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chapter6:Be baptized

お酒はこりごりだわ! その9

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ーー

「は?何も学んでないとか坊ちゃんバカなんすか???」

とサミュエルがボコボコでボロボロなディビッドとジョナサンを介抱する。

サミュエルはエステルの命令で2人を介抱してやるようにと命じたので渋々やってきた。

ザイオンの屋敷に入って倒れていた2人に呆れ顔でそれぞれの口にポーションと気付け薬(目を覚ますほどのとんでもないまずい代物)を流し込んで無理矢理目を覚まさせたのだ。

因みに2人がむせて床が大変な事になったのは言うまでも無い。

「どうせ手を出さなくてもボコボコにされるなら良い思いをした方が良いじゃないですかぁ」

「それで俺はとばっちり食う羽目になったんだけど...」

「じょにーさんも上手いこと言えるようになんないとっすよ、いくらじょにーさん丈夫でもエステル様の攻撃直接受けるとか限界があるっすから...あと坊ちゃんは下半身で行動すんのは辞めるっすよ...近々地下墓地の最下層まで潜るんすからエステル様の攻撃で体力削る真似はダメっす」

と説教をするサミュエル、ディビッドは聞いたこっちゃないと言う顔をするがジョナサンはややしょんぼり気味だ。

ディビッドの態度にやや眉を顰めサミュエルは近づく。

「坊ちゃん最近疲弊してんのわかるっすよ...何が原因かとは言わねぇっすけど」

ジョナサンに気づかれない様、囁くようにサミュエルは話すが、思う節があるのかディビッドは睨む。

「別に職務に支障がなければ問題ないでしょう」

「...まぁ良いっす...さて2人共無理矢理目を覚まさせたのはエステル様からの呼び出しっす...さっきの件じゃなくて地下墓地の件...エステル様も一緒に行ってくれる事になったんで、その件で異端審問官全員に話をしたいって事っす」

「だから無理矢理目を覚まさせたのか...」

さっきのめちゃくちゃまずい気付け薬を思い出してうえっ...とするジョナサン。

「分かりました、じゃあ行きましょうか...」

「因みに寺院の対策部屋の方にって...あと汚くした場所は綺麗にしとけって言ってましたよ」

「分かってますよ」

とディビッドは浄化クリアランスを部屋にかけると、汚した部分が綺麗になる。

サミュエルがディビッドとジョナサンを早く早く...と急かすので部屋を出ていく。

サミュエルが最後に1人部屋に残り部屋の中を見てため息を吐く。

その昔エステルより助けられて、エステルの遊び相手かつザイオンの家の使用人としてこの屋敷に居た頃を思い出す。

嫉妬深い当主がただでさえ屋敷から出る事も許されなく、何かあればこの部屋からディビッドの母ドロレスを閉じ込め軟禁していたのをサミュエルは知っている。

ただそんな時にエステルが母親恋しさから部屋に入る事を許可され、何度か一緒に部屋に招き入れられた事がある。

いつも優しくしてくれる方だったが、そんな時は寂しそうに実家でもある正面のマハナイムの屋敷を眺める姿がいつも印象的で頭に焼き付いている。

「きっと坊ちゃんにゃここの部屋が自分の母親の監禁部屋だったなんて思いもしないっすよね...」

サミュエルはそう呟いて部屋を後にするのだった。
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