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chapter6:Be baptized
アルトマイヤー寺院 その2
しおりを挟むパーヴェル君はエステルお姉様の手をとってそう言うわ...何だかパーヴェル君とエステルお姉様が親子みたい。
「大丈夫よ、きっともう少し休めばいつもみたいに戻ると思うから」
そうは言うけど顔色が悪いのよね、お姉様。
「あまり無理をしないで、エステルお姉様」
「ふふ、でも洗礼式には間に合うようにするから、式は私が執り行う予定なの」
「それなら心強いです」
「あと一日眠ればきっと良くなる筈だから」
そう言ってエステルお姉様は再び眠りについちゃうわ...
「エステル様」
「パーヴェル君行きましょう」
名残惜しそうなパーヴェル君を促してエステルお姉様の部屋を出る、この後少ししたらヘルムート様と寺院まで向かう事になっているけど、少し心配だわ。
「エステル様は大丈夫でしょうか...」
「大丈夫よ...だっていつも元気だったんだもの、きっと旅の疲れがどっと出ただけだからゆっくり休めばいつものお姉様に戻るわ」
そうパーヴェル君に伝える、ここで私が弱気になってちゃダメだものね。
「...そうですよね、早く元気になって欲しいです」
パーヴェル君はそう言うけども、やっぱり心配みたいよね、確かにバーレで頼れるのはきっとエステルお姉様だけなのかもだしね。
ーー
エステルお姉様のお見舞いのあとすぐにヘルムート様に連れられてアルトマイヤー寺院へと向かう。
ヘルムート様のお屋敷のすぐ近くにあるアルトマイヤー寺院だからお散歩がてらにって歩いて向かう。
ただ何人もの黒い司祭服を身に纏った異端審問官の人たちの囲まれて物々しい気がするけど...この距離のこんなに必要なのかしら?
「基本治安は良いのですが、二人はまだ狙われやすいので」
ヘルムート様はそう言う。
「狙われるって?」
「悪い者に...それは悪魔であったり悪魔の信奉者であったりね」
パーヴェル君の問いにヘルムート様がそう答えると息を呑む、確かに私2回攫われている訳だし秘密裏とは言えパーヴェル君の正体を知って何かを仕掛ける人だっていかねないものね。
「ただ洗礼を受けて加護が生じればだいぶ心配が減りますからね、少しの期間ですよ」
「悪魔からだけですか?」
「いいえ、全てからですよ」
パーヴェル君の疑問にヘルムート様はそう答えるわ。
全てって悪意のある人に関してもって事なのかしら。
「全てって悪意ある人も?」
「ええ、そうです、人は『因果』によって縛られていますがその『因果』すら神の力によって打ち砕かれるのです、ただ強い信仰があればですがね」
「打ち砕く?」
「そのあたりも後で詳しく話しましょうか...さて着きましたよ」
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