銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

混乱の塔 その1

ジョナサンは地上へ戻り、乗っている全員を降ろした後に昇降機をまた地下へと降ろす。

数人にはヘルムートへくだんの件話し、バーレに住む人々を退避してもらうように指示をする。

そして地下墓地から寺院の作戦室へと気を失ったディビッドとマキシムを運び込み、起こす為にジョナサンは2人の頬を叩くと2人は目を覚ます。

「エステル様！」「ジョナサン何故！」

2人はジョナサンに詰め寄るが、ジョナサンは悲痛な顔をする。

「しかたねぇだろう！あの状況でカ・ディミラと戦って勝てたと思うのか！エステル様が贄となって復活したんだぞ！」

「...」

「それにまずバーレにいる人々をヘルムート様の力で退避させ、俺たちはカ・ディミラ討伐の為に全力を尽くす事が大切なんだ...でなきゃサミュエルや他の連中の示しにならねぇだろう...」

ジョナサンはエステルの死やカ・ディミラの復活、サミュエルの悲痛な叫びや多くの残してきた司祭達の顔を思い浮かべて2人に話す。

「...そうだな、すまない...」

まだ未成年のジョナサンにそこまで言わせてしまった事にマキシムは恥じる。

「...姉上」

ディビッドはぼろぼろと涙が溢れる、唯一の血のつながりのある姉であり色々あったとはいえそれでも大切な肉親だ。

しかも悪魔の贄とされた上、カ・ディミラはエステルの姿を使うという聖職者として冒涜的な目に合わされたのだ。

「しっかりしろ！ディビッド！」

マキシムはディビッドの両肩を掴んでそう叫ぶ。

「それこそカ・ディミラの討伐はバレンティナ嬢を護る為でもあるんだぞ！」

「そうだ...それこそエステル様の血に反応したって事は『神の民』は預言者として選ばれた先生にだって当てはまるかもしれねぇ...」

そう言われてディビッドははっとする、その血に溺れるカ・ディミラの笑い声、エステルのように殺される事など許される訳がないのだ。

ディビッドは涙を拭い、立ち上がる。

「悲しんだままで何もせず...犠牲を出すわけにはいきませんね...」

「体制を立て直さなきゃ」

とジョナサンが話している途中、ガタガタと地面が大きく揺れ始める。

「なっ！」

その揺れはかなり大きく、立っていられない程だ。

「地震？？？？一体どうして」

「違う！見ろ！！！」

マキシムが窓を指差し叫ぶ、地下墓地のある丘のあたりが大きく揺れて地面が崩れだし巨大な塔が大きな揺れと音を立てて現れる。

「あれって！」

地下墓地がそのまま地上に現れた姿にジョナサンは目を見開く。