30 / 100
4章 聖サンソンと悪魔ダガン
両手に花って訳じゃないけどさぁ
しおりを挟む現在右にはマックス氏が肩に腕を回し左にはディビドが腰に腕を回してガッチリピッタリとエルマさんをガードすべく密着状態で長椅子に座っている。
「2人ともうちょい離れてもいいんじゃあないかなぁ...」
「いいえ、エルマ様あんな危険な生き物に狙われてますもの!」
「気を許せばあっという間にあの痴女に捕まりかねませんしねぇ」
あっさり2人に拒否されてしもうた...すれ違う騎士達がなんかニヤニヤしているし...恥ずかしい....
「本っ当に部下が申し訳ありません!確かに可愛い女の子が好きな奴ではありますが、しかしまさかあそこまで目の色を変えて抱きつくとか今まで無かった事でして!」
ちなみに目の前ではテオドールとギュンターが土下座して只々謝っている...この世界にも土下座ってあるんだなぁーとか思ってしまう...マルガレーテさんは自室に監禁中らしい。
ちなみに助け出された時点で軽く気絶してしまい気がついたらこの有様なのだ。
「預言者であられるエルマ様に対して軽々しく抱きつくなんてあってはならない事だ!反省して頂きたい!」
「女性だからと言っても抱きついて身体を触るだけ触るとか騎士としてあるまじき事ですよねぇ、南領騎士団は恥を知るべきでは?」
マックス氏とディビドが威圧感満載で上から目線で嫌味を言う...うんうん...でもお二人さん...過保護が過ぎてるからとはいえ今の状況は説得力無いとおもうなぁ...怖いから口にしないけど...
「まぁまぁ...びっくりしただけでそこまで私は怒ってないのでお二人共土下座はもうやめましょう?それに今回は聖サンソンの墓へ入る為の準備の話をする為に訪れた訳ですから...」
この状況を何とかしなきゃと思い本来の目的を思い出させる。
「そうだ!その話をせねば!」
そう言ってテオドールはむくりと立ち上がる。それに釣られてギュンターも立つ。
「先程お話しもしましたが今回更なる封印を施す前に封印式を一度確認し悪魔崇拝を行なっている者の排除をしなくてはなりません、封印式には悪魔の解放の条件が古代ウルム語で刻まれておりそれを知れば何を贄にして崇拝しているかが分かるからです、あと悪魔崇拝者排除を行う理由は折角更なる封印を用いても生贄を用いた悪魔崇拝を行えば封印式が壊れ無駄になるからです」
ディビドはそう説明する。
「特に悪魔崇拝者は予想するにサンソンの墓内部に入り込める立場でなければできないはずです。なので騎士団の方々には悪魔崇拝者を探し出す事をお願いしたいのです、それが済んだら更なる封印を施すつもりでいます」
エルマさんは先程クレメンスから受け取った鍵を取り出す。
「私は一度この2人と一緒に聖サンソンの墓内部に入り封印式の確認をしますのでテオドール様、もう一つの鍵をお貸しくださいませんか?」
「そうですか、しかし3人では心許ないのでギュンターと数人の騎士をお連れ下さい、ギュンターは南領騎士団一の弓闘士で俺が最も信頼している部下の1人です、他の騎士も信頼をおける者を用意します、ぜひお連れ下さい」
「まだ名乗っていませんでしたね、弓闘士ギュンターですよろしくお願いします!」
ギュンターは敬礼をし名乗る。
南領騎士団は北領騎士団と違って術式使いがほぼ居ないが、代わりに弓闘士が有能で高威力の遠距離攻撃が可能、特にギュンターはSTR(攻撃力)とDEX(命中率)が高いため攻撃力と連射に優れた2メートル級のロングボウも外さず扱えるし特殊イベントバトルでバリスタ(攻城兵器)も操作していた弓闘士だ。
「本当はマルガレーテも有能な騎士なのでエルマ様に付けるつもりでしたが今回の失態...アレでは無理だと思うのでマルガレーテは悪魔崇拝者の捜索をやらせますし近寄らせはさせません」
うん、でないと絞め殺されちゃうからね...
