銭ゲバ令嬢なまぐさ司祭に溺愛される【R18】

chapter5:Whereabouts of the curse

VS シャドウフェネクス その1

その日の夜。

バレンティナの部屋にジャンマリオはやって来る。

ベッドの上ですやすやとよく眠っているバレンティナの顔を見、頭を優しく撫でる。

「むにゃ...パパ...このケーキおいしいよ」

きっと今日の夢を見ているのかもしれない。

「ティナ...ごめんね」

そう言って静かにジャンマリオは部屋を出て、自室に戻る。

そのままジャンマリオは自室の椅子に座って家族の肖像画をずっと見つめていた。

それは自身と妻ラーラ、7歳くらいのシルヴィオに産まれたばかりのバレンティナの4人の描かれたものだ。

懐かしそうに愛おしい目でその肖像画を見つめるジャンマリオ。

部屋からノック音が聞こえる。

「どうぞ」

ジャンマリオがそう言うと扉が開く。

そこに立っているのは司祭服のディビッドだ。

「やぁディビッド君...その姿からすると解・っ・た・ん・だ・ね」

「...ええ、薄々は感じていましたが、確信を持てた事とタイミングもありましたしね」

「...そうだね...ちょっとシルヴィオのお嫁さんの件が心配だけどティナには君が居るからもう心配ないしね」

とニコニコと笑顔でジャンマリオは話す。

「...義父様は義母様の死因も呪いの件も全てご存じだったんですよね」

ディビッドはジャンマリオにそう尋ねる。

「...そうだよ...どうしてもシルヴィオが当主の座に収まるまではと思っててね」

「悪魔の呪いは人にとって喉から手が出る程の祝福にもなる、多大な犠牲を払うことになりますが...だからその益を受けてる者はウルムの法で裁かれるから...ですね」

「流石だね、何せ僕の為にシルヴィオやティナを更に不幸にさせられなかったから...ラーラもそれを望んでたから」

とジャンマリオはシャツのボタンを外し胸元をはだけさせるとそこにはフェネクスの紋章が禍々しく浮かび上がる。

「...僕が受けた『呪い』...いやラーラの『願い』...『どんなに失敗してもいつもニコニコとしているそのままの姿でいつもいて欲しい』...だった」

「...」

「...まさか『ポンコツでニコニコとした顔をする事しかできないまま歳を取らないで生きる』なんてとんでもない形で叶うなんてね...そのせいで僕はニコニコ笑う以外に泣く事も怒る事も出来ないし、何をやっても失敗続きだし、父親として年齢相応の姿にならないんだよ」

それはとても残酷な呪い、相手の幸せを願った筈がそれは本人にとってとても苦痛な事だ。

「...義母様を憎いとは思わなかったんですか？」

ディビッドは尋ねる。