銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

惑わす者の甘言 その15

『アハハ！人はとても欲深くテ醜い生き物ですかラネ！』

嫌な声が上から聞こえると思い上を見ると傷ひとつないリュシフェルが宙に浮きながら高笑いをしている。

「リュシフェル！」

マキシムは剣を構えるが、ディビッドはマキシムに静止する用促すように手をマキシムに向ける。

「貴様がこんな通常の悪魔より軟弱なんて有り得ませんからねぇ」

『まァ今回は大人しク引き下がリますヨ...真のバーレの王であル『白の射手』、天使に近キ者...』

その濃紺の瞳は淀みがあり底知れぬ不気味さを放っている事にディビッドや12番目の預言者以外は息を飲む。

その顔は笑ってはいるが、神に特別に愛されるディビッドに憎悪の念が強く感じる。

この場にいる全員が化け物染みた力を持っていても、リュシフェルの憎悪だけで強いプレッシャーを感じる程に。

リュシフェルは宙に浮いたままスゥッと消えて行く姿を全員が見つめる。

ディビッドは自然と白く輝く姿から、求の姿へ戻る...脅威が過ぎ去った為だろう、自身の意志でこの姿になる訳ではないからだ。

『追い払う事は出来たようだね』

四人に近づく12番目の預言者にディビッド以外は跪く。

目の前のバレンティナには12番目の預言者が宿っている事を三人が直ぐに判断したからだ。

『畏まらなくても良い、大義であったな』

「いえ、偉大なる12番目の預言者様...これは我らの務めですので」

マキシムが頭を下げたままそう話す。

『顔を上げよ、私はもう去るが穢れし邪悪なるリュシフェルも暗躍している事から近いうちにこのバーレの地に大きな『災厄』がやって来る...君たち四人がこの場に集められたのも創造者にして忠節なるトラウゴット神のご意志なのだろう』

「「「「！！！」」」」

四人はその言葉に驚く。

「危機ってなんなんすか？？？」

『それは私自身がその危機との因果が無いから分からない...だがあそこから来るのだけはね...』

と地下墓地の方向へ指差す。

「あそこの地下に眠る大悪魔カ・ディミラが復活するとでも」

『そこまでは分からないけれど、その原因自体は分かる...人の欲故にバーレが穢された事は間違いない、ねぇ『白の射手』』

そう言いかけられると先程女達に襲われた事を思い出す...このアルトマイヤー寺院に持ち込まれた媚薬の件もだが、エステルの語った預言相手の件が知られている事、ディビッドのお・手・つ・き・になる事で無視できない事態が生じる。

ザイオンの家を...それこそバーレの真の王の意味を俗物が考えるただ地位の高い影響力のある地位だけと考えてそこに潜り込もうとする野心が見え隠れするのだ。

それはハイラントへ続く尊き血筋が穢されかねない。

「ヘルムート様に調査してもらった方がいいかもな...」

ジョナサンが眉を顰める。