銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

それぞれの帰路 その11

『それにしても便利なスキルを貰えたみたいだねぇ』

女の子が私に近寄ってくるわ。

「でも変装なんて面白そうだけど、私にそれを使う場面ってあるかしら？？？限定的って言ってたし」

『いやいやかなり役に立つはずだよ、まぁ白の射手は更に嫌がりそうだけどねぇ』

「？？？」

何だか苦笑気味にそんな事を言うわねぇ。

『それこそその時に分かるから！』

「うーん、なんだか話に置いてきぼりな感じで嫌ねぇ...」

『まぁ今説明してすぐに使える訳じゃないからねぇ...』

「む！」

『あはは、そうむくれないでよ、可愛い顔が台無しだよ！』

女の子は笑いながら私を宥めようとする。

「それにサミュエルさんはディビッドが天使って言ってたし、前に貴女もま・だ・天使じゃないって言ってたけど、ディビッドって一体...」

そう、ディビッドの正体...あの時はただただ驚いて見てたけど聞いておかなきゃ！

『うーん、ちょっと難しい質問だねぇ...まぁ『白の射手』は前にも言った通りまだ人だって事くらいとしかねぇ...あと聖別者っていうのは神聖な者とされる事、まぁ今の所私達みたく創造者にして忠節なるトラウゴッド神の力を用いて代行する存在とでも言えばいいかな？』

女の子は悩みながらそう説明する。

「代行するって言うのは悪魔を倒す事？」

『それもその一つだけど、何より神が望んでいるのは人が人として幸せに生きる事なんだけどね...その為に働く事もまた神の望みなんだよ』

そう答えながら私の顔を覗き込む。

「幸せ？」

『そう、ただどうしてもそれを阻む輩がいるから...それは悪魔だけじゃない事は君もよく分かると思うけどね』

「それらも...邪悪な思想の持ち主も取り除く事も役割なの？」

『取り除くってのはちょっと違うかなぁ～罪深い人々すら神は救いたいと願う方だから、まぁ罪を犯したらしっかり罰する方でもあるけどね...まぁそんな話はここまで、今回はサミュエルのたっての希望で特別にこの場を設けたんだよ、君にお礼と一緒に託さなきゃならなかったからね』

「エステルお姉様とディビッドの事を私に託すって事？」

『うん、サミュエルは本来ならまだ君のいる時代に留まる筈だったけど、あの時最も神を信じたからサミュエルの願いが叶って因果が変わってしまったからね』

「それってエステルお姉様を復活させるためにサミュエルさんが命を差し出したから？」

『そう、本来サミュエルが『白の射手』を支えなきゃならなかったけれど途中退場しちゃった感じだし、エステルは子供の姿で復活したからサミュエルの代わりにはならないもの』

「私にサミュエルさんの代わりなんて出来るかしら？」

『大丈夫だよ、だからサミュエルの能力の一部もだけど君自身にも神は力を使う事を許された、さてそろそろ時間かな』

そう言って女の子は別な方に目を向けるとそこにはマキシと呼ばれる神殿騎士が立っている。

『じゃあまたね...そしてお願い、私・の・子・供・達・の支えになってあげて』

そう言って真剣な顔をしながら私の両手を握ると同時に目を覚ます。