銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

洗礼式 その4

朝、洗礼式当日。

とても良い天気ね、そして私とパーヴェル君の衣装もさっき完成させたって持ってきて貰えたのを確認する。

箱から出された衣装は真っ白でちゃんとサイズも合ってるみたいね、ただエステルお姉様のものよりも銀色の糸での細かい花の刺繍とか入ってて豪華な気がするんだけど...これ一日で終わらせた？？？

「刺繍...この花はアーモンドですね」

花の刺繍を見てそう話すパーヴェル君。

「ええそうです、これは聖マーシャの持っていた杖の逸話で、持っていたアーモンドの木の杖が奇跡によって杖から花と実をつけた事から由来しているんですよ、私の着ている司祭服のこの刺繍にもあしらわれているんですよ」

とディビッドが身につけている司祭服の袖口にあしらわれている刺繍を見せるわ。

そう言えば銃にもアーモンドの花と実の絵が彫られているものね。

「そうなんですか、ただ薄いピンク色の儚い花のイメージしかなかったので...」

「パーヴェルはあまり好きな花じゃないの？」

少し怪訝そうな顔のパーヴェル君にエステルお姉様がそう尋ねる。

「いいえ、ただ父上の事を思い出すので...」

「そう...会いたい？」

「いいえ、僕は憎まれているので」

パーヴェル君とサヴェリオ陛下...確かに陛下は悪魔を、特にダンダリオンに対しては間違いなく憎悪を持っていてそれをパーヴェル君の母である側妃が封印を解放させた罪の為でしょうね。

でもこんな罪の無い小さい子に対して気の毒だわ。

「...大丈夫、代わりにここにいる多くの人々と創造者にして忠節なるトラウゴット神が貴方にその倍以上の愛を与えてくれるわ」

エステルお姉様はパーヴェル君にそう言い聞かせるわ、とても優しく。

「エステル様も？」

「ええ、そうね」

パーヴェル君の頭を優しく撫でながらエステルお姉様は慈愛に満ちた瞳でそう応えるわ。

そしてその優しさに顔を綻ばせるパーヴェル君、まるで本当の親子みたい。

「大丈夫そうですね、では片付けて寺院の方へ...」

ヘルムート様が衣装を使用人の人に渡すとあっという間に綺麗に畳まれて箱に戻してそのまま部屋を出て行くわ。

「では私達も向かいますか」

ディビッドがそう言う、片手には杖かしら？長い棒を白い布で巻かれているものを持っているわ。

「ディビッド、それは？」

「ああ、これは今回の儀式に必要かと思いまして...」

と少しめくると、そこには赤から青へ色が変わって中に星が散りばめられている石が付いている杖の姿...セプター オブ バーレと呼ばれる杖だわ。

「確かにそうね」

とエステルお姉様。

「元々はエステルお姉様の杖ですよね」

「正確には違うけれど、儀式が終われば分かるわ」

と言われるわ、それってどう言う事なのかしら？