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chapter6:Be baptized
人間兵器 その6
しおりを挟む「...やっぱり陛下は恐ろしい方ね」
「ええ、そしてパーヴェル君も同じです...ウルム王家の見た目の色を持ってませんが間違い無いです、それにしてもサヴェリオ陛下も気前よくパーヴェル君をバーレに渡すなんてとは思いますがね」
「何で?」
「パーヴェル君はサヴェリオ陛下と同じ程に自国を脅かす大量殺戮の出来る『人間兵器』となれる可能性があるんですよ?」
その言葉に息を呑む...サヴェリオ陛下の力と同じなら確かにそう思うわよね。
「...サヴェリオ陛下と姉上にどんな駆け引きがあったかはわかりませんが...もしかしたら...」
ディビッドがやや考えてからそう話し出す。
「?」
「...いえ、これ以上は辞めておきますね」
そうやって話を辞めるとドアが開く、エステルお姉様とパーヴェル君だわ。
今の話パーヴェル君に聞かせたくないのかしら。
「姉上どうしたんです?」
「少し嫌な気を感じたから...少ししたらアーヴァインも来るわ」
エステルお姉様が怪訝な顔をしながらパーヴェル君と一緒に部屋に入ってくるわ、ちょっとパーヴェル君は不安げね。
その後直ぐにアーヴァイン陛下がやって来る。
「エステル、刺客か何かがか?」
「それよりも良くないものね...」
「悪魔か悪魔崇拝者か...」
そう言えばアーヴァイン陛下結構大ぶりな剣を持って来てるわ、マキシムさんみたいに戦えるのかしら?
でもエアヴァルド国王なのだし、命懸けな事はしないとは思うけども...それ程危険な事なのかしら?
ディビッドの目付きが変わるわ、それは悪魔を倒す時の鋭い目付きに。
「狙われる存在が2人もいるもの、受肉して生贄を狙う悪魔なら感じるかもしれないわね」
そう言ってエステルお姉様はパーヴェル君と私を抱えるように抱きしめる。
「僕もですか?」
「その潜在能力は生贄に使われてる可能性も高いのよ、だからバーレへ着いたら真っ先に洗礼を行って奴らが簡単に手出し出来ないようにするわ...それはティナちゃんもよ?」
「私も?」
「ええ、ティナちゃんは『生贄の娘』だからだけじゃ無いしね...本当ならバーレに向かう前に洗礼しておきたかったのだけどいろいろあったから」
エステルお姉様はそう言うとふわっと大きな光を放つ。
それは光る翼のようになって包み込まれると同時に光は消えてしまうわ。
「...2人に守りの加護を与えてもらったわ...しばらくはこれで守られる、さてディブ...貴方は支度なさい、そして連れてきた異端審問官達へ指示を」
「ええ...じゃあティナ、また後で」
ディビッドはエステルお姉様にそう促されて部屋を出て行ったわ。
ディビッドは出て行く前に笑顔を見せてくれたけど、これから戦いに向かう者の表情にも見えたわ...何も起こらなければ良いのだけど...。
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