「エルマ様、ではこの鍵を...では明日までにメンバーを決めて聖サンソンの墓へ入る準備を行います!」
そうテオドールはもう一つの鍵をエルマさんに渡すと準備の為と言いその場を立ち去る。
「ではエルマ様もお疲れでしょう、領主様の城へお戻り下さい、明日またここで待ち合わせしましょう」
ギュンターとそう約束してエルマさん達も戻る事にしたのだが2人はずっとガッチリピッタリのままで城まで戻る道を歩く時もジロジロ見られてめちゃくちゃ恥ずかしかった...きゅう...
ーーー
次の日の朝詰所の前で待ち合わせしていたギュンターはなんか疲れた顔をしていた。
「おはようございます、ギュンターさんなんか疲れてないです?」
「いやぁ昨日マルガレーテさんが俺がエルマ様に付いて行く話をしましたら絡まれまして...」
ははとギュンターは苦笑いする...気の毒に...
「そういえばマルガレーテさんは?」
「早速団長に捕まって今頃悪魔崇拝者狩りの会議をやってます」
それを聞いてかまたマックス氏とディビドは両脇にピタッとくっついてくる。
「まだ近くに居るかもしれないですからね」
「再度襲われたらいけませんしねぇ」
「だ...大丈夫だと思うけどなぁ」
...もしかして2人とも楽しんで無いか???
「きゃあ!エルマちゃんおはよーっ!って何!両脇の男共何くっついてんのよーっ!離れなさい!!」
上からマルガレーテの声が聞こえたと思ったら二階の窓から身を乗り出して手を振ってる。
ギュンターはまずいものを見せてしまった感のある顔をしている。
「いましたね...危ない危ない」
「今にも飛び降りて抱きつきかねないですねぇ」
そう言って更に2人は腕を組み始める、なんか某捕まった宇宙人の気持ち...
「今すぐ降りるから...ぎゃっ!」
テオドールがマルガレーテの首根っこを掴んで代わりに窓から顔を出す。
「ギュンター!こいつの事は俺に任せてさっさとエルマ様を連れて聖サンソンの墓に向かってくれ!」
「了解です!エルマ様こちらですね」
ギュンターは敬礼すると速足でこの場から離れる様に促す。
じゃあと歩こうと思ったら身体が浮く、いつの間にか2人に抱えられてしまった。
「な"ーーー!自分で走るから!!」
「「いいえエルマ様足遅いですから~」」
「失礼な!逃げ足は速い方だよ!ぎゃー」
2人に抱えられたまま速足でギュンターの後ろについていく形になってしまった...ううう2人とも絶対楽しんでるんだけど何で~
ーーーーー
※ゲーム豆知識
裁きの鉄槌(サバキノテッツイ)
神罰系の奇跡の一つ、ゲーム中最強の打撃攻撃である。(もちろん聖属性)
サンソンの拳の幻影が現れ殴り倒す。
但し攻撃範囲がかなり狭いために、敵ユニットにかなり近づかなければならないので使用の際は盾役にガードしてもらう必要がある。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
転生した悪役令嬢は破滅エンドを避けるため、魔法を極めたらなぜか攻略対象から溺愛されました
平山和人
恋愛
悪役令嬢のクロエは八歳の誕生日の時、ここが前世でプレイしていた乙女ゲーム『聖魔と乙女のレガリア』の世界であることを知る。
クロエに割り振られたのは、主人公を虐め、攻略対象から断罪され、破滅を迎える悪役令嬢としての人生だった。
そんな結末は絶対嫌だとクロエは敵を作らないように立ち回り、魔法を極めて断罪フラグと破滅エンドを回避しようとする。
そうしていると、なぜかクロエは家族を始め、周りの人間から溺愛されるのであった。しかも本来ならば主人公と結ばれるはずの攻略対象からも
深く愛されるクロエ。果たしてクロエの破滅エンドは回避できるのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる