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3章 不穏な足音と真実と

首刎ねとか暗殺とか物騒!ヤメレ!

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「それこそ前日の件や今回の一件もあった為でしょう、顔色が悪いので少しお休みになられた方が良いですね」

そうディビドに言われ、侍女に着替えを手伝って貰った後ベットで横になる。

ディビドはライゼンハイマーの屋敷にいる間は神殿騎士イザークとして共にいると言ってくれた...あと怪しまれた可能性も有ると言い、北領騎士団には戻らないつもりでいるらしい。

「私もエルマ様が襲われて居るのを見たら冷静にはなれなかったので...もっと上手いことやれれば良かったのですが」

「ううん、ありがとう...ディビドが居たからまだこのくらいで済んだんだもの...」

左胸に赤くキスマークがつけられてしまったが、ヒールで回復させすぐに消したもののその事を思い出すとゾッとする。

そんな中、部屋にバン!と誰かが入ってきた、マックス氏だ。

「エルマ様!大丈夫ですか!」

「マックス氏!良かった!回復したんだ!」

「はい...本当に情けない姿をお見せして申し訳ありません...」

「仕方ないよ...いろいろあって疲れていたんだもの」

「あ....いや....」

何だかもじもじしているのは何故だろうか...

「ところでお前誰だ?」

マックスはディビドの方を見やる、流石に連れてきた神殿騎士と違う事に気がついたらしい。

「ああ、すみませんマックス殿、私ですよ」

兜を外すといつもの優男の顔が現れる。

「ディビドか!」

「鎧はスキルで神殿騎士の鎧に見せかけているだけですが兜は拝借させてもらいました」

確かによく見たらギディオン姿の時の鎧と同じ物だと気がつく。あの短時間で鎧一式着替え直すにも時間がかかるだろうから変装スキルで誤魔化したらしい。

「しかし厄介な事になりましたね...」

そう言ってディビドが事の顛末を話すとマックス氏が大剣を利き手で掴み部屋を飛び出そうとする。

「あんのスケベ王子があっ!宿営地は何処だっ!首を跳ね飛ばす!」

マックス氏がめちゃくちゃ怒っている!

「落ち着きなさい、マックス殿!そのまま向かっても返り討ちに合うだけですよ!流石に今回は見過ごせないので王家に抗議してエルマ様に近づけさせないように約束を取り付けましょう!」

マックス氏をディビドが押さえ込む、あのマックス氏を羽交い締めできるんだからやっぱり力があるっぽいな...

「私だってエルマ様の許可を得られれば今からでも暗殺しに行きたいくらいです...毒殺でも刺殺でも首吊りでも自殺なりに見せかけるなりすれば...」

ぶつぶつとディビドが言い出す...

「マックス氏もだけどディビドも物騒!辞めて!」

首跳ね飛ばすだの暗殺だの言い出す物騒っぷり...2人とも似た物同士なのかもしれない。

その後何とか2人を宥め、マックス氏とディビドは交互に警護に入る話になった。

その際に先程の認識阻害術を使われてまた大変な事が起こらないようにとディビドが部屋の中に結界の術式を組み、エルマさんが許可した人物しか入れないようにし、マックス氏の兜にも認識阻害術を使われても無効化する術式を付与してくれた。キャラクター固有スキル『術式付与』持ちのディビド有能だわぁ。

「あとこの先はオラクルローブを身につけたままの方がいいですね、あれには状態異常を無効化する能力があるはずなので」

「そうだね」

ドレスだのワンピースだのより着なれたローブや司祭服の方が祝福もあるし楽だしなぁ

それにしてももう何があってもドレスなんか着ないんだから!

そんな中部屋にパッパがやってきた。

「エルマちゃん!まさかそんな酷い目に遭うなんて」

目をうるうるさせながらやって来た...

「お父様がドレスなんて着させるからです!」

パッパに対してはめちゃくちゃ怒っているのだ!あんな格好させたからこんな目にあった様な物だし!

「だって王弟殿下と元々婚約するはずだったわけだから...綺麗な姿見せるのもいいかなーって」

「それ余計なお世話って奴です!」

そう言えばジル殿下の執着の件を話していなかったかもしれない。

「...あとライゼンハイマー領に居るなら淑女の教育をさせてってヘルムートも言ってたし...ドレスもヘルムート経由で用意された奴だったし...」

まさかのスリーサイズ教えた犯人がヘルムートおじさまだった...タイミングが悪すぎて頭が痛すぎる!
だから胸のサイズが足りなかったのか!(いつも胸を潰したサイズでしか服を作ってなかったため)

「おじさまもうその辺10歳の時点で諦めたと思ってたのに...」

まぁそこに関しては普段の素行の悪さ?のせいなので反省するしか無い...全くおじさまはオカンなんだから...はぁ。

「エルマ様、一応偉い人の前でそれっぽく擬態はできるけどせいぜい1時間が限界ですもんねー」

マックス氏が余計な事を言い出す。

「むむ!一応2時間の儀式の時はきっちり終わるまで擬態はできるようになったよ!失礼な!」

「擬態って...」

パッパは頭を抱えているがボンクラ(ヘルムートのおじさま談)でも人前に出る時至って立派な貴族を演じるパッパも大概だからね...ちなみにマリウスは見た目はパッパ似だがきっと性格はママンに似てしっかり者だ!

「エルマ様は天真爛漫な姿でも擬態してる姿でもどんな姿でも可愛らしいですけどねぇ」

「そりゃあ可愛い一人娘だから....って...おいちょっとそこの神殿騎士の君!まさかエルマちゃんに気があるんじゃないんだろうな!」

ディビドにパッパが詰め寄る。

「ディビド!貴様何言ってんだ」

「マックス氏!彼はイザーク!」

「ああっ!偽名が多すぎて忘れてた!」

マックス氏うっかりだな...いや確かに偽名多すぎだからね、気をつけてもらわなきゃ...

「ちょっとイザークだが何だかわからないけど君!エルマちゃんとの関係は!」

「私はエルマ様の忠実な僕ですよお父様」

「君にお父様って呼ばれるのなんかムカつくんだけど!」

「お父様!なんか勘違いしてるけど何も無いから!」

何だかパッパがディビドに娘を嫁に出さない的な目をしてるんだけど!

「でもさっきお姫様抱っこされて部屋まで連れて行ったって聞いたし!」

「ぎゃー思い出しただけで恥ずかしいいい」

喪女にお姫様抱っこは恥ずかしすぎて悶絶してしまうわーぎゃー

「ファッ!ディビド貴様!」

「まぁエルマ様歩けなかったので~」

何だか大騒ぎになってしまい侍女長に『お休み中のエルマ様の部屋で騒ぐ馬鹿は出ていきなさい!』と叱られるまで騒ぎが続いてしまった...


ーーーーー
※ゲーム豆知識
エアヴァルド王国
北の隣国ウルムと南の国を持たないバーバリアンと呼ばれる部族の人々が闊歩する土地に挟まれる国。
その昔導きの預言者である聖マーシャが現人神となり支配していた悪魔アスモデウス(聖典には悪魔の名前までは載せられていない)を罪に定め旧バーレ王国を神罰『絶滅の雹』によって滅ぼし、その地を7年の清めをもって浄化させ、トラウゴットの神とマーシャを信じた各地の人々を導き入れできた国が始まり。
そのため多民族国家で様々な人種の人々が住んでいる。
その後人々が王を求め最初の王アーヴェルを聖ジョシュアが神託により指名しエアヴァルド王国が誕生しているため、トラウゴット教とは切っても切れない関係と言うか王家よりもトラウゴット教の方が実質上の立場とも言える。

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