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早い夏休み
夜都賀波岐(ヤツガハギ)
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「あの神社ねぇ...そうねぇお母さんもあんまりそう言うのって詳しくはないから」
母は素麺を茹でながら首を傾げながらそう言う。
「そっかぁ」
「それこそお爺ちゃんが生きてればねぇ、よくお参りしてたし、しえちゃんの事も連れて行ってたのよ?」
「そうなの?」
「まぁ3、4歳の時くらいじゃ分からないわよねぇ」
仏壇の上に飾られた写真を思い浮かべる。
祖父はまだ60にもならないうちに病気で亡くなったのだ、私が5歳の時に。
「お祭りの時の事しか覚えてないなぁ」
「最近じゃああのあたり住んでる人達歳をとって若い人が居なくなって、見る氏子さん居ないから荒れ放題だし、不良の子達が悪戯で壊されてどうするかって話があるみたいね」
母がそう言って茹でた素麺をざるに移し替えて氷水で冷やす。
「買ってきた天ぷらはレンジで温めて、しえちゃん」
「わかった」
母は料理ができない訳じゃないけど、サボる時はサボる...まぁパートで疲れてるだろうし仕方ない。
皿に天ぷらを移し替えて、レンジに入れて温めボタンを押して、めんつゆ用のガラスの器にめんつゆと氷を入れて用意し、2人での夕食が始まった。
───
その日は一人で図書館へ向かう...あの神社の事を調べようと思ったからだ。
町の文献などが纏められた書籍があるあたりでぱらぱらとそれに関した内容が書かれてそうなものを選んでページを捲る。
あの神社の事が書かれたページを見つけて、その内容を読むも何だか難解だ...
「夜都賀波岐...ヤツガハギ?」
何だか厨二病満載な名前が出てきたぞ...
と思ってスマホで検索をかけるとヤツガハギ...八束脛...土蜘蛛と出てくる。
妖怪?と思ってそのまま検索内容を読むと土着の豪族などを指すが、近代で蜘蛛の妖怪として広がったらしい。
ちなみに昔の書籍の内容は言葉使い含めて難解すぎて先は読む気になれない...
神社であったスーツのオカルト男に言われた怨霊信仰や祟り神って、そう言った人が怨念になってしまったから祀りあげて宥めていたって事なのか?
「お嬢ちゃんじゃないか」
後ろから声をかけられる...例のスーツのオカルト男だ。
「その辺の書籍を見てるって事はあの神社の事を調べてたのか」
「何だか気になって」
「歴史の勉強だな、いい事だ」
男はにこっと笑う、その表情何処かで見た記憶がある...誰だろう...
「まぁ勉強熱心なお嬢ちゃんには簡単なヒントでもやろうか...」
と近くの椅子に座って手招きするのでその隣に座る。
「源頼光が退治した化け物達...知ってるか?」
「うーん...ゲームとかでちょっと」
確か人気スマホゲームでそんなキャラクターいたなぁ。
「はは、まぁ今の子ならそうだわなぁ、あれだ金太郎の上司、酒呑童子や茨城童子の話とか」
「ああ、お酒飲ませて倒した鬼の話!」
そうだそうだ!確かそんな話だ!
「そうそう、情けねぇ話だろ?騙し討ちで倒されたなんてなぁ」
「御伽噺なんてそんなものじゃないんですか?」
「まぁ確かにな...でその源頼光の倒した化け物に土蜘蛛ってぇのが居るんだ」
「土蜘蛛って元は地方の豪族の蔑称で近代になってそう言う話になっていったってネットには書いてましたよ」
「全く今の子供は...まぁ良いや、夜都賀波岐もその化け物の仲間...蜘蛛の糸に気をつけな...」
そう言われてオカルト男は立ち上がり去っていく。
「蜘蛛の糸?」
謎の言葉を残して去っていくオカルト男の背中を見る...
