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sequence:7『下着』
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昼食を食べるためにフードコートへと向かった涼と律。
涼はフードコートのメニューに目移りしていたが、しばらく考えてこういう。
「それじゃあ、ラーメンにしましょうか」
「そうね。家でラーメンを作るのはインスタントとかじゃないと色々手間だし」
律はラーメン屋にしようといった涼に同意した。
2050年にもなれば女性だけがラーメン屋に入ろうとも、誰も気に留めない。
もちろん逆も真なりで男性だけがスイーツ店に入っても誰も気に留めない。
それでも、多少驚きが伴う物である。
何しろ、日本は性役割に関していえば保守的な部類である。
先進国のスタンダードとして同性婚こそ合法化されているものの、
他の国に比べて人前で堂々と手を繋いだりはしないのもその一環である。
更にいえば日本は先進国の中でも同性婚の合法化について議論が一番紛糾した国ともいわれている。
日本はよくも悪くもそんな国なのでこういった細やかな部分もどこかに性役割の隔たりを感じるのである。
ともあれ、涼と律の二人でフードコートのラーメン屋を利用しても燻がられることはない。
彼らの番になり、涼はラーメン屋の店員に注文をする。
「塩ラーメンを一つと、醬油ラーメン一つ。ギョーザセットで」
「かしこまりました」
フードコートで料理ができた時に呼び出しを行う呼び出し機を二人は受け取る。
そしてしばらく待つと、呼び出し機が鳴ったためそれを持っていきラーメンを受け取る。
「それじゃあ、いただきます」
涼の音頭を受け二人はラーメンを食べ、律はこういう。
「流石に美味しいわね」
「まあ、店で出す料理なんですし」
涼はそういいつつラーメンを食べ終わると、律にこういう。
「それじゃあ、買い物の続きをしましょうか」
「少し休まなくていいの?」
そんな律の問いに涼は答える。
「流石に長居する気分じゃありませんからね」
涼は律に連れられて下着売り場へと向かう。
律は涼のパット込みのスリーサイズを書いた紙を店員に渡す。
「分かりました」
そういって店員は涼に合うサイズの下着があるところまで彼らを案内する。
「では、この中から選んでください」
「この中から……!?」
涼は店員に下着を自分で選ぶよう促されて驚く。
そんな涼に対し、律は下着を見据えながらこういう。
「下着は私が選ぶわ。流石にあなたが選ぶのは抵抗があるだろうし」
「そうですね、助かります」
涼がそういって頷いたのを見た律は幾つかの下着を選んだ。
「こんなものかしら」
「まあ、律がそれを選ぶなら異存はありません」
涼はとにかく早くこの場を立ち去りたかった。
気恥ずかしさだけでなく、こんなところで性別がバレたらという思いでいっぱいだったからだ。
そもそも涼も流石に女性下着の話は聞けるはずがないため、どういう物がいいのか分からないのだ。
なので涼は律の選んだ下着に異存を唱えるつもりがなかった。
そして涼はレジで下着の清算を終わらせて、律にこういった。
「それじゃあ。帰りますよ、姉さん」
涼はフードコートのメニューに目移りしていたが、しばらく考えてこういう。
「それじゃあ、ラーメンにしましょうか」
「そうね。家でラーメンを作るのはインスタントとかじゃないと色々手間だし」
律はラーメン屋にしようといった涼に同意した。
2050年にもなれば女性だけがラーメン屋に入ろうとも、誰も気に留めない。
もちろん逆も真なりで男性だけがスイーツ店に入っても誰も気に留めない。
それでも、多少驚きが伴う物である。
何しろ、日本は性役割に関していえば保守的な部類である。
先進国のスタンダードとして同性婚こそ合法化されているものの、
他の国に比べて人前で堂々と手を繋いだりはしないのもその一環である。
更にいえば日本は先進国の中でも同性婚の合法化について議論が一番紛糾した国ともいわれている。
日本はよくも悪くもそんな国なのでこういった細やかな部分もどこかに性役割の隔たりを感じるのである。
ともあれ、涼と律の二人でフードコートのラーメン屋を利用しても燻がられることはない。
彼らの番になり、涼はラーメン屋の店員に注文をする。
「塩ラーメンを一つと、醬油ラーメン一つ。ギョーザセットで」
「かしこまりました」
フードコートで料理ができた時に呼び出しを行う呼び出し機を二人は受け取る。
そしてしばらく待つと、呼び出し機が鳴ったためそれを持っていきラーメンを受け取る。
「それじゃあ、いただきます」
涼の音頭を受け二人はラーメンを食べ、律はこういう。
「流石に美味しいわね」
「まあ、店で出す料理なんですし」
涼はそういいつつラーメンを食べ終わると、律にこういう。
「それじゃあ、買い物の続きをしましょうか」
「少し休まなくていいの?」
そんな律の問いに涼は答える。
「流石に長居する気分じゃありませんからね」
涼は律に連れられて下着売り場へと向かう。
律は涼のパット込みのスリーサイズを書いた紙を店員に渡す。
「分かりました」
そういって店員は涼に合うサイズの下着があるところまで彼らを案内する。
「では、この中から選んでください」
「この中から……!?」
涼は店員に下着を自分で選ぶよう促されて驚く。
そんな涼に対し、律は下着を見据えながらこういう。
「下着は私が選ぶわ。流石にあなたが選ぶのは抵抗があるだろうし」
「そうですね、助かります」
涼がそういって頷いたのを見た律は幾つかの下着を選んだ。
「こんなものかしら」
「まあ、律がそれを選ぶなら異存はありません」
涼はとにかく早くこの場を立ち去りたかった。
気恥ずかしさだけでなく、こんなところで性別がバレたらという思いでいっぱいだったからだ。
そもそも涼も流石に女性下着の話は聞けるはずがないため、どういう物がいいのか分からないのだ。
なので涼は律の選んだ下着に異存を唱えるつもりがなかった。
そして涼はレジで下着の清算を終わらせて、律にこういった。
「それじゃあ。帰りますよ、姉さん」
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