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chapter6:Be baptized

お前に不名誉な名を与える! その5

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避難所では傷ついた人々を回復させていたミンミや避難していた人々が全員空を見上げていた...それこそ光と共に現れた輝く双翼を生やした天使が降臨し、それが塔が崩れ落ちていく様を見届けてながら。

「天使が...神が天使を使わしてくださった!」

と誰かがその姿を見て声を上げ、周囲はそれで騒ぎだす。

でもミンミは正体を知っている。

「あれは...ディビッド様」

リュシフェルからみんなで逃げた時に一瞬背中に羽根が生えていた姿が見えたし、何より自身が神聖力を持ったが故かそれらを全てわかる様になったからだ。

それこそバレンティナが力を持つ預言者である事や、エステルが命を落とした事も神聖力を感じる力もミンミは回復の奇跡の力と同時に持ったのだ。

エステルの神聖力が消え、それを心の中で悲しむミンミ...でも塔が崩れて見えなくなった瞬間に別の神聖力を感じる。

「え?」

それはエステルに似てエステルではない何か...でも力強い神聖力だ。

「ミンミ!」

ぼーっとしてるミンミにノンナが声をかける。

「あ...ごめん」

「ミンミも疲れたんじゃない?初めてなんだし」

ノンナはミンミがぶっ続けで回復の奇跡を怪我をしている人々に使い続けていた...それこそ初めて発現したばかりなのにだ、流石に心配になる。

「でもまだ怪我をして苦しんでいる人もいるんだもの、頑張るよ」

「ミンミ...」

そんな会話をしている間に空が明るくなり、光の雨が降り注ぐ。

「雨...」

暖かな光の雨は身体中の疲れが癒えて、傷が治っていくのがわかる。

それこそ傷ついて酷い状態の避難者達の傷も全てだ。

「き...奇跡だ!塔のあったところから光の柱が現れたんだ!塔を打ち壊した天使様が奇跡を起こして下さったんだ」

「ああ...神は我らをお救い下さった...」

驚きと天使や神に感謝の声が響く中、ミンミは手を組み祈りを捧げる。

創造者にして忠誠なるトラウゴッド神よ...この時代に奇跡を目の当たりにした祝福に感謝します」

神に対して感謝を捧げながらミンミは祈るのだった。


ーー



「ピィ...」

ピッピちゃんを通して司祭や神殿騎士のみんなが地面に敷いてくれたローブやマントの上で眠っている自分の姿を見るのもなんか変な感じね。

肩付近で降り立っておでこをちょん、とつけると一瞬にして自身の意識が自分の身体に戻る。

「ピィ!」

「ピッピちゃんありがとうね!」

ピッピちゃんにお礼を言うと頬をすりすりしてくるわ。

「ティナ!」

身を起こすとディビッドが抱きついてくる。

いつのまにか天使みたいな光り輝く姿からいつもの姿に戻ってるわね。

「ティナが無事でよかった...」

「やぁねさっきまでピッピちゃんを通して無事なのはよく知ってるじゃない...」

「姉上も失って...ティナも目を覚まさなくなったらと思ってしまったら...ううっ...」

ディビッドは泣いている。

さっきまで気丈にしていたけれど、エステルお姉様が亡くなった事...それこそ生贄にされてしまったが故にたとえ慈愛の雨の奇跡を起こしたとしても遺体もない状態のエステルお姉様の復活は無い...そしてエステルお姉様を亡くして最も悲しんでいるのは唯一の姉弟であるディビッドの筈だもの。

ディビッドの背中を撫でながら、慰めの言葉を考える。

そうしていると塔があった場所がなんだか騒がしくなるわ。

「おーい!地下墓地の跡地から死んで吊るされてた司祭達が出てきたぞ!」

マキシムさんが走ってこちらにやってくるわ。

「もしかしたらって事があるかもだから...ディビッド、行きましょう!」

「...はい...」

ディビッドの涙を指で拭って声をかけ立ち上がる。

マキシムさんとディビッドと私で塔の跡地へと向かうと丘にある洞窟みたいなぽっかり開いた穴からぼろぼろの姿だけど元気そうな司祭や神殿騎士の人達が出てくるわ。

みんな良かった良かった!と泣きながら助かった事を喜んでる。

そんな中で1人の初老の司祭の男性が見覚えのある白いローブを身につけた小さな女の子を抱えて出てくるわ。

「ああ...ディビッド様!」

その人物はディビッドに駆け寄ってくるわ...それにしてもこの子って!
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