銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

それぞれの帰路 その4

バーレの街中では元の姿に戻ったジョナサンがタンクトップと動きやすい丈夫なズボン姿で瓦礫を撤去した跡地に、再度地震が起こった時に崩落しないように術式を付与した150センチ程の長い杭を土地に打ち込む様に指示をし、自身も一緒になってその作業を行う。

杭自体はジョナサンが設計して錬金し術式を2つ組んでいる代物で、ジョナサンがバーレから離れても錬金と術式付与をそれなりにできる術士がいれば簡単にできる様な作りに設計している。

地震自体は混乱バベルの塔の出現が原因で局地的だった為バーレ全体が崩落した訳ではなかったし、重要な建物は元々地震以外にも守られるように地面に術式を付与した特別な杭を打ち込んでいた為無事だったが、領民の住む住宅や店といった建物にはそれを施さなかった為全壊している場所が多い。

ジョナサンは整地した土地の端に杭を一本手にして地面に立ててから、グッと押し込むと先端に施した術式が作動しそのまま地面に沈み、20センチ程残して止まる。

「こんな感じで杭を打ち込むんだ、杭は後から区画を決め直す時の目印になるからきっちり測ってからするんだぞ！」

ジョナサンはそう言いながら大勢の作業員達にやり方を教えつつ全員で一定間隔で杭を埋めていく。

実はジョナサンは塔の崩落の次の日から連日全壊した建物の撤去から整地と何からずっとこうやって地震対策も兼ねた復興の仕事をしている。

まず一部区域をモデルケースにしてその手順を作業員に教え、それに従って次々と同じ様にやっていくようにする為だ。

ちなみに作業員達の半分はジョナサンの故郷でもあるロストックからやって来た親族達であり、全員が大柄で体格の良い人々でやたらとおおらかでボランティア精神の高い人々である。

そうやって作業を続けていると休憩に、と声がかかる。

「...思ったより時間が進んでるんだなぁ」

さっき昼食を食べたばかり、と思ってたらもう3時だ。

お茶と菓子でも食べておこうか、と休憩場所に設置した簡易テントの一つに入ると作業員達にお茶を振る舞う修道士達がおり、そこには見慣れた顔があった。

「あ、ベルじゃねぇか！」

「ジョナサン！」

ジョナサンとベルは同郷であり、それこそ小さい頃からディビッドも含めてよく知った仲で、それこそジョナサンが修学の為にバーレに向かった次の年にベルもバーレへ修道士としてやって来た。

ジョナサンはベルがディビッドに会う為にバーレにやって来た事を知っていた、本人は否定していたが修道士は別にロストックに居てもなれるし、いつもディビッドにくっついて来ていたのを今も思い出す。

そして今回の一件でディビッドとバレンティナとの関係も知っただろう、とも。

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