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sequence:46『推理』

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 格闘ゲームで涼に負けた瑞樹は素直に彼の腕前を称賛した。

「流石だね、涼。読み切ってそのまま勝ち切るなんて」

「そちらの読みの裏をかけたからですよ。もう一戦やったら勝てるかどうか分かりません」

 涼は素直にそう思った。駆け引きでは瑞樹の方が勝り、それは格闘ゲームにおいて重要な物だからだ。

「素直なんだね。それはいいことだけど、素直な割に素直じゃないところあるんじゃないかな?」

「そんなことをいきなり切り出しても、何もありませんよ」

 そうとぼける涼に、瑞樹はこういった。

「正直にいって、君が律のいとこだっていうならもっと早くプロセン学園に来ていてもおかしくない」

「姉妹ならともかく、『いとこ』ですからね。腕前を磨きあうことなんて出来ませんよ」

 どうにかしらばっくれようとする涼に、瑞樹はこう続ける。

「確かに、いとこにまでなると人数も多い。多いんだけど、そうはいってもおばかおじの『子供』」

「何がいいたいんですか?」

 そう問い返した涼に、瑞樹はこう答える。

「何らかの形で律と接点を持ち、スカイアーツの操縦技術を習う機会はあるはずだよ」

「確かに、私は律と接点は持っています。だけど、私は彼女の代わりに家事をしていただけです」

 涼はありのままの事実を瑞樹に伝えるが、瑞樹はこう返す。

「だとしたら、律はいとこをスカイアーツ乗りにしたくなかったのか?いや、それはないだろう」

「いくら自分が兵士やってるからって、家族にまで兵士やらせたいって人は居ません」

 そういいきる涼に、瑞樹はこう切り返した。

「確かに、家族まで兵士になることは抵抗があるかもしれない。だけど、君は興味なかったのかい?」

「興味って……別に私はそこまでロボットが好きってわけでもありませんし」

 涼の言葉に嘘はない。彼は年頃の少年として相応にロボット物を好んでいたが、思い入れがあるほどでもない。

 なので、『そこまで好きではない』という言葉に嘘はないのである。

「『そこまで』……か」

「大体、何でそんなに私のことを疑うんですか?」

 涼は流石にここまで問いただされたので黙っていられなかった。

「いくら何でも急すぎると思っただけだよ。もし本当に素質がある女の子だっていうなら、新学年になった時でも入れればいい」

「いとこだから滅多に会うこともないですし、別に可笑しなことでもないと思います」

 そう指摘した涼に、瑞樹は素直に謝った。

「そういわれたらそれだけなんだけどね。如何せん推理小説の読みすぎみたいだ」

「それならこまかいことが気になると夜もねむれない、って感覚は分からなくはないかもです」
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