「神社に悪さした訳じゃ無いから呪われる筈なんてないのに」
そうだよ...何で呪われなきゃならんのだ?私が?
母は素麺を茹でながら首を傾げながらそう言う。
「そっかぁ」
「それこそお爺ちゃんが生きてればねぇ、よくお参りしてたし、しえちゃんの事も連れて行ってたのよ?」
「そうなの?」
「まぁ3、4歳の時くらいじゃ分からないわよねぇ」
仏壇の上に飾られた写真を思い浮かべる。
祖父はまだ60にもならないうちに病気で亡くなったのだ、私が5歳の時に。
「お祭りの時の事しか覚えてないなぁ」
「最近じゃああのあたり住んでる人達歳をとって若い人が居なくなって、見る氏子さん居ないから荒れ放題だし、不良の子達が悪戯で壊されてどうするかって話があるみたいね」
母がそう言って茹でた素麺をざるに移し替えて氷水で冷やす。
「買ってきた天ぷらはレンジで温めて、しえちゃん」
「わかった」
母は料理ができない訳じゃないけど、サボる時はサボる...まぁパートで疲れてるだろうし仕方ない。
皿に天ぷらを移し替えて、レンジに入れて温めボタンを押して、めんつゆ用のガラスの器にめんつゆと氷を入れて用意し、2人での夕食が始まった。
───
その日は一人で図書館へ向かう...あの神社の事を調べようと思ったからだ。
町の文献などが纏められた書籍があるあたりでぱらぱらとそれに関した内容が書かれてそうなものを選んでページを捲る。
あの神社の事が書かれたページを見つけて、その内容を読むも何だか難解だ...
「夜都賀波岐...ヤツガハギ?」
何だか厨二病満載な名前が出てきたぞ...
と思ってスマホで検索をかけるとヤツガハギ...八束脛...土蜘蛛と出てくる。
妖怪?と思ってそのまま検索内容を読むと土着の豪族などを指すが、近代で蜘蛛の妖怪として広がったらしい。
ちなみに昔の書籍の内容は言葉使い含めて難解すぎて先は読む気になれない...
神社であったスーツのオカルト男に言われた怨霊信仰や祟り神って、そう言った人が怨念になってしまったから祀りあげて宥めていたって事なのか?
「お嬢ちゃんじゃないか」
後ろから声をかけられる...例のスーツのオカルト男だ。
「その辺の書籍を見てるって事はあの神社の事を調べてたのか」
「何だか気になって」
「歴史の勉強だな、いい事だ」
男はにこっと笑う、その表情何処かで見た記憶がある...誰だろう...
「まぁ勉強熱心なお嬢ちゃんには簡単なヒントでもやろうか...」
と近くの椅子に座って手招きするのでその隣に座る。
「源頼光が退治した化け物達...知ってるか?」
「うーん...ゲームとかでちょっと」
確か人気スマホゲームでそんなキャラクターいたなぁ。
「はは、まぁ今の子ならそうだわなぁ、あれだ金太郎の上司、酒呑童子や茨城童子の話とか」
「ああ、お酒飲ませて倒した鬼の話!」
そうだそうだ!確かそんな話だ!
「そうそう、情けねぇ話だろ?騙し討ちで倒されたなんてなぁ」
「御伽噺なんてそんなものじゃないんですか?」
「まぁ確かにな...でその源頼光の倒した化け物に土蜘蛛ってぇのが居るんだ」
「土蜘蛛って元は地方の豪族の蔑称で近代になってそう言う話になっていったってネットには書いてましたよ」
「全く今の子供は...まぁ良いや、夜都賀波岐もその化け物の仲間...蜘蛛の糸に気をつけな...」
そう言われてオカルト男は立ち上がり去っていく。
「蜘蛛の糸?」
謎の言葉を残して去っていくオカルト男の背中を見る...
「神社に悪さした訳じゃ無いから呪われる筈なんてないのに」
そうだよ...何で呪われなきゃならんのだ?私が?
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