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chapter6:Be baptized

ミルトス その2

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大量の凍死者とそれを上回る餓死者、戦争の勝利に国をあげて喜んだが戦後復興としてその地に立った時に悲惨な状況を見てサヴェリオの父は後悔の念に駆られていたのだ。

そして王太子であるサヴェリオの兄にはその力を引き継がれていなかった為に父である王は安堵していたのに、その力を一番引き継いだサヴェリオが結局王座につく事になった。

ただその力故に悪魔を封じることができたがなんという皮肉なのだろう、とサヴェリオは思う。

その力をフォルトナータやその後ろにいる古くから存在していた高位貴族達は永続させる事...戦略的な人間兵器としてだ。

そして今フォルトナータの胎にがいる、流石に血の濃さ故なのか生まれる前からその力があるのを強く感じる、それは上の2人の子供よりも強い。

本当は子を作る事を拒絶したが、あまりに頑なゆえにフォルトナータから持ちかけられたのだ。

『陛下が今も思い続けるあの女占い師エステルとの婚姻を許し手助けするから私との子供を作りなさい、そして私の子を必ず王座に付けると約束しなさい』、と...

そしてそれにサヴェリオは乗ったのだ...エステルを手に入れる為に。

ただそれ自体が罪だった...なりふり構わず罪を犯したが故にエステルを失ったのでは、と悩み苦しむ。

「もう、一国の主が何メソメソしているのよ」

小さな女の子の声が聞こえて驚き声の聞こえる方へ顔を向ける。

そこには10歳ほどの黒いおかっぱ頭で紫色の瞳の小さい女の子が立っていた、髪と瞳は違えどエステルが幼くなった姿だ。

「...まさか...エステル...」

「貴方くらいの力の持ち主なら流石に正体がバレるわねぇ...」

賢者としての力を持つサヴェリオは気の流れを読む事で幼い姿のエステルがエステル本人であると理解する。

「その姿は...」

「本当は悪魔の贄となって死んだには死んだのよ、でも復活できたのよね、子供の姿になったけど」

「そうか...」

サヴェリオはぼろぼろと涙を流す。

「やぁね、泣かないでよ...貴方にはまず先に謝らなきゃって思ってね」

「エステルは悪くはないだろう...何故謝ることが?」

「...政略結婚が出来なくなったからね、あんなに派手に発表をやったのに...それにこんな姿じゃ私だと普通信じてもらえないし、それにこの身体を構成している一部は私だけのものじゃないの...手を取ってくれる?」

とエステルは手を出すと、その手をサヴェリオは触れると目を見開く。

「まさか...」

触れた手先から気の流れを感じる、それにはエステルの気の方が多いもののサヴェリオの気が混ざりあっている。

そしてその気の混ざり方自体が何を意味しているのかも理解する...それはパーヴェルや今フォルトナータに宿る子と同じようなものだから。

「...あの日の晩でなの、貴方と私の子...本来産まれる事はなかった命だったけど復活の際に私と混ざり合ったみたい」

そう、エステルはディビッド達には秘密にしていた事がある。

復活して生まれ変わったこの身体はエステルとエステルに宿ったばかりの子が混ざり合ったものだと言う事を。

エステルは人の気を読む事ができる為に復活した後その事にすぐに気がついたのだ、それにウルム王家の特徴とも言える強力な氷属性にかなり傾いている。

エステルやディビッドのザイオンの血筋はどちらかと言うと雷属性寄り、属性は生まれ持ってのもののため途中で変わる事はありえない。
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