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chapter7:become a teacher

嘆きと叫びの王モレク その17

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グラートは戸惑うモレクを氷の壁を地面から生え出させる様に展開させモレクにガツンと顎付近目掛けて直撃させる。

『ぬぉぉ!!!』

綺麗なアッパーが決まってそのまま後ろへと吹っ飛んで先にたくさん作られた氷の壁の一つに叩きつけられるモレク。

「うーん...詠唱短縮だと想定してたより威力が上がらないけど、こうやって大量に壁を作ったり出来る事を考えると詠唱時間が短縮されるのはかなりの利点だよなぁ...」

と言いながらグラートはロッドを向けてモレク目掛けて更に氷の壁を作って攻撃を仕掛ける。

グラートは賢者の称号持ちである母ザナージ大佐がエルコラーロ要塞から王都へと戻って以降ヒマを持て余し、その時間を息子のグラートにたった二ヶ月程でアークメイジ高位術士マスター称号が取れるまで軍隊式に扱かれたために実はかなり能力が高い。

確かにモレクが全盛期程の力が無いとはいえ、悪魔を追い詰めるくらいの能力を今の時点で持っているのだ...末恐ろしい存在である。

『生意気な小童が!ぎゃあ!!!』

何とか維持している金属の身体はボコボコだし漏れ出る炎もさっきより弱っている。

「ザナージ生徒会長」

「あ!アネリ先生」

バレンティナ達がやってきてグラートに声をかける。

「ありがとう...はぁ...逃げ出した時はどうしようって思ってたから...あとは危険だから貴方は逃げて」

バレンティナはグラートを心配しそう話す。

「でもアレそんなに強く無いですよ???ん?『術式展開!アイスヴァント!』」

『グォッ!!!』

グラートは立ち上がりそうなモレクに再度氷の壁をぶつけて再び吹っ飛ばす。

もうモレクの周囲は氷の壁で出来た檻に入れられた状態になっており、情けないモレクの姿にバレンティナとマキシムも呆れながら見る。

「何だか肩透かしだなぁ...」

マキシムはもう何だか哀れな存在に成り果てたモレクに対してそう話す。

「でもまぁこれで私たちだけで解決できそうで良かったわよ、ディビッドも休んでいられるしね」

「じゃあ憲兵達も呼んで一斉に攻撃を仕掛けて封じますか?」

「そうねぇ...!!!」

と3人でそんな話をしていると、バレンティナは嫌な気を察知し空を見上げる。

そこには不気味な薄笑いを浮かべたリュシフェルが宙を浮いていたからだ...片手に何か気味の悪いものを持って。

それは真っ白な人の皮膚で覆われたようなブヨブヨとした塊で、成人女性が丸まった大きさがある。

「リュシフェル!」
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