銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

古い夢4 その10

ディビッドはザイオンの家系の中でも特別な子供なのだ、母親の不貞を疑い父親に捨てられたのに、その父親から守られるかの様に神の御許でもある教会の保護を受けきちんと育てられたのだ、しかも赤宿しなのに養子に貰われていく事もないままに。

そしてわざわざ神がエステルにロストックへ出向く様にと導かれて出会ったのだ、顔が自分そっくりなのもだが出会った直後に頭に流れ込んだ『将来』の出来事が何よりも決定づけた...そしてディビッドの父親の罪も明らかとなった。

だからこそエステル他ザイオンの家の使用人達はディビッドに対して強い罪悪感を持っているのだ。

なにせ中にはディビッドを捨てた事を知っている者もいて罪の意識から命を断とうとする者すらいたのだ。

何故なら彼等はディビッドには黙っているが実際は『殺せ』と命じられそれを使用人の数人はその命令の従い実行しようとしていたからだ、そしてエステルもディビッドが発見された時点で使用人達に聞かされ知る事になる。

ただ唯一の救いが当時若い使用人の1人が良心の呵責から『自分が始末する』と偽りディビッドの父親とザイオンの家の使用人達にそうそう気付かれない場所へ、ロストックのフラウエン教会で保護して貰えるようにとわざわざ連れて行った事だ。

ちなみにその若い使用人はその一件から忠誠を誓えなくなり、そのままザイオンの家から去って行き、今何処で生活しているか分からない。

ディビッドは神託が与えられる訳でもないのに当たり前のように見えない神の存在を『確信』し、強い加護が与えられているのも分かる。

何せ長年解けなかった悪魔に常に狙われ続ける薄桃色の瞳と翡翠色の髪を持つ『生贄の娘』の呪いが生まれた時点で解けていたのだから。

それが原因でディビッドの母親が不貞を疑われてしまったが、いつかはその呪いが解けるのは300年前に12番目の預言者が呪いの根源である悪魔アスモデウスを滅ぼした時点で確定していた。

それを嫉妬に駆られて冷静に判断出来なかったディビッドの父親は結果的に神に見放され、ディビッドの母親を最悪な形で失い、悪魔の手にかかり顔を潰され見る事すら憚られる形で命を落としたのは明らかに神からの許されざる『罰』を受けた結果なのだ。