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4章 聖サンソンと悪魔ダガン

マックス氏が鍛えるってよ

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一方同じ時間帯

マックスはロストック城の鍛錬場でずっと大剣を振っていた。

防御の為には両手で弾くようにするが基本攻撃をする際は両手だけでなく片手で剣の重さを利用して殴るような動きもする。

毎日必ず鍛錬を欠かさない様にしている、エルマを守る為にだ。

「おお、預言者様の護衛騎士!」

その声に気がつき振り向くとテオドールが赤銅色の鎧を身につけハルバードを持って立っていた。

「テオドール様お邪魔でしたか?一応ロストック辺境伯に許可を頂きこちらをお借りしておりましたが」

「ははは、良い良い!強さを求める若者を見るのは好きなのでな...それにしても無茶な剣筋をしているな、その体格で大剣を片手で振り下ろすなど見たことがないぞ」

「エルマ様を守るには盾より大剣で弾いた方が守れると思い大剣を選びましたが、いつの間にか片手で持てるくらいになったら片手剣の癖なのかそういう戦い方になりまして」

「大剣を片手剣の様に使う程の力、なかなか面白いがそんな振り回し方では肩を壊しかねんぞ」

そう言われマックスは手を止める。

「たしかマックスと言ったか?今は最高の回復役が居るから心配ないかも知れないがその回復役がいなくなった場合...例えばたった1人で対処しなければならない事態に遭ったなら、そんな時出来るだけ身体を痛めつけない様にどれだけの事が出来る?」

「それは...」

「きっと出来ないだろうな...マックス、お前の動きは我流過ぎる、誰かにしっかり従事はされてないだろう?」

「一応は神殿騎士見習い時代には...」

「まぁ天才と持て囃されて早々にその立場を得たからあまりよく学ぶ機会も無かったのかもな...事実お前は強いし相当賢いだろうしな」

「...」

「まぁいいや、マックス剣を取れ!一度俺と手合わせ願おうか?」

テオドールはハルバードを構えた。

ーー数十分後

神殿騎士マックスと騎士団長テオドールの模擬戦を見ようと城にいる騎士や見習いなどが集まっている。

テオドールはハルバードで一定距離を保ちながらも攻撃をしマックスは大剣でガードし攻撃を跳ね返すとその隙を狙って大剣を片手に持ち替え攻撃を仕掛けるもテオドールのハルバードを回しながら防御し跳ね返えされる...そんなやり取りが続く戦いだ。

刃物が打ちつけあう音が響き続ける。

そんな一瞬、攻撃に転ずるマックスの右腕に疲労が出ているのに気がつきテオドールはハルバードでそこを狙う、ハルバードの斧部分でマックスの大剣の刃を引っ掛け振り落とす。

「!」

マックスは剣を拾いあげようとするもそのままテオドールのハルバードが首筋に当たるスレスレで止まる。

「...俺の勝ちだな...まぁここまで出来る奴は初めてだ、お前まだ若いだろうしもう数年もしたらお前に勝てねぇかもな、いや恐ろしい」

マックスもテオドールも息を上げている。

「自身の未熟さを理解させて頂きありがとうございます...テオドール様...」

マックスはそう言って立ち上がり、一礼する。

その声の震え方、きっと兜の下の顔は悔しくて仕方ない顔でもしてそうだな...とテオドールは思う。

神殿騎士最強と言われるマックス、まだ14歳ながら才能に溢れる少年だ、このまま年齢を重ね、学んでいけば更に強くなるだろう...しかしこのままでは駄目だ、テオドールはそう思った。

「ここに居る間、俺が見てやる、その才能を怪我で潰すのは惜しいからな...それに怪我でその地位を失うのが早まるのは嫌だろう?」

テオドールはニヤリと笑う。

「さすがテオドール様!」
「神殿騎士のにいちゃんもすごいな!」

試合が終了したと同時にわぁっと騎士たちが騒ぎはじめた。

マックスは兜の下でぐっと下唇を噛み締める。
神殿騎士となって初めての敗北がこんなにも悔しい事、弱点を指摘された事、怪我故に場合によってはエルマの護衛騎士から離れる可能性を全く考えていなかった事...全て悔しかった。

ーーー

「と言うわけで暫くこの護衛騎士の時間を借りるから」

マックス氏を鍛えたいとテオドールに言われた。

「マックス氏が納得してるなら...」

そう言ってマックス氏を見やる、やや震えの姿が見える、ああこれは恐怖ではない、かなり悔しい思いをしたな、と感じた。

兜を被って表情が見えなくても、感情がわかるのももしかして問題なのかもな...とふと思う。

「エルマ様、僕はもっと強くなりたいのでここにいる間だけ少しお時間をいただければいいので」

「そう言うならいいよ、ではテオドール様ぜひマックスをお願いします」

「いやいいんだよ!俺がやりたいから誘っただけだしな!」

頭を下げるとテオドールが慌ててそう言う。

「その間はギュンターと数人の騎士を付けますので...本当は剣士であるマルガレーテにしたかったが...」

「ギュンターさんでお願いします!」

絞め殺されたらたまったもんじゃあない!

「まぁ私もいますから心配しなくてもいいですよ」

ディビドがそう言うもさっきの件もあって何だか気恥ずかしさがあって2人きりで居たくない。

マックス氏があえて教えを乞うなんて珍しい事だし成長する上で必要な事ならと思いテオドールに託す事にした。

ーーー

翌日騎士団詰所でギュンターが調べた事件の報告書を確認するも失踪者などの履歴はあるものの大体が犯罪者などの信徒ではない人物ばかりだった。

「一般人が攫われるような事ってあまり無いものですね...」

ギュンターはため息をつく。

「あと孤児院...ここの孤児院は成長した後はほぼロストックに残って仕事についたりするものですかね?」

ディビドはギュンターに尋ねる。

「ああ...そう言う子もいるには居るが大概はこの地を離れて王都に向かったりするかなぁ」

「王都ですか?」

「正直な所あまりここの司祭長...クレメンスの評判が良くないからね」

「...詳しく」

もし非道な行いをしてるなら追放と司祭を入れ替えも考えねば。

「...孤児や見習い修道士に男女関係なく性的に虐待をしている噂だ...ただどうしても被害を受けているであろう子供達が口を割らない、そんな傷ついた子供らがロストックに残ったりはしない...本当はなんとか尻尾を掴んでやりたかったがあの司祭長なかなか尻尾を掴めなくて」

「...なんて事を!」

つい声を大きく立ててしまう、あの気持ち悪い男どうやらとんでもない下衆だという事に怒りが込み上げる。

「エルマ様...この件を私に任せてくれませんか...クレメンスの悪行が本当ならば教会から追放しなければなりませんし、そんな悪行を行う下衆ならばクレメンスが悪魔崇拝者という可能性も否定できませんからね」

「...お願いするね...」

エルマさんが出張るよりディビドに任せた方が確実だと思い許可をする。

ーーーーー
※ゲーム豆知識
弓闘士
弓装備で戦う戦士、攻城兵器(バリスタやカタパルト)も使う事ができる。
弓闘士になるとDEX(命中率)がほぼ100%になる、
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