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chapter6:Be baptized

黒い獣 その4

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そう言って横になりながらモシャモシャと食べるサミュエルの姿を横目にジョナサンはキッチン横に置いている木製の観音開きで開く。

ジョナサン自作の冷暗ボックスを開いて2リットルは入ってる牛乳瓶を取り出してコップに注ぐ。

「じょにーさーんボクにもぎゅーにゅー」

サミュエルがいつもはガキンチョ呼ばわりしているのにジョナサンの愛称で呼ぶ。

一応食事を運んでくれるからかちょっとだけランクアップしたのかもしれない。

「分かったよ、でもちゃんと起きてからな...」

ジョナサンは別なコップにさらに注いで起き上がったサミュエルに渡す。

ディビッドはなんだかんだで几帳面で炊事をキッチリこなす所があるが、サミュエルはなんともだらしない。

「豪勢なおかずはいらないからゆでたまごかスクランブルエッグが欲しいっす、あと茹でたソーセージとジャガイモに胡椒と岩塩とチーズをかけて...」

だんだんエアヴァルドで食べる様な食材を求めるサミュエル、なんだかんだでジャガイモを求めるあたり、故郷の味が恋しいらしい。

「それは昼飯の時な!」

ジョナサンも極力キッチンで何か作ったりはしたくないし、下手に使うとディビッドが不機嫌になって後が面倒臭いのだ。

それにサミュエルは壊滅的に料理のセンスが無いので奴にも任せられないしな...とジョナサンは思う。

サミュエルはあくびをした後にフォカッチャを齧り牛乳を飲む。

「そう言えば分析で解ったっすか?」

サミュエルはジョナサンに尋ねる。

「まぁちょいちょいな...そっちは」

「うーん、元の家主の弟も足取りは途中までは解ったけど途中でパッタリ消えてるんすよねぇ...」

「どんな感じで?」

ジョナサンはフォカッチャを食べながら尋ねる。

「それこそ何かの獣にやられた遺体が出た地域とその家主の弟の痕跡がピッタリだったりしてたんすよ...でも」

「?」

「そいつ酒場で揉め事があって殺されてるんすよ...だからその元家主の弟が犯人になり得ないんすわ」

「そうなのか...」

怪しいと思った人物がそうでなくなった、ある意味振り出しに戻ってしまった事にジョナサンはため息を吐く。

「まぁ一度墓を暴かなきゃわかんねぇっすけどね...ところでじょにーさん...」

「なんだ?」

「牛乳もう一杯欲しいっす!」

グイッとジョナサンへコップを向けられる。

「自分で入れろ!」

やる事なす事どうにもだらし無いサミュエルに一喝するジョナサンだった。

─────────────────────
※エアヴァルドの一般人の食事は大概ジャガイモとピクルスとソーセージが出てくる比較的ドイツっぽい感じ。
これは前にも書きましたがウルムはイタリアとスペインの混じった感じです。

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