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4章 聖サンソンと悪魔ダガン

両手に花って訳じゃないけどさぁ

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現在右にはマックス氏が肩に腕を回し左にはディビドが腰に腕を回してガッチリピッタリとエルマさんをガードすべく密着状態で長椅子に座っている。

「2人ともうちょい離れてもいいんじゃあないかなぁ...」

「いいえ、エルマ様あんな危険な生き物に狙われてますもの!」

「気を許せばあっという間にあの痴女に捕まりかねませんしねぇ」

あっさり2人に拒否されてしもうた...すれ違う騎士達がなんかニヤニヤしているし...恥ずかしい....

「本っ当に部下が申し訳ありません!確かに可愛い女の子が好きな奴ではありますが、しかしまさかあそこまで目の色を変えて抱きつくとか今まで無かった事でして!」

ちなみに目の前ではテオドールとギュンターが土下座して只々謝っている...この世界にも土下座ってあるんだなぁーとか思ってしまう...マルガレーテさんは自室に監禁中らしい。

ちなみに助け出された時点で軽く気絶してしまい気がついたらこの有様なのだ。

「預言者であられるエルマ様に対して軽々しく抱きつくなんてあってはならない事だ!反省して頂きたい!」

「女性だからと言っても抱きついて身体を触るだけ触るとか騎士としてあるまじき事ですよねぇ、南領騎士団は恥を知るべきでは?」

マックス氏とディビドが威圧感満載で上から目線で嫌味を言う...うんうん...でもお二人さん...過保護が過ぎてるからとはいえ今の状況は説得力無いとおもうなぁ...怖いから口にしないけど...

「まぁまぁ...びっくりしただけでそこまで私は怒ってないのでお二人共土下座はもうやめましょう?それに今回は聖サンソンの墓へ入る為の準備の話をする為に訪れた訳ですから...」

この状況を何とかしなきゃと思い本来の目的を思い出させる。

「そうだ!その話をせねば!」

そう言ってテオドールはむくりと立ち上がる。それに釣られてギュンターも立つ。

「先程お話しもしましたが今回更なる封印を施す前に封印式を一度確認し悪魔崇拝を行なっている者の排除をしなくてはなりません、封印式には悪魔の解放の条件が古代ウルム語で刻まれておりそれを知れば何を贄にして崇拝しているかが分かるからです、あと悪魔崇拝者排除を行う理由は折角更なる封印を用いても生贄を用いた悪魔崇拝を行えば封印式が壊れ無駄になるからです」

ディビドはそう説明する。

「特に悪魔崇拝者は予想するにサンソンの墓内部に入り込める立場でなければできないはずです。なので騎士団の方々には悪魔崇拝者を探し出す事をお願いしたいのです、それが済んだら更なる封印を施すつもりでいます」

エルマさんは先程クレメンスから受け取った鍵を取り出す。

「私は一度この2人と一緒に聖サンソンの墓内部に入り封印式の確認をしますのでテオドール様、もう一つの鍵をお貸しくださいませんか?」

「そうですか、しかし3人では心許ないのでギュンターと数人の騎士をお連れ下さい、ギュンターは南領騎士団一の弓闘士で俺が最も信頼している部下の1人です、他の騎士も信頼をおける者を用意します、ぜひお連れ下さい」

「まだ名乗っていませんでしたね、弓闘士ギュンターですよろしくお願いします!」

ギュンターは敬礼をし名乗る。

南領騎士団は北領騎士団と違って術式使いがほぼ居ないが、代わりに弓闘士が有能で高威力の遠距離攻撃が可能、特にギュンターはSTR(攻撃力)とDEX(命中率)が高いため攻撃力と連射に優れた2メートル級のロングボウも外さず扱えるし特殊イベントバトルでバリスタ(攻城兵器)も操作していた弓闘士だ。

「本当はマルガレーテも有能な騎士なのでエルマ様に付けるつもりでしたが今回の失態...アレでは無理だと思うのでマルガレーテは悪魔崇拝者の捜索をやらせますし近寄らせはさせません」

うん、でないと絞め殺されちゃうからね...

「エルマ様、ではこの鍵を...では明日までにメンバーを決めて聖サンソンの墓へ入る準備を行います!」

そうテオドールはもう一つの鍵をエルマさんに渡すと準備の為と言いその場を立ち去る。

「ではエルマ様もお疲れでしょう、領主様の城へお戻り下さい、明日またここで待ち合わせしましょう」

ギュンターとそう約束してエルマさん達も戻る事にしたのだが2人はずっとガッチリピッタリのままで城まで戻る道を歩く時もジロジロ見られてめちゃくちゃ恥ずかしかった...きゅう...

ーーー

次の日の朝詰所の前で待ち合わせしていたギュンターはなんか疲れた顔をしていた。

「おはようございます、ギュンターさんなんか疲れてないです?」

「いやぁ昨日マルガレーテさんが俺がエルマ様に付いて行く話をしましたら絡まれまして...」

ははとギュンターは苦笑いする...気の毒に...

「そういえばマルガレーテさんは?」

「早速団長に捕まって今頃悪魔崇拝者狩りの会議をやってます」

それを聞いてかまたマックス氏とディビドは両脇にピタッとくっついてくる。

「まだ近くに居るかもしれないですからね」

「再度襲われたらいけませんしねぇ」

「だ...大丈夫だと思うけどなぁ」

...もしかして2人とも楽しんで無いか???

「きゃあ!エルマちゃんおはよーっ!って何!両脇の男共何くっついてんのよーっ!離れなさい!!」

上からマルガレーテの声が聞こえたと思ったら二階の窓から身を乗り出して手を振ってる。

ギュンターはまずいものを見せてしまった感のある顔をしている。

「いましたね...危ない危ない」

「今にも飛び降りて抱きつきかねないですねぇ」

そう言って更に2人は腕を組み始める、なんか某捕まった宇宙人の気持ち...

「今すぐ降りるから...ぎゃっ!」

テオドールがマルガレーテの首根っこを掴んで代わりに窓から顔を出す。

「ギュンター!こいつの事は俺に任せてさっさとエルマ様を連れて聖サンソンの墓に向かってくれ!」

「了解です!エルマ様こちらですね」

ギュンターは敬礼すると速足でこの場から離れる様に促す。

じゃあと歩こうと思ったら身体が浮く、いつの間にか2人に抱えられてしまった。

「な"ーーー!自分で走るから!!」

「「いいえエルマ様足遅いですから~」」

「失礼な!逃げ足は速い方だよ!ぎゃー」

2人に抱えられたまま速足でギュンターの後ろについていく形になってしまった...ううう2人とも絶対楽しんでるんだけど何で~


ーーーーー
※ゲーム豆知識
裁きの鉄槌(サバキノテッツイ)
神罰系の奇跡の一つ、ゲーム中最強の打撃攻撃である。(もちろん聖属性)
サンソンの拳の幻影が現れ殴り倒す。
但し攻撃範囲がかなり狭いために、敵ユニットにかなり近づかなければならないので使用の際は盾役にガードしてもらう必要がある。
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