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chapter6:Be baptized

惑わす者の甘言 その11

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『アハハ!流石ですネ!』

『全く丈夫だなぁ...まぁ私じゃ倒せないのは仕方ないけどさぁ』

神罰の雷を周囲一帯に降り注ぎ、生み出された大量の悪霊を消し去るも、リュシフェル自身には特段ダメージも受けてないように見える事に眉を顰めながら12番目の預言者に憑依されたバレンティナはつぶやく。

リュシフェルは更に悪霊を呼び寄せてはバレンティナに向かって襲い掛かるも、それをかわしながら距離を取って神罰の雷の聖句を唱えて雷を降り注ぐ次々と悪霊を消し去る。

『こんな時マキシがいれば盾になってくれるけど、仕方ないか...』

出来れば至近距離まで詰めてから再度リュシフェルに裁きの鉄槌をお見舞いしてやりたい気持ちではあるが、無理をしてバレンティナを傷つけるような無茶はしたらいけない、と思ってだ。

"私は大丈夫だから、そのまま突っ込んで行っても良いわよ?"

バレンティナ本人が12番目の預言者にそう語る。

『いや、そんな事したら白の射手に怒られるからねぇ...でも君がそう言うなら...』

と言ってロッドをリュシフェルに向ける。

『強欲な者よ!その強欲ゆえに邪悪な企みをくわだてる者よ、その心を神は憎まれる!その者の所有物は全てイナゴによって食い荒らされるであろう!』

蝗の災厄の句を読み上げると、どこからともなく現れる通常の倍の大きさの蝗の集団がわっと集まり黒い塊となってリュシフェルに一直線に向かう。

『グッ...忌々しイ!』

襲い掛かる蝗の顎は鋼鉄よりも硬いダマスクス鋼すら噛み砕き肉を引きちぎる程の恐ろしいものであるが、リュシフェル自身実体があって無いような存在故か見た目だけはそのダメージを食らってはいない。

しかしこの蝗は神罰でもあるから聖属性がデフォルトで付いている為に、実際はそちらのダメージは受けている様で、まとわりつく蝗を払い除けている。

しかし12番目の預言者の目論見は蝗の災厄によってダメージを食らわせる事ではない。

蝗に襲わせた間にリュシフェルとの間合いを詰める為に走り込み、裁きの鉄槌の射程内に入る事だ。

そのタイミングを狙って聖句を読み上げ始めようとしたその瞬間、何か黒いモノにグッと腕を掴まれる。

『なっ!』

黒い畝る様な腕の形をしたモノはリュシフェルの長い髪から伸びており、グッと引き寄せられる。

『アハハ!昔から貴女のそう言う所ツメが甘イのですヨ!』

とバレンティナの首にリュシフェルが手をかけようとした瞬間、パシュっといった音と共に遠くから閃光が走りリュシフェルの頭を横から貫通される!

『ウッ!』

その衝撃ゆえにシュリフェルは身を捩り、バレンティナを拘束していた影も散り散りになって消えていく。
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