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chapter6:Be baptized
姉の罪 その4
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食堂車の中、ディビッドとエステル、そしてアーヴァインが椅子に座って話をしていた。
「それにしても全く力が落ちてなんてないじゃないですかぁ」
鳩尾あたりをさするディビッド、先程エステルの正拳突きを受けて一瞬気を失ったのだが、ちゃっかり復活している。
「いや...あんな高速な突きを食らってその程度なお前のタフさに驚くよ」
アーヴァインが呆れ顔でそういう。
「...」
エステルは考え事をしながらじっと拳を見つめる。
「姉上?」
「...何でもないわ、それにしても実は厄介な事になったのよね」
「厄介?」
「パーヴェルが貴方の戦う姿を見て...」
と言いかけた時にガラッと食堂の扉が開く、そこにはパーヴェルがいた。
「ディビッドさん!」
パーヴェルは何だか目をキラキラしながらディビッドの元にやってくる。
「???」
「ティナちゃんや貴方の悪魔を倒す姿を見て自分もそうなりたいと言い出したのよ...」
「えええ...」
困惑顔のディビッド、女の子達にキャーキャー言われるのは慣れているものの男の子にそんな顔をされるのは初めてで戸惑う。
「ディビッドさん、一体どうすれば強くなる事が出来るんですか!」
「それこそ命懸けで危ないし...パーヴェル君はバーレで好きな勉強とかをする方が...」
「僕は悪魔を倒す力が欲しいんです、そうすれば母上の罪の事も父上が僕を少しでも認めてくれるかもしれないから...」
その言葉に一同が黙る、そう...パーヴェル自身の置かれた立場を考えて出した答えなのかもしれない。
「...修行はきついしそれ以外にもやらなきゃならない事も多いですし、本当に死ぬかもしれませんよ、とても過酷です...それに何よりも信仰深くないといけないんです」
ディビッドは今まで自分がやってきた事を思い出しながら何とか説得しようと話す。
「はい、以前よりトラウゴット教の聖典を読んでましたがあの悪魔の存在とそれを討ち滅ぼす事を見て確信したんです」
「...じゃあ仕方ないんじゃないか?好きにさせてやれば良いと思うぞ?しかも『赤宿し』で才能もある訳だし」
アーヴァインがそう言い出す。
「ちょっとアーヴァイン!」
「私にしてみれば、彼をその道へ進む事はむしろ都合が良いからね、強い信仰はエアヴァルド...バーレを決して裏切らない...」
アーヴァインはパーヴェルの立場を...ウルム国王の血を引く少年が自国にとって脅威どころか味方になるなら、と思ってだ、しかも父親と同じくらいの力を宿す可能性もあるのだ。
ただ片方でよくそこまでの力を宿す自分の子供をエステルに渡す事を良しとしたのか、と言う疑問も持つが...
「あまり子供に政治の話はしないで欲しいわ...」
エステルは眉を顰める。
「...まぁ一度バーレで洗礼を受けた後にいろいろさせてみてから決めれば良いと思いますよ?」
今パーヴェルに何を言っても無理かと判断し、やや諦め気味なディビッド。
「そうね...どれだけ危険な事か理解してもらった方がいいわよね」
エステルはそう言う、できればエステルはパーヴェルには危険な思いをさせたくは無い...しかし片方で神より『支配者』となる確定された『将来』にはそれが必要なのかもしれない。
そしてそこまで自身が見届けられない事にエステルは心の奥で悩むのだった。
「それにしても全く力が落ちてなんてないじゃないですかぁ」
鳩尾あたりをさするディビッド、先程エステルの正拳突きを受けて一瞬気を失ったのだが、ちゃっかり復活している。
「いや...あんな高速な突きを食らってその程度なお前のタフさに驚くよ」
アーヴァインが呆れ顔でそういう。
「...」
エステルは考え事をしながらじっと拳を見つめる。
「姉上?」
「...何でもないわ、それにしても実は厄介な事になったのよね」
「厄介?」
「パーヴェルが貴方の戦う姿を見て...」
と言いかけた時にガラッと食堂の扉が開く、そこにはパーヴェルがいた。
「ディビッドさん!」
パーヴェルは何だか目をキラキラしながらディビッドの元にやってくる。
「???」
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「えええ...」
困惑顔のディビッド、女の子達にキャーキャー言われるのは慣れているものの男の子にそんな顔をされるのは初めてで戸惑う。
「ディビッドさん、一体どうすれば強くなる事が出来るんですか!」
「それこそ命懸けで危ないし...パーヴェル君はバーレで好きな勉強とかをする方が...」
「僕は悪魔を倒す力が欲しいんです、そうすれば母上の罪の事も父上が僕を少しでも認めてくれるかもしれないから...」
その言葉に一同が黙る、そう...パーヴェル自身の置かれた立場を考えて出した答えなのかもしれない。
「...修行はきついしそれ以外にもやらなきゃならない事も多いですし、本当に死ぬかもしれませんよ、とても過酷です...それに何よりも信仰深くないといけないんです」
ディビッドは今まで自分がやってきた事を思い出しながら何とか説得しようと話す。
「はい、以前よりトラウゴット教の聖典を読んでましたがあの悪魔の存在とそれを討ち滅ぼす事を見て確信したんです」
「...じゃあ仕方ないんじゃないか?好きにさせてやれば良いと思うぞ?しかも『赤宿し』で才能もある訳だし」
アーヴァインがそう言い出す。
「ちょっとアーヴァイン!」
「私にしてみれば、彼をその道へ進む事はむしろ都合が良いからね、強い信仰はエアヴァルド...バーレを決して裏切らない...」
アーヴァインはパーヴェルの立場を...ウルム国王の血を引く少年が自国にとって脅威どころか味方になるなら、と思ってだ、しかも父親と同じくらいの力を宿す可能性もあるのだ。
ただ片方でよくそこまでの力を宿す自分の子供をエステルに渡す事を良しとしたのか、と言う疑問も持つが...
「あまり子供に政治の話はしないで欲しいわ...」
エステルは眉を顰める。
「...まぁ一度バーレで洗礼を受けた後にいろいろさせてみてから決めれば良いと思いますよ?」
今パーヴェルに何を言っても無理かと判断し、やや諦め気味なディビッド。
「そうね...どれだけ危険な事か理解してもらった方がいいわよね」
エステルはそう言う、できればエステルはパーヴェルには危険な思いをさせたくは無い...しかし片方で神より『支配者』となる確定された『将来』にはそれが必要なのかもしれない。
そしてそこまで自身が見届けられない事にエステルは心の奥で悩むのだった。
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