い目から

「僕もお腹空きました。」と言ってしまった。

こうして二人は、夜の新宿の街に繰り出して行った。

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