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chapter6:Be baptized
地下墓地 その5
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地下墓地...名前を聞いただけだと墓地そのもののイメージを持つが実際はアンデッドが溢れて出る為にそう呼ばれているだけである。
そう言ったアンデッドはその昔旧バーレの堕落した民が雹の災厄により死んでいった人々だろう...というのが一般の見解である。
その構造は謎に包まれているが、石造りの塔のような作りをしており、それぞれの階のフロアはそれなりに広い。
そして壁や床は傷をつけたり破壊したりしても、時間が経てば何故か修復するので、昇降機を設置する際は地下墓地からやや外れた場所を掘り進めている。
そして地下に埋もれている場所でありながら窓が存在している為、アンデッドが何故か発生しない49階と50階の間の階段の窓に出入り口となるように作られている。
※因みに余談であるが50階にはそれより下の階へ進む事を拒むかのような死者の王ダークリッチが阻むのだが、ディビッド達のレベルであれば瞬殺で倒せる雑魚と成り果てている。
ー
地下69階までの道は楽な道のりである。
エステルを含む先陣部隊が全てアンデッドを倒してしばらく湧き出ないように司祭を各階層毎に配置し浄化を定期的に行う事で安全に行動できる。
そうやって地下へと進んでいくディビッドとジョナサン。
本来ならば暗くてジメジメしていてカビ臭いのだが、きっちり浄化し空気も澄んでおり灯りも灯しているので以外と快適な環境である。
先陣をきったメンバーが露払いが終わるのを見越したペースで下の階へと進み69階まで降りるとエステル達がその階のアンデッドを全て倒し切った後で、ぼろぼろと落ちている戦利品を回収している最中だった。
「流石姉上がいたからかあっと言う間でしたねぇ」
「そりゃあ当たり前だ、エステル様がいるだけでこいつら弱体化するしなぁ」
きっとこの階層のボスランクのアンデッドの成れの果てかと思われる砕けた巨大な骨を指さすマキシム。
「肩慣らしにもならなかったんじゃ無いかしらね」
「そんなの言えるのはエステル様だけっすよ」
とチェーンウィップを袖にしまいこみながら話すサミュエル。
周囲のゴミとなる倒したアンデッドの残骸やら出てきたドロップアイテムやらを回収したり掃除をし、浄化を丁寧にかけて床を綺麗にした状態になるのをディビッドは確認する。
「まぁいいんですけどね...さて」
とディビッドがジョナサンから禁呪の書き板の入った箱を受け取り、その中に入っていたガラスのような球体に封じられた書き板を取り出してその階層の中心部にしゃがみ込む。
「じゃあ始めますよ、ジョナサン!」
「おう!」
ディビッドは地面に封じられた球体を置き、持っていたナイフで左手の指を切ると血が滲む。
滲んだ血を数滴球体に垂らした後に手をかざすのと同時にジョナサンはディビッドからやや離れた場所に立ち細身の剣を抜いて中に円を書くように振る。
ジョナサンの持つ剣の先からは光が生じ、その光は円陣となって外側から徐々に細かい文字と共に書き出される。
『悪魔オセの封印をこの地に封じる』
一拍おいてディビッドも古代ウルム語の言葉を発しその封じられた球体を中心にジョナサンと同じように円陣を内部から書き出す。
その光は赤い図と文字へ変わっていき、円から段々と螺旋になって最終球体のように形が変わっていく。
「いつ見ても不思議な光景だなぁ」
と少し離れた場所から2人が封印式を作成する姿を見てマキシムはそう呟く。
「あれを一日かけて集中してやらなきゃならないのもしんどいっすよねぇ、先陣切って一気に20階分のアンデッド薙ぎ倒す係の方がよっぽど楽だし」
「まぁな」
「...その面倒臭いって思う性格じゃなければジョナサンとまではいかなくても高位術士になれたのにね」
「あはは、学も無いしボクには性に合わないっすよ、せいぜい姿を変える術が使えるくらいで充分っす」
エステルとマキシム、サミュエルがそんな風に話をする。
