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chapter6:Be baptized

大淫婦カ・デミィラ その2

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「それこそこの窪みに血を入れる事で復活するとかいう系じゃないっすか、なんか生贄の血でも溜め込みそうなヤバさ感じるし」

何気に床が中心部へ緩やかに下がっており、漏斗のようだとサミュエルは気がつく。

「そうかもね...まぁ私達三人は離れてた方がいいわね」

エステルはそう言ってディビッドとサミュエルにそこに近寄らない様にと言うと2人はやや下がる。

「上にいる司祭や神殿騎士で検証した方がいいわね、封印式も今回反応しない者で固めて...」

エステルがそう言いかける瞬間、部屋の中の空気が変わる。

ざわざわとした不快感を全員が感じる、それは悪魔が姿を現す時のようだ。

全員が各々の武器を手にし構え、周囲を見回す。

『とうとウここマで来られましタね!』

狂気に満ちた声が響く、周囲を見回してもその声の主が見えない。

「この声と話し方...」

きっとリュシフェルであろう、と全員は警戒を強める。

「こんな所まで!何処にいる!」

マキシムがディビッドやエステルの前に立ち、大剣を構えてそう叫ぶ。

ディビッド達の後ろにはジョナサンも同じ様に構える。

『こんナ所?そもそもココは貴方達の言う所ノ『邪悪なる者の墓場』ですヨ?私達にとっテの領域みたいなモノだと思わなイのでしょうカ?』

と愉快げな声が響く。

「どこから攻撃が来てもおかしくは無い、エステル様達は上へ、ジョナサン頼むぞ」

とマキシムがジョナサンにそう言うとジョナサンは頷き無詠唱で防御壁を作るとエステルとディビッド、サミュエルを守る様に囲い込む。

「マキシム!私達も!」

「ダメです!どんなに貴女が強くとも『血』に反応してカ・ディミラの封印が解ける最悪の事態を避ける為です!とにかく地上に出てください!」

心配するエステルの言葉にマキシムはそう叫ぶ。

「エステル様に坊ちゃん...戻るっすよ...」

とサミュエルはエステルの手を掴んで階段へと向かおうとする。

『させませんヨ』

そんな声が聞こえたと思った瞬間、階段へと続く扉の前に大きな槍が何本も床から勢いよく突き出し道を塞ぐ。

「阻まれたっ!」

不味いと思ってジョナサンは更に守りを固める為、特に足元からの攻撃に対処できる様に防御壁を厚くするも、今度は四方八方から槍が降り注ぎだす。

それぞれがその攻撃を避けたり、武器で弾き返したりするがなかなか収まる気配が無い。

エステルとディビッドは念の為にそれぞれ守りの双翼をかけて更に防御を厚くする、これで一度や二度の攻撃は跳ね返すと思ってだ。

そんな中逃げ道を作ろうとジョナサンは拳を作る。

『武具生成!ガントレッド!』

そして阻んでいる槍をジョナサン壊す為に錬金で銀色のガントレッドをそのまま腕に装着するよう生成し、拳で破壊する為に殴ると全て音を立てて粉々に砕け散る。

「早く逃げろ!」

その声を聞いてディビッドやエステル、サミュエルは出口に向かって走る、こんな攻撃を仕掛けるなんて、ディビッド達の血を流す事こそがリュシフェルの望みなのだろうと思ってだ。

出口に差し掛かったその時、ディビッドの目の前にあの男の姿が現れる。

燕尾服を身に纏いシルクハットを被った長いプラチナブロンドの髪の男、その瞳は青いが海の底を覗き見る様な恐ろしさを感じ合わせる存在。

その右手には先程から降り注いだ槍と同じものがある。

『この世で最も『天使』に近き『神の民』!『聖別されし者』!その血を持ってカ・ディミラの糧となルがイイ』

リュシフェルの狙い、それはハイラントに続く者であり真の『白の射手』であるディビッドの血によりカ・ディミラを復活させようとしてだ。

「「「ディビッド!」」」

その場にいた全員がディビッドの名前を叫ぶが、リュシフェルがディビッドの左胸を狙って槍を刺そうとした瞬間、ディビッドは後ろから鎖が絡まれ後ろへ引きずられ、庇うようにエステルがディビッドの前に飛び出す。

守りの双翼によりその鋭い矛先が跳ね返ると思ったがバリン!と大きな音をたてながら打ち破られてエステルの腹を貫通する。

「かはっ...」

エステルは口から血を吐きながら倒れこむ、その身体からじわじわと流れる血が床に広がる。
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