銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

お酒はこりごりだわ！ その10

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「地下69階まで湧き出るアンデッドは私が中心でマキシムとサミュエル他討伐組が倒し、結界と封印式組は温存を、攻略した階層から各2、3名で結界を維持する為配置...と」

寺院内の広い作戦室でエステルが淡々とディビッド他今回の作戦で参加する大勢の異端審問官全員の前で説明する。

ざっとエステル含むメインの5人とその周辺の雑魚の露払いの為の神殿騎士を6名配置、階層に配置予定の異端審問官25名と大所帯であるが、エステルが居ないならさらにその数を増やす算段だったので少ない内である。

エステルはあっさりとそう話すが、地下のアンデッド達はかなり強く苦戦するのが普通であり、本来ならば死ぬ事も考えられる程危険な場所でもある。

しかしエステルの神聖力を用いた浄化でアンデッドはかなり弱体化するのでかなり攻略は楽になる。

そう言う意味では異端審問官達はそこまで厳しくない任務と思うのだろうか、やや空気がそこまで深刻ではない様子が伺え、それにエステルは眉を顰める。

「今回私がいるとしても何処で何が生じるかは分からない為気を抜かない様に...何せこの神聖なるバーレの土地内で『明けの明星』がいたのだから...今回はその事もあって私も一緒に行く事にしたのだからそれを忘れない様に」

とエステルは釘を刺すと、一同ピリッと背を正す。

その後細かく作戦内容を話した後、全員が解散すると作戦室にディビッドとエステルだけ残る。

「そう言えばあの後ノルベルトに会ったわ」

「こっちに来たんですか...」

「きっと次代の預言者であるティナちゃんに顔合わせにって事じゃないかしらねぇ...」

「常に王都の方にでも居ればいいものを」

ディビッドはため息を吐く、司祭長であり次の教皇候補であり基本エアヴァルドの王都の教会を管轄している為、ノルベルトは王都にいる事が多い。

それもあって貴族といった特権階級や裕福な商家との繋がりもある為に行儀見習いという名目で寺院内に子女を一時預けるような事もまかり通ったのである。

そしてディビッドにそう言った彼女らを仕掛けたのも元を正せばノルベルトが原因...いや本人が指図してやらせた可能性すらある。

そう言う意味合いでも腹立たしいのに、最愛のバレンティナをあの男に見せたくない、という心情がディビッドに生じる。

「...顔合わせ自体はどちらにしろ避けられないでしょうね、まぁティナちゃんはウルムの上位貴族でもあるし度胸もあるからあしらい方も知ってるでしょうし大丈夫だと思うけどね」

「そうですかね...」

眉を顰めるディビッド。

「しばらくは叔父様にパーヴェル君の勉強にかこつけて屋敷から出ない様にお願いしておくわ...それにしてもこれから3、4日は空けなきゃならないのがね...流石にオセの封印の件までは耳に入ってないでしょうから留守にする件は偶然なんでしょうけど」

窓から暗くなった空を見るエステル。

ディビッドとエステル2人が一時とは言えバレンティナから離れる事になるのは気掛かりで空気は重い。

「何事も無ければ良いんだけどね...」

エステルはそう呟くのだった。