銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter7:become a teacher

ジョナサン試験を受ける その13

 「この場所を支点として念写画の術式を応用して血を流し込みながら地面に染み渡るようなやり方でシジルを書き込んだんだろう、しかも結構な血の量だ...人1人犠牲になった可能性もある...」

ジョナサンは下唇を噛む、自分達が知らない内にこんな事をするなんて...と悔しさを滲ませながら。

「どうされますか？」

「...こんなものそのままにしておけないからな、ディビッドにやらせるのが一番なんだけど...」

とジョナサンは携帯していたカバンの中からディビッドが作った聖水の入った瓶を数本取り出してシジルの上に注ぐ。

するとパッと注がれた血の跡が光り、みるみるうちにシジルは消えてゆく。

生贄を捧げられ血を吸った地は穢れ、悪霊や獣といったそれこそ悪いモノが寄ってくる。

規模が大きければ地を浄める為に7年もの時間をかけてヨベルの儀式を行わなければならないが、今回はそこまででは無い為聖水をかけてシジルを消す。

いつもならこんなものを見つけたならディビッドの祈りと浄化で消すのだが、今は無理をさせる事は出来ないのと今引き連れている異端審問官達ではディビッド程の浄化を行えないし、できれば彼らの体力を消耗させたくは無い。

ただディビッドの作る特別な聖水であれば強力な浄化作用が働くので代用は可能である。

しかしそれほど強力な聖水を作る為のコスト面...正確には聖マーシャ由来の年3回の大祭である過越の祭ペサハと仮庵の祭スコットと七週の祭シャブオットの儀式、それに加えて神に捧げる為に燃やす食物の準備などなどもあって、通常の贖罪の儀式で作成する聖灰を用いて作る聖水よりも数が揃えられないのが難点ではある為、ディビッドの銃の純銀製の弾丸を聖化させる時くらいにしか使用していない。

あらかた血の跡を消しさってからジョナサンは自分で割った石畳を異端審問官と共に元の場所に戻し、その後にジョナサンは割れた石畳に触れて術式を展開する。

『復元！』

そう叫ぶと展開された術式が光り、割れた石畳が一瞬にして錬金術でほぼ元通りの姿に戻る。

「さすが四大術式マスターですね」

異端審問官の1人がジョナサンの錬金に感嘆の声を上げる。

「...このくらいなら錬金術をある程度学べば出来るよ、さて...他の場所も当たった方が良いかもな、同じようなシジルが描かれている場所があるかもしれないから...」

と言いかけた時に何か視線を感じ取り、相手側に気づかれないようにすぐに気を読み始めるジョナサン。

感じる視線の先には異端審問官ではない人の気...でもそれ以外に何か嫌な気も混じっている。