そんな時ふとサミュエルは昔のことを思い出す。
地下墓地...名前を聞いただけだと墓地そのもののイメージを持つが実際はアンデッドが溢れて出る為にそう呼ばれているだけである。
そう言ったアンデッドはその昔旧バーレの堕落した民が雹の災厄により死んでいった人々だろう...というのが一般の見解である。
その構造は謎に包まれているが、石造りの塔のような作りをしており、それぞれの階のフロアはそれなりに広い。
そして壁や床は傷をつけたり破壊したりしても、時間が経てば何故か修復するので、昇降機を設置する際は地下墓地からやや外れた場所を掘り進めている。
そして地下に埋もれている場所でありながら窓が存在している為、アンデッドが何故か発生しない49階と50階の間の階段の窓に出入り口となるように作られている。
※因みに余談であるが50階にはそれより下の階へ進む事を拒むかのような死者の王ダークリッチが阻むのだが、ディビッド達のレベルであれば瞬殺で倒せる雑魚と成り果てている。
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地下69階までの道は楽な道のりである。
エステルを含む先陣部隊が全てアンデッドを倒してしばらく湧き出ないように司祭を各階層毎に配置し浄化を定期的に行う事で安全に行動できる。
そうやって地下へと進んでいくディビッドとジョナサン。
本来ならば暗くてジメジメしていてカビ臭いのだが、きっちり浄化し空気も澄んでおり灯りも灯しているので以外と快適な環境である。
先陣をきったメンバーが露払いが終わるのを見越したペースで下の階へと進み69階まで降りるとエステル達がその階のアンデッドを全て倒し切った後で、ぼろぼろと落ちている戦利品を回収している最中だった。
「流石姉上がいたからかあっと言う間でしたねぇ」
「そりゃあ当たり前だ、エステル様がいるだけでこいつら弱体化するしなぁ」
きっとこの階層のボスランクのアンデッドの成れの果てかと思われる砕けた巨大な骨を指さすマキシム。
「肩慣らしにもならなかったんじゃ無いかしらね」
「そんなの言えるのはエステル様だけっすよ」
とチェーンウィップを袖にしまいこみながら話すサミュエル。
周囲のゴミとなる倒したアンデッドの残骸やら出てきたドロップアイテムやらを回収したり掃除をし、浄化を丁寧にかけて床を綺麗にした状態になるのをディビッドは確認する。
「まぁいいんですけどね...さて」
とディビッドがジョナサンから禁呪の書き板の入った箱を受け取り、その中に入っていたガラスのような球体に封じられた書き板を取り出してその階層の中心部にしゃがみ込む。
「じゃあ始めますよ、ジョナサン!」
「おう!」
ディビッドは地面に封じられた球体を置き、持っていたナイフで左手の指を切ると血が滲む。
滲んだ血を数滴球体に垂らした後に手をかざすのと同時にジョナサンはディビッドからやや離れた場所に立ち細身の剣を抜いて中に円を書くように振る。
ジョナサンの持つ剣の先からは光が生じ、その光は円陣となって外側から徐々に細かい文字と共に書き出される。
『悪魔オセの封印をこの地に封じる』
一拍おいてディビッドも古代ウルム語の言葉を発しその封じられた球体を中心にジョナサンと同じように円陣を内部から書き出す。
その光は赤い図と文字へ変わっていき、円から段々と螺旋になって最終球体のように形が変わっていく。
「いつ見ても不思議な光景だなぁ」
と少し離れた場所から2人が封印式を作成する姿を見てマキシムはそう呟く。
「あれを一日かけて集中してやらなきゃならないのもしんどいっすよねぇ、先陣切って一気に20階分のアンデッド薙ぎ倒す係の方がよっぽど楽だし」
「まぁな」
「...その面倒臭いって思う性格じゃなければジョナサンとまではいかなくても高位術士になれたのにね」
「あはは、学も無いしボクには性に合わないっすよ、せいぜい姿を変える術が使えるくらいで充分っす」
エステルとマキシム、サミュエルがそんな風に話をする。
そんな時ふとサミュエルは昔のことを思い出す。
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