505 / 841
chapter6:Be baptized
それは秘密よ その11
しおりを挟む
「なんて事をしてくれたのですか!」
礼拝堂に全員が呼び出されて、タビダ様の叱責の声が響く。
「ですが...洗礼を受けるって...」
「バレンティナ様は洗礼を受けるだけで、今回こちらに来ているのはその準備であって修道士見習いになる訳ではないのですよ!」
どうやらあの貴族の娘、いろいろタビダ様に言いつけたのかもね...まぁまち針を刺しただの掃除をさせるだの証拠の残るような嫌がらせをするからだけど。
「申し訳ございません、タビダ様」
「私にではなく、バレンティナ様に謝罪なさい!あの方は謙遜なお方だから特に何も言いはしないですが、普通のウルム貴族であれば国際問題にもなり得るんですよ!」
「ひっ!」
もっと上手くやれば良いのに、あの子達わかりやすいんだものね、だから頭が悪くてここに入って来たような下流貴族の娘とか嫌なのよね。
「バレンティナ様はディビッド様以上にエステル様の大切な客様なのです、そこを忘れないように!」
最後そう言ってタビダ様は去っていく。
「どうしよう...」
まち針を刺したりして嫌がらせをした子が青い顔をしているわね。
「わざとじゃあないんでしょ?ならそこまで落ち込む必要なんてないわよ」
「そう?」
そんな感じで優しく声をかけておく、まぁ相手によく見られる事自体損じゃないものね。
「そうよ...もっと別な方法があったはずよ」
「何?」
何人かの子達が近づいてくるわ。
「それこそね...」
そう...もっと頭を使わなきゃ...
それにしても今日はやけに礼拝堂が綺麗になっている気がするわね。
それにまた何処かから視線を感じる...私たち以外だれもいない筈なのに。
ーーー
着替えしないままお屋敷に戻って着たからさっさと持ってきた服に着替え直すわ。
だって修道士見習いの服って肌の露出なんて無いシンプルな紺色の服なのにエロいとか言われて解せないし、異端審問官の人がいる中で何度もお尻を触るというより撫で回されたし、身体を清めなきゃならないのにうっかりディビッドに襲われでもしたら大変だもの。
それにしても今日は何だか疲れちゃった...洗礼式まではこんな感じなのかしらねぇ。
「...何だか大変な事になってきたわねぇ」
教皇様やタビダ様みたいにあんな感じ敬われるのもなんか変な感じだし、私そんな偉い人間じゃないのに。
そう、昔から立場で見られる事が嫌だったのよね...小さい頃は侯爵家の人間の癖に貧乏で随分嫌な目にあったし、お兄様が家と領地をあっという間に盛り返したら手のひら返しどころか恐れられてしまうくらいになったりだしね。
だからいつの間にか、目立つ髪色を隠してスザンナと一緒に街に遊びに行ったりする様になったのよ...
ただ普通の女の子として、街に溶け込んでショッピングしたり美味しいお菓子を食べたり、人気の劇場や美術館に行って楽しんだりしてね。
ただきっとそれもそのうち出来なくなるんだろうな、と思いながら...パパは好きにすれば良いなんて言うけどウルム貴族の娘ならば、貴族の元に嫁いで家同士の関係を強め、子供をもうける事を望まれる筈だったしそう言う事で婚約もしてたしね。
まぁあの阿呆は悪魔に唆されて婚約は破棄する事になったけど。
その後も貴族かお金持ちな商家のおじいちゃんの後妻にでもなって悠々自適生活でも送る予定だったけど、ディビッドと出会ってからそんな訳にいかなくなったのよね...
まさか出会って一ヶ月くらいであっという間にこんな爛れた関係になっちゃったけど。
窓から空を見る、もう真っ暗ね。
礼拝堂に全員が呼び出されて、タビダ様の叱責の声が響く。
「ですが...洗礼を受けるって...」
「バレンティナ様は洗礼を受けるだけで、今回こちらに来ているのはその準備であって修道士見習いになる訳ではないのですよ!」
どうやらあの貴族の娘、いろいろタビダ様に言いつけたのかもね...まぁまち針を刺しただの掃除をさせるだの証拠の残るような嫌がらせをするからだけど。
「申し訳ございません、タビダ様」
「私にではなく、バレンティナ様に謝罪なさい!あの方は謙遜なお方だから特に何も言いはしないですが、普通のウルム貴族であれば国際問題にもなり得るんですよ!」
「ひっ!」
もっと上手くやれば良いのに、あの子達わかりやすいんだものね、だから頭が悪くてここに入って来たような下流貴族の娘とか嫌なのよね。
「バレンティナ様はディビッド様以上にエステル様の大切な客様なのです、そこを忘れないように!」
最後そう言ってタビダ様は去っていく。
「どうしよう...」
まち針を刺したりして嫌がらせをした子が青い顔をしているわね。
「わざとじゃあないんでしょ?ならそこまで落ち込む必要なんてないわよ」
「そう?」
そんな感じで優しく声をかけておく、まぁ相手によく見られる事自体損じゃないものね。
「そうよ...もっと別な方法があったはずよ」
「何?」
何人かの子達が近づいてくるわ。
「それこそね...」
そう...もっと頭を使わなきゃ...
それにしても今日はやけに礼拝堂が綺麗になっている気がするわね。
それにまた何処かから視線を感じる...私たち以外だれもいない筈なのに。
ーーー
着替えしないままお屋敷に戻って着たからさっさと持ってきた服に着替え直すわ。
だって修道士見習いの服って肌の露出なんて無いシンプルな紺色の服なのにエロいとか言われて解せないし、異端審問官の人がいる中で何度もお尻を触るというより撫で回されたし、身体を清めなきゃならないのにうっかりディビッドに襲われでもしたら大変だもの。
それにしても今日は何だか疲れちゃった...洗礼式まではこんな感じなのかしらねぇ。
「...何だか大変な事になってきたわねぇ」
教皇様やタビダ様みたいにあんな感じ敬われるのもなんか変な感じだし、私そんな偉い人間じゃないのに。
そう、昔から立場で見られる事が嫌だったのよね...小さい頃は侯爵家の人間の癖に貧乏で随分嫌な目にあったし、お兄様が家と領地をあっという間に盛り返したら手のひら返しどころか恐れられてしまうくらいになったりだしね。
だからいつの間にか、目立つ髪色を隠してスザンナと一緒に街に遊びに行ったりする様になったのよ...
ただ普通の女の子として、街に溶け込んでショッピングしたり美味しいお菓子を食べたり、人気の劇場や美術館に行って楽しんだりしてね。
ただきっとそれもそのうち出来なくなるんだろうな、と思いながら...パパは好きにすれば良いなんて言うけどウルム貴族の娘ならば、貴族の元に嫁いで家同士の関係を強め、子供をもうける事を望まれる筈だったしそう言う事で婚約もしてたしね。
まぁあの阿呆は悪魔に唆されて婚約は破棄する事になったけど。
その後も貴族かお金持ちな商家のおじいちゃんの後妻にでもなって悠々自適生活でも送る予定だったけど、ディビッドと出会ってからそんな訳にいかなくなったのよね...
まさか出会って一ヶ月くらいであっという間にこんな爛れた関係になっちゃったけど。
窓から空を見る、もう真っ暗ね。
0
お気に入りに追加
343
あなたにおすすめの小説
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる