銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter6:Be baptized

VS悪魔ヴィネ その8

『ギャアアアアアア！』

噛み砕かれた傷から漏れ出る黒い霧が溢れ出る。

さっきまでガードばかりしていたエステルは驚きの顔で振り向く。

「ティナ...ちゃん？」

『やぁ久しいね、エステル』

「...まさか」

『そう...私はバレンティナじゃないよ？君を助ける為に来たんだ』

12番目の預言者の乗り移ったバレンティナは腕を組み仁王立ちで不敵な笑みを浮かべている。

『コイツは私が引導を渡した悪魔ダガンよりも硬いだろうけども、どうやらオツムが弱いみたいだからね』

まるで挑発をする様な言い方をする12番目の預言者に怒りをあらわにするヴィネ。

『生意気な小娘が！！！！贄として喰ってやる！』

『あはは、私を誰だと思ってそう言うかねぇ...』

『何？』

そう言ってロッドの先をヴィネに向ける。

『裁き時は来たっ！』

裁きの鉄槌の聖句を述べ始めるとエステルやディビッドが呼び出すよりも明らかに大きく、そして髪の毛一本一本まで実体を感じられそうな存在感を示した太陽の様に光り輝く聖サンソンの姿が現れる。

「なっ！」

「流石だわ...」

ディビッドとエステルは光り輝く巨大な聖サンソンの幻影を見上げる。

『悪しき者の頭を砕く裁きの鉄槌を！』

聖典の一節を読み上げると聖サンソンの燃える様に輝く拳がヴィネの脳天に直撃する。

『ギャアアアアアア！！！』

ヴィネの頭がサンソンの拳によって地面にめり込む。

『私は神より遣わされし12番目の預言者、悪魔を滅ぼし絶やすハイラントの祖よ』

『何っ！まさか！！！』

12番目の預言者はそう言うと、顔を上げたヴィネは焦るような声を出す。

『ただ私自体が貴様を滅ぼす事は無い...さぁ我が子の一人であり創造者にして忠節なる神トラウゴットの僕である『白の射手』よ、神の名の元に悪魔ヴィネを滅ぼし絶やせ！』

「分かりました！」

ディビッドはエクソダス1922をヴィネに向けると、その姿は輝き出す。

『我は勝利の上に勝利を得る者！』

ディビッドの姿が変化し、髪が雪のように白く輝き瞳は赤く燃える火のように変わっていく。

『我は神から使わされし『白の射手』！邪悪な者の心臓を撃ち抜く者！』

エクソダス1922も強く光り出し、形もショットガンタイプの物へ変化する。

『多くの罪なき人々の血肉を貪りし残虐なる悪魔ヴィネよ！その罪深い行いを悔やむが良い！』

『彼の神のっ...僕がぁ...ウォォォォ！！！』

ディビッドは引き金を引くと、光り輝く弾丸がヴィネの心臓付近を狙って撃ち込まれると、断末魔と共にその衝撃で大きな風穴が空き、肉体はそのまま黒い霧となって霧散していく。